アメリカのベストセラー・ランキング

1月31日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. MY NAME IS LUCY BARTON    New!

Elizabeth Strout エリザベス・ストラウト

ピューリッツァー賞を受けた著者による最新作。簡単な手術を受け、回復中のルーシー・バートンの病室に、もう何年も口をきいていない母親が見舞いにやってくる。2人はルーシーの幼少期の思い出話をはじめ、次第に絆を取り戻していく。しかし、その水面下では……短いながらも深い余韻を残す、母と娘の物語。

2. STAR WARS: THE FORCE AWAKENS    Down

Alan Dean Foster アラン・ディーン・フォスター

映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の公式ノヴェライゼーション。8ページにわたるカラー写真付き。著者は最初の「スター・ウォーズ」でもジョージ・ルーカス本人の依頼でゴーストライターをつとめ、映画化前の1976年に脚本から小説を書き起こしたことが近年明かされている。

3. THE GIRL ON THE TRAIN    Down

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。

4. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

5.SCANDALOUS BEHAVIOR    New!

Stuart Woods スチュアート・ウッズ

ニューヨーク市警の刑事から弁護士に転じたストーン・バリントンを主人公とするシリーズの第36作。数々の事件に疲れたストーンは、ひとときの休息を求めてイギリスの田舎町にやってくる。が、そこでも地元にまつわる複雑怪奇な謎に巻き込まれてしまう。

6. THE NIGHTINGALE    Down

Kristin Hannah クリスティン・ハナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。小学館から『ナイチンゲール(上・下)』(加藤洋子訳)として3月8日発売予定。

7. ROGUE LAWYER    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

ミニバーとWi-Fiを備えた革装特別仕様の防弾車に乗り、その運転手兼用心棒兼ゴルフのキャディーでもある腹心の友を相棒に、ひとの嫌がる依頼人ばかりを弁護する異端児セバスチャン・ラッド。孤高の男を主人公に据えた、リーガル・サスペンスの名手による最新作。

8. SEE ME    Down

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

すさんだ過去と決別して人生をやり直すため、教師を目指しながらひっそり暮らすコリン。弁護士のマリアと出会い、愛しあうようになるが、マリアにもまた深い心の傷があった……『きみに読む物語』で知られるベストセラー作家によるロマンティック・スリラー。

9. THE BITTER SEASON    New!

Tami Hoag タミー・ホウグ

ミネアポリス市警のコヴァック刑事とタフな女性刑事リスカを主人公とするシリーズの最新作。未解決事件担当にまわされたリスカは退屈していた。一方、コヴァックは著名な大学教授とその妻が日本刀で斬殺された事件の捜査に追われていた。しかし、リスカが担当する25年前の性犯罪と、コヴァックが追う現在の殺人事件とのあいだに、奇妙な接点があることが判明し……

10. FATES AND FURIES    Down

Lauren Groff ローレン・グロフ

大学時代に出会い、卒業後すぐに結婚したロットとマティルドの夫婦。俳優を目指し挫折するも、劇作家として成功したロットは、陰ながら支えつづけてくれたマティルドに感謝しているが……夫と妻、それぞれの視点から語られる23年の結婚生活の真実とは。2015年全米図書賞最終候補作。

【まとめ】

年末からランキングに大きな動きがありませんでしたが、今週になって、にわかに活気づいてきました。1、5、9位に新作がランクインしています。1位はサスペンス要素のあるヒューマン・ドラマで、あらすじから察するにトム・ロブ・スミスの『偽りの楽園』に近い作品なのかもしれません。約200ページと短めな作品なので、原書にチャレンジしてみるのもいいですね。5位にランクインしたSCANDALOUS BEHAVIORの著者、スチュアート・ウッズは多作家で、2015年だけで本シリーズを4作も書いています。9位もシリーズものの続篇で、タミー・ホウグはロマンティック・サスペンスの名手として知られています。

武藤陽生(むとう ようせい)

年明けにスター・ウォーズの新作を観てきました。それからしばらくはカイロ・レンの声でしゃべれるマスクやらBB-8のラジコンやらが欲しくてしょうがなかったのですが、なんとか散財せずに乗り切りました。と、冷静になったところで、このコーナーで先週1位だったSTAR WARS: THE FORCE AWAKENS(ノベライズ版、洋書)のサンプルをKindleでダウンロードしてみました。これがまたびっくりするような内容になっていますので、Kindleをお使いの方は、ぜひサンプルをダウンロードしてみてください。たぶん「えー!」と言うと思います。BB-8もカイロ・レンも、母性本能をくすぐりますよね。