アメリカのベストセラー・ランキング
2月7日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. BLUE New!
Danielle Steel ダニエル・スティール
ビバリーヒルズでの絵に描いたようなセレブ婚生活を一瞬の事故で失ったジニー。ホームレスの少年ブルーとの出会いが彼女の疲れ果てた心を変えていくが、ふたりの友情が深まりはじめたころ、ブルーが隠していた衝撃的な秘密が明かされる。ロマンス作品で知られるダニエル・スティールの最新作。
2. MY NAME IS LUCY BARTON Down
Elizabeth Strout エリザベス・ストラウト
ピューリッツァー賞を受けた著者による最新作。簡単な手術を受け、回復中のルーシー・バートンの病室に、もう何年も口をきいていない母親が見舞いにやってくる。2人はルーシーの幼少期の思い出話をはじめ、次第に絆を取り戻していく。しかし、その水面下では……短いながらも深い余韻を残す、母と娘の物語。
3. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE Up
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。
4. THE GIRL ON THE TRAIN Down
Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ
ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。
5. THE NIGHTINGALE Up
Kristin Hannah クリスティン・ハナ
ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。小学館から『ナイチンゲール(上・下)』(加藤洋子訳)として3月8日発売予定。
6. STAR WARS: THE FORCE AWAKENS Down
Alan Dean Foster アラン・ディーン・フォスター
映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の公式ノヴェライゼーション。8ページにわたるカラー写真付き。著者は最初の「スター・ウォーズ」でもジョージ・ルーカス本人の依頼でゴーストライターをつとめ、映画化前の1976年に脚本から小説を書き起こしたことが近年明かされている。
7. ROGUE LAWYER Stay
John Grisham ジョン・グリシャム
ミニバーとWi-Fiを備えた革装特別仕様の防弾車に乗り、その運転手兼用心棒兼ゴルフのキャディーでもある腹心の友を相棒に、ひとの嫌がる依頼人ばかりを弁護する異端児セバスチャン・ラッド。孤高の男を主人公に据えた、リーガル・サスペンスの名手による最新作。
8. WARRIORS OF THE STORM New!
Bernard Cornwell バーナード・コーンウェル
炎の英雄シャープ・シリーズで知られる著者による、サクソン・ストーリーズ・シリーズの第9作。戦士ウートレッドの目を通して、アングロサクソン七王国とヴァイキングとの戦いが描かれる。10世紀、マーシア王国は、アルフレッド大王の子エドワードとエゼルフリダの治世となり、熾烈な王位継承争いは終息したが、ヴァイキングとの戦いは終わらない。
9. SCANDALOUS BEHAVIOR Down
Stuart Woods スチュアート・ウッズ
ニューヨーク市警の刑事から弁護士に転じたストーン・バリントンを主人公とするシリーズの第36作。数々の事件に疲れたストーンは、ひとときの休息を求めてイギリスの田舎町にやってくる。が、そこでも地元にまつわる複雑怪奇な謎に巻き込まれてしまう。
10.FEVERBORN New!
Karen Marie Moning カレン・マリー・モニング
特殊な能力をもつマッケイラが、頼れる男バロンズとともに、ダブリンの街で邪悪な妖精と戦うエロティック・ダーク・ファンタジー、フィーバー・シリーズ本編の第6作。スピンオフを含めたシリーズ通算では8作目。妖精たちの邪悪な力によってバランスを失いかけた地球を救うため、マッケイラたちは太古の歌に秘められた謎を追う。
【まとめ】
1、8、10位に新作がランクインしました。1位はベテラン作家ダニエル・スティールの新作が初登場。8位のバーナード・コーンウェルは前作から約1年ぶりのシリーズ最新作でトップテン入り。同シリーズをもとにした歴史大河ドラマ『ラスト・キングダム』も順調に制作が続いているようです。10位のカレン・マリー・モニングは、シリーズ4作目の『聖なる槍に導かれ』(柿沼瑛子訳)までヴィレッジブックスより邦訳が刊行されています。トップテン外では、イアン・ランキンのリーバス・シリーズ最新作“EVEN DOGS IN THE WILD”が13位にランクインしています。
吉井智津(よしい ちづ) |
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今回より執筆メンバーに加えていただきました大阪在住の翻訳者です。訳書にベリンダ・バウアー『生と死にまつわるいくつかの現実』、サイモン・ピアソン『大脱走 英雄〈ビッグX〉の生涯』など。世話人をしています大阪読書会ともども、どうぞよろしくお願いいたします。間もなく告知予定の次回大阪読書会は、第6回アガサ・クリスティー読書会・課題書『NかMか』3月5日開催です。 |