アメリカのベストセラー・ランキング
2月21日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. BROTHERHOOD IN DEATH New!
J. D. Robb J・D・ロブ
元上院議員エドワードが何者かに傷を負わされ、そのまま消息を絶つ。姿を最後に見たのは、いとこのデニスだった。デニスいわく、エドワードは一族ゆかりの土地を勝手に売ろうとしていたらしい。イヴはデニスの妻で自身の友人でもあるトッププロファイラーのシャーロットとともに事件を調べはじめる。イヴ&ローク・シリーズ第42作。
2. NYPD RED 4 Down
James Patterson and Marshall Karp ジェイムズ・パタースン、マーシャル・カープ
ニューヨーク市警の特命捜査班“レッド”所属のザック・ジョーダンとカイリー・マクドナルドの男女コンビが活躍するシリーズの第4作。映画のプレミアイベント会場で女優が殺害され、数百万ドルのネックレスが強奪される。一方、市内の病院では高価な医療機器の窃盗事件が頻発、ザックとカイリーは捜査に奔走する。
3. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE Up
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。
4. MY NAME IS LUCY BARTON Down
Elizabeth Strout エリザベス・ストラウト
ピューリッツァー賞を受けた著者による最新作。簡単な手術を受け、回復中のルーシー・バートンの病室に、もう何年も口をきいていない母親が見舞いにやってくる。2人はルーシーの幼少期の思い出話をはじめ、次第に絆を取り戻していく。しかし、その水面下では……短いながらも深い余韻を残す、母と娘の物語。
5. THE GIRL ON THE TRAIN Stay
Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ
ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。
6. BREAKDOWN New!
Jonathan Kellerman ジョナサン・ケラーマン
テレビ女優が死体で発見された。その女優の幼い息子オーヴィットの行方もわからない。アレックスはオーヴィットの消息と女優の死の謎を探るが、第二の殺人事件が起こり……。ロサンゼルスの小児臨床心理医アレックス・デラウェア・シリーズの第31作。
7. THE NIGHTINGALE Stay
Kristin Hannah クリスティン・ハナ
ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。小学館から『ナイチンゲール(上・下)』(加藤洋子訳)として3月8日発売予定。
8. BLUE Down
Danielle Steel ダニエル・スティール
ビバリーヒルズでの絵に描いたようなセレブ婚生活を一瞬の事故で失ったジニー。ホームレスの少年ブルーとの出会いが彼女の疲れ果てた心を変えていくが、ふたりの友情が深まりはじめたころ、ブルーが隠していた衝撃的な秘密が明かされる。ロマンス作品で知られるダニエル・スティールの最新作。
9. ROGUE LAWYER Up
John Grisham ジョン・グリシャム
ミニバーとWi-Fiを備えた革装特別仕様の防弾車に乗り、その運転手兼用心棒兼ゴルフのキャディーでもある腹心の友を相棒に、ひとの嫌がる依頼人ばかりを弁護する異端児セバスチャン・ラッド。孤高の男を主人公に据えた、リーガル・サスペンスの名手による最新作。
10. STAR WARS: THE FORCE AWAKENS Down
Alan Dean Foster アラン・ディーン・フォスター
映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の公式ノヴェライゼーション。8ページにわたるカラー写真付き。著者は最初の「スター・ウォーズ」でもジョージ・ルーカス本人の依頼でゴーストライターをつとめ、映画化前の1976年に脚本から小説を書き起こしたことが近年明かされている。
【まとめ】
1位にJ・D・ロブ、6位にジョナサン・ケラーマンの作品がはいりました。31作を数えるケラーマンの小児臨床心理医アレックス・デラウェア・シリーズは、本国ではほぼ毎年刊行され、邦訳は14作目の『マーダー・プラン』(講談社文庫)まで出ています。著者自身が小児臨床医学の専門家であり、妻は作家のフェイ・ケラーマン。フェイ・ケラーマンの代表作、ピーター・デッカー&リナ・ラザラスのシリーズについては、このサイトに掲載された翻訳者の高橋恭美子さんによる〈初心者のためのフェイ・ケラーマン入門〉がくわしいのでそちらをごらんください。
国弘喜美代(くにひろ きみよ) |
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南東京読書会の世話人のひとりです。訳書はドン・ウィンズロウ『報復』(青木創さんとの共訳)など。2月11日のピエール・ルメートル『悲しみのイレーヌ』読書会、翻訳者の橘明美さんと担当編集者の永嶋俊一郎さんが興味深い話をたっぷりしてくださって、さらになんと田口俊樹さんがサプライズでご参加くださり、にぎやかで刺激的な会になりました。ご協力いただいたみなさま、参加者のみなさま、ありがとうございました。次回は5月14日(土)の予定です。 |