アメリカのベストセラー・ランキング
3月27日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. OFF THE GRID New!
C.J.Box C・J・ボックス
ワイオミング州の州猟区管理官ジョー・ピケットを主人公にしたシリーズ最新作。ピケットの友人ネイト・ロマノウスキは、怪我から回復し、過去の罪と向き合おうとしていた。そんな彼のまえに、エリート特殊工作員部隊が現われる。彼らはネイトの罪を帳消しにする代わりに、ワイオミング州レッドデザートのテロ組織壊滅に手を貸せと申し出る。
2. FIRE TOUCHED New!
Patricia Briggs パトリシア・ブリッグズ
コヨーテに変身するヒロイン、マーシィ・トンプソンを主人公にしたロマンティック・ファンタジー・シリーズ最新作。人狼のアダムと結婚したマーシィだったが、ふたたび人間界とのあいだに緊張が高まる。争いのカギを握るのは、人間の少年のようだが……?
3. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE Down
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。
4. THE GIRL ON THE TRAIN Down
Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ
ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。
5. THE NIGHTINGALE Down
Kristin Hannah クリスティン・ハナ
ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。小学館から『ナイチンゲール(上・下)』(加藤洋子訳)として邦訳刊行予定。
6. THE GANGSTER Down
Clive Cussler and Justin Scott クライブ・カッスラー、ジャスティン・スコット
私立探偵アイザック・ベル・シリーズの第9作。1906年、ニューヨークで幅を利かせるイタリア系犯罪組織を抑止すべく、特別対策班に協力するヴァン・ドーン探偵社。混沌のなかで起こる連続殺人を追うベルは、犯人の最後の標的が途方もない人物であると気づく。
7. THE STEEL KISS New!
Jeffery Deaver ジェフリー・ディーヴァー
リンカーン・ライム・シリーズ最新作。アメリア・サックスがブルックリンのデパートで殺人犯を追跡している最中、突如エスカレーターが故障する。事故に巻き込まれた犠牲者を救出しようとしているうちに、アメリアは獲物を逃してしまう。しかし、これは事故ではなく、犯人の仕組んだ一連の攻撃計画の端緒だった。リンカーン・ライムとアメリアは、この恐ろしい殺人犯に挑む。
8. THE WATERS OF ETERNAL YOUTH New!
Donna Leon ドナ・レオン
グィード・ブルネッティ警視を主人公にしたシリーズの第25作。15年前、ひとりの少女が運河で溺れた。彼女はアル中の男に助けられ、一命を取り留めたものの、脳に損傷を受けてしまった。アル中の男はほかの男が彼女を突き落とすところを目撃したと証言しており、ひょんなことからブルネッティが捜査に乗り出す。
9. COMETH THE HOUR Down
Jeffrey Archer ジェフリー・アーチャー
激動の20世紀イギリスを生きる一族を描いた〈クリフトン年代記〉第6部。ハリー・クリフトンはシベリアで投獄された友人のロシア人作家の救出に奔走。一方、銀行の重役となった息子のセバスティアンはインド人の娘と恋に落ちるも、彼女には親の決めた許嫁がいた。
10. GO SET A WATCHMAN Down
Harper Lee ハーパー・リー
ピューリッツァー賞受賞作で映画にもなった『アラバマ物語』(1960年刊行、原題は“TO KILL A MOCKINGBIRD”)の著者による半世紀ぶりの新作。『アラバマ物語』の語り手の女性、スカウトのその後を描いたもので、1950年代に執筆された草稿が最近見つかり、出版の運びとなった。早川書房より年内に邦訳刊行予定。
【まとめ】
1、2、7、8位に新作がランクインしました。いずれも息の長いシリーズものです。C・J・ボックスのジョー・ピケット・シリーズは『震える山』『裁きの曠野』『復讐のトレイル』などが邦訳されています。パトリシア・ブリッグズのマーシィ・トンプソン・シリーズは第1作『裏切りの月に抱かれて』が、ドナ・レオンのグィード・ブルネッティ・シリーズは『死のフェニーチェ劇場』がそれぞれ邦訳されています。ジェフリー・ディーヴァーが初登場7位というのがちょっと意外でした。
武藤陽生(むとう ようせい) |
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ゲーム、出版翻訳者。来月はいよいよ翻訳ミステリー大賞の授賞式がありますね。初参加なので楽しみです。 今月は『Life Is Strange』というゲームをクリアしました。これはいわゆるタイムリープもののアドベンチャーゲームで、時間を巻き戻す能力で選択肢を選び直せるという、ゲームならではの仕掛けがおもしろい一作です。 主人公はちょっと冴えないカメラ好きなオタク系女子高生。過去を切り取り、振り返ることのできる“写真”というテーマと、人生における前進をためらっている少女が“過去に戻る能力”を手に入れるという構図が興味深いです。 扱っているテーマはティーンのいじめ、家庭内暴力など、けっこう深刻です。街が災厄に襲われるという未来を回避しようと、さまざまな時間軸を行き来して奮闘するヒロインの最後の行動が重く、美しく、プレイヤーの記憶に残る一作。映画「バタフライ・エフェクト」が好きな人ならハマりそうです。 PS4とPCで日本語版をプレイできます。全体的にローカライズのクオリティも高く、ドラマ仕立てのエピソード形式なので、海外ドラマが好きな方にもオススメです。曲もすごく雰囲気があるので、ぜひ下の動画を観てみてください。 |