アメリカのベストセラー・ランキング

4月10日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. FOOL ME ONCE    New!

Harlan Coben ハーラン・コーベン

元特殊部隊パイロットのマヤは、ベビーモニターで留守宅の娘の様子を確認中、ありえない光景を目にする。そこには娘を抱きあげる夫の姿があった。2週間前、強盗に襲われて死んだはずの夫がなぜ……。マイロン・ボライター・シリーズの著者による、スタンドアローンの新作スリラー。

2. PRIVATE PARIS    Down

James Patterson and Mark Sullivan ジェイムズ・パタースン、マーク・サリヴァン

元海兵隊のジャック・モーガンが民間調査会社“プライベート”を率いて難事件に取り組むシリーズの第6作。パリでのんびり過ごすつもりが、クライアントの孫娘が麻薬ディーラーに追われているとの報を受けて捜索に乗り出したジャック。同じころ、フランス文化界の有力者数人が遺体で発見された。

3. THE NEST    New!

Cynthia D’Aprix Sweeney シンシア・ダプリ・スウィーニー

ニューヨークに暮らすプラム家の4人きょうだいには、末妹のメロディが40歳になったときに受け取れる多額の信託財産があった。だが長兄のレオが交通事故を起こし、その大半が失われてしまう。長年反目しあい、それぞれに問題を抱えた4人の運命は……。コピーライター、エッセイストとして活躍してきた著者の小説デビュー作。

4. PROPERTY OF A NOBLE WOMAN    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

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ニューヨークの銀行の貸金庫に置き去りにされたジュエリーボックス。なかに収められていたジュエリーの調査で出会った、法務書記のジェーンとオークションハウスの美術品専門家フィリップのふたりが、添えられていた色褪せた写真と古い手紙を手がかりに、もとの持ち主を捜すうち、ジュエリーに秘められた第二次大戦中の悲恋の物語が明らかになっていく。

5. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

6. THE GIRL ON THE TRAIN    Stay

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。

7. THE SUMMER BEFORE THE WAR    New!

Helen Simonson ヘレン・サイモンスン

1914年、イーストサセックス州の田舎町に新任のラテン語教師としてやってきたベアトリスは、狭い人間関係や偏見と格闘しながらも居場所を見つけていく。だが、のどかな町の生活にも戦争が暗い影を落としはじめていた。21カ国で刊行されたデビュー作“MAJOR PETTIGREW’S LAST STAND”の著者が6年ぶりに発表したヒストリカル・フィクション。

8. THE NIGHTINGALE    Down

Kristin Hannah クリスティン・ハナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。小学館から『ナイチンゲール(上・下)』(加藤洋子訳)として邦訳刊行予定。

9. OFF THE GRID    Down

C.J.Box C・J・ボックス

ワイオミング州の州猟区管理官ジョー・ピケットを主人公にしたシリーズ最新作。ピケットの友人ネイト・ロマノウスキは、怪我から回復し、過去の罪と向き合おうとしていた。そんな彼のまえに、エリート特殊工作員部隊が現われる。彼らはネイトの罪を帳消しにする代わりに、ワイオミング州レッドデザートのテロ組織壊滅に手を貸せと申し出る。

10. THE GANGSTER    Down

Clive Cussler and Justin Scott クライブ・カッスラー、ジャスティン・スコット

私立探偵アイザック・ベル・シリーズの第9作。1906年、ニューヨークで幅を利かせるイタリア系犯罪組織を抑止すべく、特別対策班に協力するヴァン・ドーン探偵社。混沌のなかで起こる連続殺人を追うベルは、犯人の最後の標的が途方もない人物であると気づく。

【まとめ】

今週は3作が新たにランクイン。1位と3位の2作は、アマゾンの3月度のベストブックスにも選ばれています。1位の人気作家ハーラン・コーベンは、マイロン・ボライター・シリーズのほか、近年では『ステイ・クロース』がヴィレッジブックスより邦訳刊行されています。7位の“THE SUMMER BEFORE THE WAR”はドラマ『ダウントン・アビー』ロスの人におすすめの1冊だそうです。ベストテン外では、『真珠の首飾りの少女』(5月8日開催の福島読書会課題書)のトレイシー・シュヴァリエの新作“AT THE EDGE OF THE ORCHARD”が19位に入っています。

中谷友紀子(なかたに ゆきこ)

関西在住の翻訳者。訳書はペイヴァー『神々と戦士たち? 再会の島で』、パーマー『スキャンダラス 女たちの編集部』、フリン『カーターフック屋敷へようこそ』(電子書籍)など。インドリダソン『』、翻訳ミステリー大賞・読者賞W受賞おめでとうございます! スウェーデン大使館行きたかったです。