アメリカのベストセラー・ランキング
4月17日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. FOOL ME ONCE Stay
Harlan Coben ハーラン・コーベン
元特殊部隊パイロットのマヤは、ベビーモニターで留守宅の娘の様子を確認中、ありえない光景を目にする。そこには娘を抱きあげる夫の姿があった。2週間前、強盗に襲われて死んだはずの夫がなぜ……。マイロン・ボライター・シリーズの著者による、スタンドアローンの新作スリラー。
2. THE NEST Up
Cynthia D’Aprix Sweeney シンシア・ダプリ・スウィーニー
ニューヨークに暮らすプラム家の4人きょうだいには、末妹のメロディが40歳になったときに受け取れる多額の信託財産があった。だが長兄のレオが交通事故を起こし、その大半が失われてしまう。長年反目しあい、それぞれに問題を抱えた4人の運命は……。コピーライター、エッセイストとして活躍してきた著者の小説デビュー作。
3. PRIVATE PARIS Down
James Patterson and Mark Sullivan ジェイムズ・パタースン、マーク・サリヴァン
元海兵隊のジャック・モーガンが民間調査会社“プライベート”を率いて難事件に取り組むシリーズの第6作。パリでのんびり過ごすつもりが、クライアントの孫娘が麻薬ディーラーに追われているとの報を受けて捜索に乗り出したジャック。同じころ、フランス文化界の有力者数人が遺体で発見された。
4. JOURNEY TO MUNICH New!
Jacqueline Winspear ジャクリーン・ウィンスピア
戦間期のイギリスを舞台に、女探偵メイジー・ダブズの活躍を描くシリーズの第12作。1938年、英国保安局からの命を帯び、メイジーはダッハウに収容されているイギリス人実業家の身柄を引き取るため、その実業家の娘を装ってナチス政権下のドイツへ向かった。
5. THE NIGHTINGALE Up
Kristin Hannah クリスティン・ハナ
ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。小学館から『ナイチンゲール(上・下)』(加藤洋子訳)として邦訳刊行予定。
6. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE Down
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。
7. THE SUMMER BEFORE THE WAR Stay
Helen Simonson ヘレン・サイモンスン
1914年、イーストサセックス州の田舎町に新任のラテン語教師としてやってきたベアトリスは、狭い人間関係や偏見と格闘しながらも居場所を見つけていく。だが、のどかな町の生活にも戦争が暗い影を落としはじめていた。21カ国で刊行されたデビュー作“MAJOR PETTIGREW’S LAST STAND”の著者が6年ぶりに発表したヒストリカル・フィクション。
8. THE GIRL ON THE TRAIN Down
Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ
ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。
9. PROPERTY OF A NOBLE WOMAN Down
Danielle Steel ダニエル・スティール
ニューヨークの銀行の貸金庫に置き去りにされたジュエリーボックス。なかに収められていたジュエリーの調査で出会った、法務書記のジェーンとオークションハウスの美術品専門家フィリップのふたりが、添えられていた色褪せた写真と古い手紙を手がかりに、もとの持ち主を捜すうち、ジュエリーに秘められた第二次大戦中の悲恋の物語が明らかになっていく。
10. BRUSH OF WINGS New!
Karen Kingsbury カレン・キングズベリー
エンジェル・ウォーキング・シリーズを締めくくる第三作。今作の主人公のメアリーは、深刻な病をかかえながら周囲にはそれを明かさず、孤児の支援というかねてからの夢をかなえるためにアメリカからウガンダへ渡る。メアリーの友人3人のそれぞれの人生の選択を描く物語。
【まとめ】
4位と10位に新作がランクインしました。4位の女探偵メイジー・シリーズは、邦訳されているのが第1作の『夜明けのメイジー』のみで、10位は赤い手袋の奇跡シリーズの著者による、別シリーズの最終作です。ベストテン外では、13位にフィリップ・カーの私立探偵グンター・シリーズ第11作“THE OTHER SIDE OF SILENCE”、14位にジム・ハリスンの中篇小説3篇をおさめた“THE ANCIENT MINSTREL”、15位にアイルランドのベテラン女性作家エドナ・オブライエンの“THE LITTLE RED CHAIRS”がはいりました。なお、14位のジム・ハリスンは、ヘミングウェイやフォークナーの名をあげて評されることも多い小説の妙手で、1994年に映画化された『レジェンド・オブ・フォール』の作者としても知られていますが、今年の3月に78歳で死去しています。
国弘喜美代(くにひろ きみよ) |
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南東京読書会の世話人のひとりです。訳書はドン・ウィンズロウ『報復』(青木創さんとの共訳)など。先日のコンベンションでヨハン・テオリンさんの講演を聞き、いまエーランド島シリーズの第3作『赤く微笑む春』を読んでいます。次回の南東京読書会は5月14日(土)、イアン・マキューアンの『未成年』が課題書です。すでに募集を開始していますので、はじめてのかたもこれまでご参加くださったかたも、ぜひお越しください。 |