アメリカのベストセラー・ランキング

5月1日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. THE OBSESSION    New!

Nora Roberts ノーラ・ロバーツ

12歳のとき父親が連続強姦殺人犯として逮捕されて以来、名前を変え、人目を避けるように各地を転々としながら暮らしてきたナオミ。事件から18年が経ち、カメラマンとして成功した彼女は海辺の町に家を買い、新たな恋人と出会って新生活を始めるも、謎の殺人者に命を狙われることになる。

2. THE NEST    Up

Cynthia D’Aprix Sweeney シンシア・ダプリ・スウィーニー

ニューヨークに暮らすプラム家の4人きょうだいには、末妹のメロディが40歳になったときに受け取れる多額の信託財産があった。だが長兄のレオが交通事故を起こし、その大半が失われてしまう。長年反目しあい、それぞれに問題を抱えた4人の運命は……。コピーライター、エッセイストとして活躍してきた著者の小説デビュー作。

3. FOOL ME ONCE    Up

Harlan Coben ハーラン・コーベン

元特殊部隊パイロットのマヤは、ベビーモニターで留守宅の娘の様子を確認中、ありえない光景を目にする。そこには娘を抱きあげる夫の姿があった。2週間前、強盗に襲われて死んだはずの夫がなぜ……。マイロン・ボライター・シリーズの著者による、スタンドアローンの新作スリラー。

4. AS TIME GOES BY    Down

Mary Higgins Clark メアリ・ヒギンズ・クラーク

アルツハイマー病の夫を殺害した容疑で妻が逮捕される。妻は弁護士がすすめる司法取引を拒み、法廷でみずからの無実を証明しようとする。裁判の模様を伝えるリポーターは、幼いころに生き別れになった母をずっと捜しつづけていた。やがてふたりの物語が重なり合う。

5. MOST WANTED    New!

Lisa Scottoline リザ・スコットライン

夫とのあいだに子供ができず、精子バンクを利用して妊娠したクリスティーン。だが、精子提供者の写真とよく似た男が3人の女性を殺したとして逮捕される。お腹の子の生物学的な父親が殺人犯なのかたしかめようと、クリスティーンは拘置所の犯人に会いにいくが……。

6. THE NIGHTINGALE    Up

Kristin Hannah クリスティン・ハナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。小学館から『ナイチンゲール(上・下)』(加藤洋子訳)として邦訳刊行予定。

7. MILLER’S VALLEY    Down

Anna Quindlen アナ・クィンドレン

ミラーの谷で代々農園を営むミラー家。政府は治水のためにダムの建造計画を進めるが、実現すれば農園は水没してしまう。ミラー家の娘ミミの目を通して、家族の絆と反目、葛藤、故郷の意味を描く。

8. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

9. THE 14TH COLONY    Down

Steve Berry スティーブ・ベリー

アメリカ合衆国司法省の元工作員が活躍するコットン・マローン・シリーズの第11作。アメリカへの復讐をもくろむ元KGBの男に、マローンが立ち向かう。カナダを侵略してアメリカの14番目の植民地にしようとした秘密結社とは。

10. THE GIRL ON THE TRAIN    Up

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。

【まとめ】

1位と5位に新作が登場しました。1位はロマンスの女王ノーラ・ロバーツによる新作ロマンティック・サスペンス。ロバーツの邦訳最新作は今月末ごろ扶桑社より刊行予定の『幸運の星の守り人』で、新たな3部作の第1作とのことです。5位に入ったリザ・スコットラインはリーガル・サスペンスの名手として知られ、『虚偽証人』(扶桑社)など8作が邦訳されています。ベストテン外では、16位にオーストラリア人作家ドミニク・スミスの長編4作目“THE LAST PAINTING OF SARA DE VOS”が新たにランクインしました。

満園真木(みつぞの まき)

東京在住の翻訳者。バリー・ライガ『さよなら、シリアルキラー』、『殺人者たちの王』に続く3部作の最終作『ラスト・ウィンター・マーダー』が5月12日に東京創元社より発売されます。どうぞよろしくお願いします。訳書はほかにエミリー・セントジョン・マンデル『ステーション・イレブン』、ベリンダ・バウアー『ラバーネッカー』など。