アメリカのベストセラー・ランキング

5月15日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1.EXTREME PREY   New!

John Sandford ジョン・サンドフォード

ルーカス・ダヴンポートの「獲物」シリーズ第26作。前作の後、ミネソタ州特別犯罪捜査局を離れて市井の人となったルーカスは、大統領選への出馬を決めた女性知事メキーラの頼みでキャンペーンスタッフにくわわることに。新たな経験を楽しむルーカスだったが、知事を狙う暗殺者の存在が発覚し、事態は一変する。

2.THE LAST MILE    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

20年前に自分の両親を殺害して服役していた死刑囚が、べつの人物の自供によって刑の執行を免れた。超記憶症候群のため驚異的な記憶力を持つデッカー刑事は、FBIの特別チームの一員として真相究明に乗りだす。シリーズ第2作。

3. THE OBSESSION    Down

Nora Roberts ノーラ・ロバーツ

12歳のとき父親が連続強姦殺人犯として逮捕されて以来、名前を変え、人目を避けるように各地を転々としながら暮らしてきたナオミ。事件から18年が経ち、カメラマンとして成功した彼女は海辺の町に家を買い、新たな恋人と出会って新生活を始めるも、謎の殺人者に命を狙われることになる。

4. THE GIRL ON THE TRAIN    Stay

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。

5. THE NEST    Down

Cynthia D’Aprix Sweeney シンシア・ダプリ・スウィーニー

ニューヨークに暮らすプラム家の4人きょうだいには、末妹のメロディが40歳になったときに受け取れる多額の信託財産があった。だが長兄のレオが交通事故を起こし、その大半が失われてしまう。長年反目しあい、それぞれに問題を抱えた4人の運命は……。コピーライター、エッセイストとして活躍してきた著者の小説デビュー作。

6. ELIGIBLE    Down

Curtis Sittenfeld カーティス・シッテンフェルド

オハイオ州シンシナティを舞台にした現代版『高慢と偏見』。ニューヨークで雑誌のライターをしていたリズ・ベネットは、父の健康状態を案じ、ヨガ・インストラクターの姉ジェインとともに生まれ育った家へもどった。そして、町へ越してきた医師のビングリーとその友人で神経外科医のダーシーに出会う。

7. THE NIGHTINGALE    Stay

Kristin Hannah クリスティン・ハナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。5月7日、小学館より『ナイチンゲール(上・下)』(加藤洋子訳)として邦訳刊行。

8. AS TIME GOES BY    Up

Mary Higgins Clark メアリ・ヒギンズ・クラーク

アルツハイマー病の夫を殺害した容疑で妻が逮捕される。妻は弁護士がすすめる司法取引を拒み、法廷でみずからの無実を証明しようとする。裁判の模様を伝えるリポーターは、幼いころに生き別れになった母をずっと捜しつづけていた。やがてふたりの物語が重なり合う。

9. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Stay

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編であり、この作品で2015年のピューリッツァー賞を獲得。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行が予定されている。

10. MILLER’S VALLEY    Down

Anna Quindlen アナ・クィンドレン

ミラーの谷で代々農園を営むミラー家。政府は治水のためにダムの建造計画を進めるが、実現すれば農園は水没してしまう。ミラー家の娘ミミの目を通して、家族の絆と反目、葛藤、故郷の意味を描く。

【まとめ】

今週の新作トップテン入りは1位のみ。変動の少ない週でした。首位に登場したジョン・サンドフォードの「獲物」シリーズは、9作目の“SILENT PREY”を除き、第10作にあたる『餌食』までの邦訳が出ています。ベストテン圏外では、戦禍に翻弄される3人の女性を描いたマーサ・ホール・ケリーのデビュー作“LILAC GIRLS”が13位と、先月発売直後の15位から4週にわたって安定した支持を得ています。16位にはアイリス・ジョハンセンの複顔彫刻家イヴ・ダンカン・シリーズ第20作“HIDE AWAY”が入りました。邦訳は9作目の『ゴブレットは赤く染まって』までが刊行されています。昨年8月刊行の『パンドラの娘』もイヴ・シリーズ関連作です。

飯干京子(いいぼし きょうこ)

大阪在住。訳書にルッカ『回帰者』など。神戸の『キャロル』読書会は初参加の方も多く、ゲストの訳者さまを囲んで非常に面白い会になったそう。今月28日は京都の町家で、あの話題作『』の読書会です。お席の確保、ぜひお急ぎを! 元気な神戸と京都におまかせして休憩中の大阪ですが、夏には再稼働しますので、そちらもよろしくお願いします。