アメリカのベストセラー・ランキング

5月22日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1.15TH AFFAIR   New!

James Patterson & Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・パエトロ

 女性殺人捜査クラブ・シリーズ第15弾。リンジー・ボクサーは結婚して母となり、幸せな家庭生活を送っている。ところが、ダウンタウンの高級ホテルの殺人現場からCIAと関わりのあるブロンドの美女が消えたことで、生活がほころびはじめ、彼女は女性殺人捜査クラブに助けを求める。

2.THE LAST MILE   Stay

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

20年前に自分の両親を殺害して服役していた死刑囚が、べつの人物の自供によって刑の執行を免れた。超記憶症候群のため驚異的な記憶力を持つデッカー刑事は、FBIの特別チームの一員として真相究明に乗りだす。シリーズ第2作。

3.THE APARTMENT   New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

人生の転換期を迎える4人の女性が、ひょんなことから同じアパートメントで暮らすことになる。デザイナー、作家、金融業、医者……それぞれの夢を持つ彼女たちは、共同生活を送るうちにしだいに絆を深めていく。

4.EXTREME PREY   Down

John Sandford ジョン・サンドフォード

ルーカス・ダヴンポートの「獲物」シリーズ第26作。前作の後、ミネソタ州特別犯罪捜査局を離れて市井の人となったルーカスは、大統領選への出馬を決めた女性知事メキーラの頼みでキャンペーンスタッフにくわわることに。新たな経験を楽しむルーカスだったが、知事を狙う暗殺者の存在が発覚し、事態は一変する。

5.STAR WARS: BLOODLINE   New!

Claudia Gray クローディア・グレイ

反乱軍はエンドアの戦いで帝国軍を破った。ようやく平和が訪れたかに見えたが、それから数十年が経っても、新共和国内外に不穏な空気が流れていた——レイア・オーガナを主人公にしたスピンオフ作品。

6. THE NEST    Down

Cynthia D’Aprix Sweeney シンシア・ダプリ・スウィーニー

ニューヨークに暮らすプラム家の4人きょうだいには、末妹のメロディが40歳になったときに受け取れる多額の信託財産があった。だが長兄のレオが交通事故を起こし、その大半が失われてしまう。長年反目しあい、それぞれに問題を抱えた4人の運命は……。コピーライター、エッセイストとして活躍してきた著者の小説デビュー作。

7. THE GIRL ON THE TRAIN    Down

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。

8.EVERYBODY’S FOOL/span>   New!

Richard Russo リチャード・ルッソ

映画化もされた『ノーバディーズ・フール』の続編。医師に余命1、2年と宣告された主人公サリーは、それをまわりの人々に知られないようにする。疎遠になっている息子や孫たち、ひと癖もふた癖もある友人たちとの交流をユーモアたっぷりに描く、ハートウォーミングな一作。

9. THE OBSESSION    Down

Nora Roberts ノーラ・ロバーツ

12歳のとき父親が連続強姦殺人犯として逮捕されて以来、名前を変え、人目を避けるように各地を転々としながら暮らしてきたナオミ。事件から18年が経ち、カメラマンとして成功した彼女は海辺の町に家を買い、新たな恋人と出会って新生活を始めるも、謎の殺人者に命を狙われることになる。

10. THE NIGHTINGALE    Down

Kristin Hannah クリスティン・ハナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。小学館より『ナイチンゲール(上・下)』(加藤洋子訳)として邦訳が刊行されている。

【まとめ】

今週は新作が4作ランクインしました。1位の『15TH AFFAIR』は女性殺人捜査クラブ・シリーズの第15作で、日本では1作目『1番目に死がありき』と2作目『チャンスは2度めぐる』だけが翻訳されています。このシリーズ、タイトル名に「シリーズ何作目にあたるか」を示す数字が必ず盛り込まれているんですね。女性殺人捜査クラブ・シリーズはPCゲームにもなっていて、4作がローカライズされています。いわゆるヒドゥンオブジェクト系のゲーム(ざっくり説明すると、『ウォーリーをさがせ!』のようなシステム)で、低スペックのPCでも遊べるので、ふだんゲームをしない人でも楽しめそうです(興味のある方はこちらを見てください)。5位の『STAR WARS: BLOODLINE』はスター・ウォーズ・シリーズのスピンオフで、『フォースの覚醒』に登場したファースト・オーダーの成り立ちも描かれるのだとか。8位の『EVERYBODY’S FOOL』の前作にあたる『ノーバディーズ・フール』は邦訳が出ていて、映画版はポール・ニューマンがサリーを演じています。

武藤陽生(むとう ようせい)

出版、ゲーム翻訳者。5/31に拙訳『戦力「内」通告』が発売されます。非常に実践的な内容のビジネス書で、仕事に携わる人であれば誰でも役立てられる内容になっています。ちょっとブラックなユーモア満載で、読み物としてもとてもおもしろいです!