アメリカのベストセラー・ランキング

6月5日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. THE FIREMAN   New!

Joe Hill ジョー・ヒル

皮膚に龍の鱗のような斑紋があらわれたのち体内から発火して死にいたる伝染病、ドラゴンスケールが蔓延する世界。感染者狩りが激化するなか、おなかの子のために生き延びようとする感染者のハーパーは、体内の火を制御する能力を持った謎の男“ファイアマン”に助けられる。著者の長篇第4作にあたるポストアポカリプス・ホラー大作。

2.15TH AFFAIR   Down

James Patterson & Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・パエトロ

女性殺人捜査クラブ・シリーズ第15弾。リンジー・ボクサーは結婚して母となり、幸せな家庭生活を送っている。ところが、ダウンタウンの高級ホテルの殺人現場からCIAと関わりのあるブロンドの美女が消えたことで、生活がほころびはじめ、彼女は女性殺人捜査クラブに助けを求める。

3. THE WEEKENDERS   New!

Mary Kay Andrews メアリー・ケイ・アンドルーズ

ノースカロライナ州のベル島にある別荘で娘と夏をすごすライリーは、ある週末、夫のウェンデルの到着を待っていた。そこで離婚することを娘に告げる予定だった。ところが、ウェンデルが遺体で発見され……『愛さずにはいられない』の作者による新作ウィメンズ・フィクション。

4. THE GIRL ON THE TRAIN    Down

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。

5.THE LAST MILE   Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

20年前に自分の両親を殺害して服役していた死刑囚が、べつの人物の自供によって刑の執行を免れた。超記憶症候群のため驚異的な記憶力を持つデッカー刑事は、FBIの特別チームの一員として真相究明に乗りだす。シリーズ第2作。

6. THE NEST    Down

Cynthia D’Aprix Sweeney シンシア・ダプリ・スウィーニー

ニューヨークに暮らすプラム家の4人きょうだいには、末妹のメロディが40歳になったときに受け取れる多額の信託財産があった。だが長兄のレオが交通事故を起こし、その大半が失われてしまう。長年反目しあい、それぞれに問題を抱えた4人の運命は……。コピーライター、エッセイストとして活躍してきた著者の小説デビュー作。

7. BEYOND THE ICE LIMIT   New!

Douglas Preston & Lincoln Child ダグラス・プレストン、リンカーン・チャイルド

科学者にして泥棒の天才でもあるギデオン・クルーを主人公とするシリーズの第4作。南米沖の海底に沈む巨大隕石は、自らの意志を持つ危険な有機体だった。人類滅亡を招きかねないその隕石を破壊する任務を帯びたギデオンは……。2000年に刊行された“THE ICE LIMIT”の続編。

8.EVERYBODY’S FOOL   Down

Richard Russo リチャード・ルッソ

映画化もされた『ノーバディーズ・フール』の続編。医師に余命1、2年と宣告された主人公サリーは、それをまわりの人々に知られないようにする。疎遠になっている息子や孫たち、ひと癖もふた癖もある友人たちとの交流をユーモアたっぷりに描く、ハートウォーミングな一作。

9.EXTREME PREY   Down

John Sandford ジョン・サンドフォード

ルーカス・ダヴンポートの「獲物」シリーズ第26作。前作の後、ミネソタ州特別犯罪捜査局を離れて市井の人となったルーカスは、大統領選への出馬を決めた女性知事メキーラの頼みでキャンペーンスタッフにくわわることに。新たな経験を楽しむルーカスだったが、知事を狙う暗殺者の存在が発覚し、事態は一変する。

10. THE HIGHWAYMAN   New!

Craig Johnson クレイグ・ジョンソン

ワイオミングの保安官ウォルト・ロングマイヤを主人公にした、本国ではTVドラマ版も人気のシリーズ第13作。ウィンドリバー渓谷を巡回中のパトカーの無線に救難信号が入る。だが発信者は、半世紀前にそこで殉職したはずのアラパホ族のハイウェイパトロール警官だった。

【まとめ】

今週は4作が新たにランクインしました。『NOS4A2—ノスフェラトゥ』につづくジョー・ヒルの新作が初登場1位を獲得。著者のインタビューによれば、父スティーヴン・キングの『ザ・スタンド』の影響を大いに受けているとのことです。小学館より邦訳予定(刊行時期未定)で、フォックスで映画化も計画されています。7位のプレストン&チャイルドは、FBI特別捜査官ペンダーガスト・シリーズの第3作『殺人者の陳列棚』(二見文庫)まで邦訳が出ています。そして15位には、『解錠師』のスティーヴ・ハミルトンの新作“THE SECOND LIFE OF NICK MASON”がランクイン、こちらは6月18日に角川文庫より『ニック・メイソンの第二の人生』として邦訳が刊行されます。

中谷友紀子(なかたに ゆきこ)

関西在住の翻訳者。訳書にリンゼイ・J・パーマー『スキャンダラス 女たちの編集部』、ギリアン・フリン『カーターフック屋敷へようこそ』(電子書籍・短篇)など。フリン『冥闇』の映画化作品《ダーク・プレイス》が6月24日に公開されます。シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルト、クロエ=グレース・モレッツ共演のダークスリラーです。どうぞよろしくお願いします。