アメリカのベストセラー・ランキング

7月3日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. END OF WATCH    Stay

Stephen King スティーヴン・キング

退職刑事ビル・ホッジズを主人公とした3部作の最終作。助手のホリーとともに探偵社を営むホッジズは、母親が四肢麻痺の娘を殺して自殺した事件に疑念を抱く。その娘は7年前の“ミスター・メルセデス”事件で重傷を負った被害者のひとりだった。

2. FOREIGN AGENT    New!

Brad Thor ブラッド・ソー

アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第15作。シリアでの対テロ作戦のため、ハーヴァスの得た情報にしたがってイラクに潜んでいたCIAの秘密部隊が襲撃された。元の情報提供者の行方を追っていたハーヴァスは、アメリカへの憎悪に満ちた恐ろしい敵がいることに気づく。

3. THE GIRLS    New!

Emma Cline エマ・クライン

1969年の夏、カリフォルニアの孤独な14歳の少女イーヴィは、自由奔放な19歳のスザンヌと出会い、ヒッピーのグループに強く惹かれていく。だが、ようやく見つけたその居場所は暴力的なカルト集団だった。

4. TOM CLANCY: DUTY AND HONOR    New!

Grant Blackwood グラント・ブラックウッド

ジャック・ライアン・ジュニアを主人公としたスリラー第2作。暗殺者に襲われたジャック・ライアン・ジュニアは、捜査をすすめるうちにドイツの謎めいた警備会社に行き当たる。創設者のロストックはドイツ陸軍特殊部隊出身の高名な人物だが、ジャックにはロストックに狙われるだけの理由があった。

5. HERE’S TO US    New!

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

亡くなったセレブリティ・シェフの元妻である3人の女性とその子どもたちが、故人の遺言により、それぞれに思い出の詰まったナンタケットの別荘に集まった。“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。

6. THE GIRL ON THE TRAIN    Down

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。

7. AFTER YOU    Down

Jojo Moyes ジョジョ・モイーズ

2012年発表(邦訳は2015年)のベストセラー『ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日』の続編。前作は半年限定で介護職についたルイーザと、四肢麻痺の青年実業家ウィルとの物語で、今回はその後、主人公ルーがもがきながら自分の道を探そうとする姿を描く。

8. BEFORE THE FALL    Down

Noah Hawley ノア・ホーリー

ある夏の夜、11人の男女を乗せたプライベートジェット機がマサチューセッツ州沖の島からニューヨークをめざして飛び立ち、16分後に墜落する。生存者は画家と男児のふたりだけだった。犠牲者の素性や境遇がわかるにつれ、事故は仕組まれたものではないかという疑惑が深まっていく。

9. THE LAST MILE    Up

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

20年前に自分の両親を殺害して服役していた死刑囚が、べつの人物の自供によって刑の執行を免れた。超記憶症候群のため驚異的な記憶力を持つデッカー刑事は、FBIの特別チームの一員として真相究明に乗りだす。シリーズ第2作。

10. THE EMPEROR’S REVENGE    Down

Clive Cussler and Boyd Morrison クライブ・カッスラー、ボイド・モリソン

オレゴン・ファイル・シリーズ第11作。モナコグランプリの最中に銀行が襲われ、秘密工作船オレゴン号の活動資金が奪われる。船長のファン・カブリーヨと仲間たちは犯人を追うが、やがて世界を揺るがす陰謀が明らかになる。ナポレオンのロシア侵攻の際に盗まれた文書とは。

【まとめ】

今週は4作品が新たにランクインしました。2位のスコット・ハーヴァス・シリーズは、第1作『傭兵部隊〈ライオン〉を追え』からの3作品(早川書房)と、第11作『ブラック・リスト —極秘抹殺指令—』(SBクリエイティブ)が翻訳刊行されています。3位は著者の小説デビュー作。実在した殺人カルト集団マンソン・ファミリーをベースにし、カルトに加わったごく普通の少女の心情を描いたフィクションです。4位のグラント・ブラックウッドは、トム・クランシーの『デッド・オア・アライヴ』や、クライブ・カッスラーのトレジャーハンター・シリーズなどの共著者で、ジャック・ライアン・ジュニア・シリーズは昨年の“Tom Clancy: Under Fire”につづく2作目になります。ベストテン外では、11位に『シッピング・ニュース』、『ブロークバック・マウンテン』などで知られるアニー・プルーの“BARKSKINS”がはいっています。

佐藤桂(さとう けい)

神奈川県在住の翻訳者です。 この週末は木曜日から“Brexit”で大騒ぎとなりました。個人的に多少のご縁のある国なので国民投票には注目していましたが、今後どのような影響が出るのでしょう。このBrexitという語ですが、初出は2012年6月。シティグループのエコノミスト、エブラヒム・ラーバリ氏が同年2月に考案した“Grexit”から派生したと言われています。日本語では「英国離脱」「EU離脱」などと訳すのでしょうが、場合によってはブレグジットなどとカナを併記したほうがいいのか、縮めてくっつけた造語だとわかる工夫は要るのかなどと、些末なところも気になっています(笑)。こういうアイコン的な使い方をされることばを伝えるのは、むずかしいですね。