アメリカのベストセラー・ランキング

7月17日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. FIRST COMES LOVE    New!

Emily Giffin エミリー・ギフィン

結婚して子供をもちたい教師のジョシーと、完璧な仕事と家庭を手に入れながらも幸せを感じられない弁護士のメレディス。15年前、家族に起きたある出来事がもとで疎遠になっていた姉妹は、ともに30代後半を迎えたいま、和解への道を歩みはじめる。

2. THE GAMES    New!

James Patterson and Mark Sullivan ジェイムズ・パタースン、マーク・サリヴァン

元海兵隊のジャック・モーガンが民間調査会社“プライベート”を率いて難事件に取り組むシリーズの第7作。舞台はオリンピック開催を間近に控えたリオデジャネイロ。2年前のサッカー・ワールドカップ開催時に起きた不審死とも関連する大会阻止計画の情報を得たジャックたちは、前代未聞の大惨事を食い止めることができるのか。

3. THE GIRLS    Down

Emma Cline エマ・クライン

1969年の夏、カリフォルニアの孤独な14歳の少女イーヴィは、自由奔放な19歳のスザンヌと出会い、ヒッピーのグループに強く惹かれていく。だが、ようやく見つけたその居場所は暴力的なカルト集団だった。

4. END OF WATCH    Down

Stephen King スティーヴン・キング

退職刑事ビル・ホッジズを主人公とした3部作の最終作。助手のホリーとともに探偵社を営むホッジズは、母親が四肢麻痺の娘を殺して自殺した事件に疑念を抱く。その娘は7年前の“ミスター・メルセデス”事件で重傷を負った被害者のひとりだった。

5. THE GIRL ON THE TRAIN    Stay

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。

6. HERE’S TO US    Down

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

亡くなったセレブリティ・シェフの元妻である3人の女性とその子どもたちが、故人の遺言により、それぞれに思い出の詰まったナンタケットの別荘に集まった。“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。

7. AFTER YOU    Stay

Jojo Moyes ジョジョ・モイーズ

2012年発表(邦訳は2015年)のベストセラー『ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日』の続編。前作は半年限定で介護職についたルイーザと、四肢麻痺の青年実業家ウィルとの物語で、今回はその後、主人公ルーがもがきながら自分の道を探そうとする姿を描く。

8. BEFORE THE FALL    Up

Noah Hawley ノア・ホーリー

ある夏の夜、11人の男女を乗せたプライベートジェット機がマサチューセッツ州沖の島からニューヨークをめざして飛び立ち、16分後に墜落する。生存者は画家と男児のふたりだけだった。犠牲者の素性や境遇がわかるにつれ、事故は仕組まれたものではないかという疑惑が深まっていく。

9. FOREIGN AGENT    Down

Brad Thor ブラッド・ソー

アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第15作。シリアでの対テロ作戦のため、ハーヴァスの得た情報にしたがってイラクに潜んでいたCIAの秘密部隊が襲撃された。元の情報提供者の行方を追っていたハーヴァスは、アメリカへの憎悪に満ちた恐ろしい敵がいることに気づく。

10. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE   Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

【まとめ】

1位と2位に新作がランクインしましたが、比較的動きの少ない週でした。1位の“FIRST COMES LOVE”は、映画化もされた全米ベストセラーのラブ・コメディ『サムシング・ボロウ』(葉月悦子訳/宙出版オーロラブックス)の作者による最新作、今回は家族と友情、そして自分の心に従う勇気がテーマとのこと。2位のパタースン&サリヴァンは、同著者コンビによるシリーズ前作“PRIVATE PARIS”が3月に刊行されたばかりですが、オリンピック開催に合わせたこの時期の刊行が読者の気分を盛り上げていることがうかがえ、米amazon.comやGoodreadsの読者レビューでも多数言及されています。

吉井智津(よしいちづ)

大阪在住の翻訳者。訳書にベリンダ・バウアー『生と死にまつわるいくつかの現実』(小学館文庫)など。猫が活躍するノンフィクションを先日訳し終えたところです。