アメリカのベストセラー・ランキング

7月24日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. MAGIC    New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

年に一度、パリの名所で豪勢なディナーがふるまわれる。エッフェル塔、ルーブル美術館、ノートルダム……選ばれたゲストには秘密の招待状が送られ、会場では日没とともに数千本のキャンドルに火が灯される。食後、彼らは願いを書いた提灯を空に飛ばす。このディナーに参加した三組の夫婦に、夏の夜、パリでしかありえない魔法が始まる。

2. FIRST COMES LOVE    Down

Emily Giffin エミリー・ギフィン

結婚して子供をもちたい教師のジョシーと、完璧な仕事と家庭を手に入れながらも幸せを感じられない弁護士のメレディス。15年前、家族に起きたある出来事がもとで疎遠になっていた姉妹は、ともに30代後半を迎えたいま、和解への道を歩みはじめる。

3. THE GIRLS    Stay

Emma Cline エマ・クライン

1969年の夏、カリフォルニアの孤独な14歳の少女イーヴィは、自由奔放な19歳のスザンヌと出会い、ヒッピーのグループに強く惹かれていく。だが、ようやく見つけたその居場所は暴力的なカルト集団だった。

4. THE GAMES    Down

James Patterson and Mark Sullivan ジェイムズ・パタースン、マーク・サリヴァン

元海兵隊のジャック・モーガンが民間調査会社“プライベート”を率いて難事件に取り組むシリーズの第7作。舞台はオリンピック開催を間近に控えたリオデジャネイロ。2年前のサッカー・ワールドカップ開催時に起きた不審死とも関連する大会阻止計画の情報を得たジャックたちは、前代未聞の大惨事を食い止めることができるのか。

5. END OF WATCH    Down

Stephen King スティーヴン・キング

退職刑事ビル・ホッジズを主人公とした3部作の最終作。助手のホリーとともに探偵社を営むホッジズは、母親が四肢麻痺の娘を殺して自殺した事件に疑念を抱く。その娘は7年前の“ミスター・メルセデス”事件で重傷を負った被害者のひとりだった。

6. THE GIRL ON THE TRAIN    Down

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンに住むレイチェルは、毎朝同じ通勤電車に乗り、線路ぞいのある家に暮らす夫婦の朝食風景をながめるのを日課にしていたが、ある日意外な場面を車窓から目撃する。やがてその夫婦の妻の失踪が明らかになり……。イギリスの新人女性作家による心理サスペンス。邦訳『ガール・オン・ザ・トレイン』(池田真紀子訳)が講談社文庫より刊行されている。

7. AFTER YOU    Stay

Jojo Moyes ジョジョ・モイーズ

2012年発表(邦訳は2015年)のベストセラー『ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日』の続編。前作は半年限定で介護職についたルイーザと、四肢麻痺の青年実業家ウィルとの物語で、今回はその後、主人公ルーがもがきながら自分の道を探そうとする姿を描く。

8. HERE’S TO US    Down

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

亡くなったセレブリティ・シェフの元妻である3人の女性とその子どもたちが、故人の遺言により、それぞれに思い出の詰まったナンタケットの別荘に集まった。“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。

9. BEFORE THE FALL    Down

Noah Hawley ノア・ホーリー

ある夏の夜、11人の男女を乗せたプライベートジェット機がマサチューセッツ州沖の島からニューヨークをめざして飛び立ち、16分後に墜落する。生存者は画家と男児のふたりだけだった。犠牲者の素性や境遇がわかるにつれ、事故は仕組まれたものではないかという疑惑が深まっていく。

10. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE   Stay

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

【まとめ】

今週は新作は1作のみで、ほかは先週とあまり変わらず、変動の少ない週でした。新作で1位に輝いたダニエル・スティールの“Magic”はハートウォーミングな作品のようで、面白そうです。今回で114週(実に2年以上!)リストに残りつづけている“All The Light We Cannot See”は少しずつ日本語版の情報が出てきました。アンソニー・ドーアの過去作『シェル・コレクター』『メモリー・ウォール』は岩本正恵さんが訳されていたのですが、残念ながら一昨年に亡くなってしまい、今作は『タイガーズ・ワイフ』などを訳された藤井光さんが翻訳されたようです。邦題は『すべての見えない光』(仮題)で、8月発売予定とのことです。ちなみになのですが、日本のアマゾンで原書のKindle版を200円で購入できます(ということに、自分もさっき気づいて購入しました)。期間限定かもしれませんので、欲しい方はお急ぎください。

武藤陽生(むとう ようせい)

ゲーム、出版翻訳者。

今週はPS4でプレイ可能な『HEAVY RAIN 心の軋むとき』というゲームを紹介したいと思います。このゲーム、もとはPS3で発売されていたのですが、リマスター版が先日PS4で発売されました(日本ではダウンロード版のみ)。

アメリカのある街で起きている連続殺人事件をめぐって、4人の主人公を代わる代わる操作し、真犯人を突き止めていくアドベンチャーゲームです。この連続殺人鬼のターゲットは子供で、殺害現場に必ず折り紙を残していくことから、折り紙殺人鬼と呼ばれています。プレイヤーが操作するのは息子を犯人に誘拐されたイーサン、折り紙殺人鬼を追いかける探偵スコット、新聞記者のマディソン、FBI捜査官のノーマンで、それぞれの事情が絡み合いながら進むストーリー展開はサスペンスにあふれています。

プレイヤーのモラルが問われるような究極の選択もところどころにあり、ハラハラしっぱなし、心が軋みっぱなしで、真犯人が判明したときは度肝を抜かれました。ゲーム性としては、画面に表示されるボタンをタイミングよく押していくという操作が多く、難易度も選択できるため、それほど難しくありません。