アメリカのベストセラー・ランキング

8月14日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. TRULY MADLY GUILTY    New!

Liane Moriarty リアーン・モリアーティ

多忙ながらも充実した生活を送っていたサムとクレメンタインの夫婦は、友人に誘われてバーベキューに参加する。が、2か月後には、その誘いに応じたことをひどく後悔していた。バーベキューの際に何があったのか。彼らの罪悪感の正体が少しずつ明かされていく。

2. THE BLACK WIDOW    Down

Daniel Silva ダニエル・シルヴァ

美術修復師にしてイスラエル諜報機関の伝説のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第16作。パリ・マレ地区のユダヤ人街でISISによる大規模な爆弾テロが発生。フランス政府より協力要請を受けたアロンは、次なる攻撃を阻止すべく、イスラエル人の女性医師をスパイとしてISISに潜入させる。

3. THE GIRLS    Down

Emma Cline エマ・クライン

1969年の夏、カリフォルニアの孤独な14歳の少女イーヴィは、自由奔放な19歳のスザンヌと出会い、ヒッピーのグループに強く惹かれていく。だが、ようやく見つけたその居場所は暴力的なカルト集団だった。

4.THE WOMAN IN CABIN 10    Stay

Ruth Ware ルース・ウェア

小型客船で北海をイギリスからノルウェーへ向かう途中、旅行雑誌の記者ローラは、深夜に人が海に落ちたような音を聞く。隣の10号室の女がいなくなっていたが、姿を見かけたのはローラだけで、船員も乗客も全員が10号室は空室だったと言う。自分を疑いながらも、ローラは独自に調査をはじめる。

5. FIRST COMES LOVE    Down

Emily Giffin エミリー・ギフィン

結婚して子供をもちたい教師のジョシーと、完璧な仕事と家庭を手に入れながらも幸せを感じられない弁護士のメレディス。15年前、家族に起きたある出来事がもとで疎遠になっていた姉妹は、ともに30代後半を迎えたいま、和解への道を歩みはじめる。

6. THE NIGHTINGALE    Stay

Kristin Hannah クリスティン・ハナ

ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。小学館より『ナイチンゲール(上・下)』(加藤洋子訳)として邦訳が刊行されている。

7. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE   Up

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

8. HEROES OF THE FRONTIER    New!

Dave Eggers デイヴ・エガーズ

不運がつづいて仕事を失い、心に深い傷を負ったシングルマザーのジョージーは、八歳の息子と五歳の娘を連れ、車でアラスカへの旅に出る。そして自然の脅威にさらされ、過去の亡霊に苦しめられながらも、自分なりの幸福を見いだしていく。

9. MAGIC    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

年に一度、パリの名所で豪勢なディナーがふるまわれる。エッフェル塔、ルーブル美術館、ノートルダム……選ばれたゲストには秘密の招待状が送られ、会場では日没とともに数千本のキャンドルに火が灯される。食後、彼らは願いを書いた提灯を空に飛ばす。このディナーに参加した三組の夫婦に、夏の夜、パリでしかありえない魔法が始まる。

10. END OF WATCH    Down

Stephen King スティーヴン・キング

退職刑事ビル・ホッジズを主人公とした3部作の最終作。助手のホリーとともに探偵社を営むホッジズは、母親が四肢麻痺の娘を殺して自殺した事件に疑念を抱く。その娘は7年前の“ミスター・メルセデス”事件で重傷を負った被害者のひとりだった。

【まとめ】

1位と8位に新作がランクインしました。1位のモリアーティはオーストラリアの作家で、2014年刊の“BIG LITTLE LIES”も本ランキングで1位を獲得し、東京創元社から『ささやかで大きな嘘』として邦訳が刊行されました。同作はニコール・キッドマン、リース・ウィザースプーン主演でテレビドラマ化され、来年から放映される模様です。8位のエガーズは、近未来の超管理社会を描いた“THE CIRCLE”が日本でも『ザ・サークル』の邦題で早川書房から刊行され、話題となりました。同作はエマ・ワトソン、トム・ハンクスの共演で映画化されるとのこと。トップテン外では、ロマンス作家J・R・ウォードの新シリーズ第2作“THE ANGELS’ SHARE”などが新たに登場しています。

青木創(あおき はじめ)

フィクション翻訳とノンフィクション翻訳の両方を手がけています。訳書に、D・ワッツ『偶然の科学』、A・フランセス『〈正常〉を救え』、P・メイ『さよなら、ブラックハウス』など。暑い日がつづいていますね。近ごろは熱波に襲われたオーストラリアが舞台のミステリに取り組んでいるので、よけいに暑く感じられます。みなさまもどうぞご自愛ください。