アメリカのベストセラー・ランキング

8月21日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. BULLSEYE    New!

James Patterson and Michael Ledwidge ジェイムズ・パタースン、マイクル・レドウィッジ

ニューヨーク市警刑事マイケル・ベネット・シリーズの第9作。アメリカとロシアの緊張関係が高まるなか、両国大統領がマンハッタンの国連本部で会談することに。だが、アメリカ大統領は夫婦二人組の殺し屋に命を狙われていた。はたして、ベネットは暗殺を阻止できるのか。

2. SWEET TOMORROWS    New!

Debbie Macomber デビー・マッコーマー

シーダー・コーヴ・シリーズのスピンオフ作品であるローズ・ハーバー・シリーズの第5作にして完結編。ジョー=マリーが女主人をつとめる海辺の町のB&Bに泊まりにやってきた教師のメアリー。心の傷を抱えてシーダー・コーヴに家を探しにきた彼女は、家主である孤独な男ニックと出会い、やがて距離を縮めていく。

3. TRULY MADLY GUILTY    Down

Liane Moriarty リアーン・モリアーティ

多忙ながらも充実した生活を送っていたサムとクレメンタインの夫婦は、友人に誘われてバーベキューに参加する。が、2か月後には、その誘いに応じたことをひどく後悔していた。バーベキューの際に何があったのか。彼らの罪悪感の正体が少しずつ明かされていく。

4. THE UNDERGROUND RAILROAD    New!

Colson Whitehead コルソン・ホワイトヘッド

19世紀、奴隷制がまだ認められていた南部諸州からの黒人奴隷たちの逃亡を手助けした組織「地下鉄道」。本当に地下を走る逃亡奴隷のための鉄道が存在していたら……という設定のもとで、ジョージア州の綿花プランテーションから逃げだした十代の黒人奴隷の少女の旅を描いたスペキュレイティブ・フィクション。

5. THE BLACK WIDOW    Down

Daniel Silva ダニエル・シルヴァ

美術修復師にしてイスラエル諜報機関の伝説のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第16作。パリ・マレ地区のユダヤ人街でISISによる大規模な爆弾テロが発生。フランス政府より協力要請を受けたアロンは、次なる攻撃を阻止すべく、イスラエル人の女性医師をスパイとしてISISに潜入させる。

6. THE WOMAN IN CABIN 10    Down

Ruth Ware ルース・ウェア

小型客船で北海をイギリスからノルウェーへ向かう途中、旅行雑誌の記者ローラは、深夜に人が海に落ちたような音を聞く。隣の10号室の女がいなくなっていたが、姿を見かけたのはローラだけで、船員も乗客も全員が10号室は空室だったと言う。自分を疑いながらも、ローラは独自に調査をはじめる。

7. THE GIRLS    Down

Emma Cline エマ・クライン

1969年の夏、カリフォルニアの孤独な14歳の少女イーヴィは、自由奔放な19歳のスザンヌと出会い、ヒッピーのグループに強く惹かれていく。だが、ようやく見つけたその居場所は暴力的なカルト集団だった。

8. SMOOTH OPERATOR    New!

Stuart Woods and Parnell Hall スチュアート・ウッズ、パーネル・ホール

米国下院議長をつとめる共和党議員の娘が誘拐され、党が反対している法案を通過させなければ娘を殺すとの脅迫が。元CIAエージェントで変装の名人テディ・フェイが事件解決に乗りだす。人気作家2人の共著による新アクション・シリーズの第1弾。

9. DARK CAROUSEL    New!

Christine Feehan クリスティン・フィーハン

カルパチアンのタリクは、経営するナイトクラブにやってきたフランス生まれのシャルロットを見そめ、運命の伴侶(ライフメイト)にしたいと望むが、彼女には残忍なヴァンパイアの魔の手が迫っていた。ヴァンパイアに似た謎の種族“カルパチアン”をめぐる人気パラノーマル・ロマンス・シリーズ第30作。

10. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE    Down

Anthony Doerr アンソニー・ドーア

フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスから邦訳刊行予定。

【まとめ】

トップテンのうち5作が初登場の新作という入れ替わりの多い週となりました。1位に輝いたのはベストセラー作家パタースンとレドウィッジの共著によるマイケル・ベネット・シリーズの最新作。新作が出るたびに当欄にランクインしている人気シリーズです。2位には女性小説の巨匠マッコーマーによるヒューマンドラマ・シリーズの完結編が入りました。4位の“THE UNDERGROUND RAILROAD”はオプラ・ウィンフリー・ショーのブックコーナーで紹介された注目作。著者のコルソン・ホワイトヘッドは未邦訳ながら“ポスト・ソウル世代”を代表する評価の高い黒人作家です。また9位に入ったフィーハンの闇の一族カルパチアン・シリーズは、第3作『夜霧は愛とともに』まで二見文庫より邦訳が刊行されています。

満園真木(みつぞの まき)

東京在住の翻訳者。8月5日に最新訳書『視える女』(ベリンダ・バウアー著、小学館文庫)が刊行されました。子供の失踪事件と霊能捜査がテーマの、夏にぴったりのオカルト風味のミステリーです。訳書はほかにバリー・ライガ『さよなら、シリアルキラー』、『殺人者たちの王』、『ラスト・ウィンター・マーダー』(いずれも創元推理文庫)、ベリンダ・バウアー『ラバーネッカー』(小学館文庫)など。