アメリカのベストセラー・ランキング
9月11日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. THE UNDERGROUND RAILROAD Stay
Colson Whitehead コルソン・ホワイトヘッド
19世紀、奴隷制がまだ認められていた南部諸州からの黒人奴隷たちの逃亡を手助けした組織「地下鉄道」。本当に地下を走る逃亡奴隷のための鉄道が存在していたら……という設定のもとで、ジョージア州の綿花プランテーションから逃げだした十代の黒人奴隷の少女の旅を描いたスペキュレイティブ・フィクション。
2. STING Stay
Sandra Brown サンドラ・ブラウン
殺し屋のショーが生きたままジョーディーを拉致したのは彼女の兄が隠した3千万ドルが目的だった。だが、兄の元ボスやFBIもまた、同じものを追っていた。共通の敵を出し抜いて生き延びるため、2人は牽制しあいながらも寝食を共にし、たがいの存在に頼ることを余儀なくされる。ロマンティック・サスペンスのヒット・メイカーによる最新刊。
3. CURIOUS MINDS Stay
Janet Evanovich and Phoef Sutton ジャネット・イヴァノヴィッチ、フェフ・サットン
ハーバード卒のテキサス娘ライリー・ムーンは、メガバンクのアナリストという夢に描いたとおりの職を得る。ところが初仕事で任されたのは、社会常識ゼロのハンサムな大富豪エマーソン・ナイトのお守り役。おかしなコンビの行くところ、巨額の金が絡む陰謀が次々と降りかかってくることに。ムーン&ナイトの新シリーズ第1作。
4. THE WOMAN IN CABIN 10 Stay
Ruth Ware ルース・ウェア
小型客船で北海をイギリスからノルウェーへ向かう途中、旅行雑誌の記者ローラは、深夜に人が海に落ちたような音を聞く。隣の10号室の女がいなくなっていたが、姿を見かけたのはローラだけで、船員も乗客も全員が10号室は空室だったと言う。自分を疑いながらも、ローラは独自に調査をはじめる。
5. TRULY MADLY GUILTY Stay
Liane Moriarty リアーン・モリアーティ
多忙ながらも充実した生活を送っていたサムとクレメンタインの夫婦は、友人に誘われてバーベキューに参加する。が、2か月後には、その誘いに応じたことをひどく後悔していた。バーベキューの際に何があったのか。彼らの罪悪感の正体が少しずつ明かされていく。
6. DAMAGED Stay
Lisa Scottoline リザ・スコットライン
《女性だけの弁護士事務所ロザート・アンド・アソシエイツ》シリーズ第15作。失語症のハンデを抱える5年生のパトリックは、学校の補助教員に危害をくわえたとして訴訟を起こされる。弁護にあたるメアリー・ディナンツィオは、少年の葛藤に深く寄り添いながら正義を求めていく。
7. BULLSEYE Stay
James Patterson and Michael Ledwidge ジェイムズ・パタースン、マイクル・レドウィッジ
ニューヨーク市警刑事マイケル・ベネット・シリーズの第9作。アメリカとロシアの緊張関係が高まるなか、両国大統領がマンハッタンの国連本部で会談することに。だが、アメリカ大統領は夫婦二人組の殺し屋に命を狙われていた。はたして、ベネットは暗殺を阻止できるのか。
8. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE Up
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスより、8月26日に邦訳『すべての見えない光』(藤井光訳)が刊行。
9. THE NIGHTINGALE Up
Kristin Hannah クリスティン・ハナ
ドイツ軍に占領されたロワール地方の村で幼い娘をかかえて苦労するヴィアンヌと、パリでレジスタンスの活動に身を投じたイザベル。第二次大戦中のフランスを舞台に、苛酷な時代を強く生き抜いた姉妹の姿を描く。小学館より『ナイチンゲール(上・下)』(加藤洋子訳)として邦訳が刊行されている。
10. THE GIRLS Up
Emma Cline エマ・クライン
1969年の夏、カリフォルニアの孤独な14歳の少女イーヴィは、自由奔放な19歳のスザンヌと出会い、ヒッピーのグループに強く惹かれていく。だが、ようやく見つけたその居場所は暴力的なカルト集団だった。
【まとめ】
今週はなんと! 新作が1本もありません。そういう週もあるんですね。おまけに1位から7位まで先週とまったく同じランキングです。もしかしたら、自分は先週のランキングを見ているのではないだろうか……と不安になりましたが、8位以降は多少変動しています。11位以下についても、とくにめぼしい新作はないようです。なので、ノンフィクションのランキングで先週から1位になっている『The Girl witht the Lower Back Tatoo』という作品を紹介したいと思います。これはエイミー・シューマーというコメディアン兼俳優兼作家である女性が書いた自伝で、タイトルはご存じ『ドラゴン・タトゥーの女』のパロディです。内容は彼女のティーン時代の家族のこと、人間関係のこと、セックスのことなどをユーモアを交えて綴ったもの、ということで、なかなかおもしろそうです。
武藤陽生(むとう ようせい) |
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ゲーム、出版翻訳者。 今日は『Lifeline クライシス・ライン』というiPhone、Android対応のちょっと毛色の変わったゲームを紹介します。 これは小説のように大量のテキストだけでゲームが進行する、いわゆるテキスト・アドベンチャーと呼ばれるジャンルのゲームです。このジャンル自体は実に1970年代から存在しているのですが、そこに現代のLINE風のUIと演出を加えたところに新味があります。 ちょうど1年ぐらいまえ、シリーズ1作目となる『Lifeline』が発売されました。これは宇宙船が事故に遭った宇宙飛行士とリアルタイムでやりとりして、生存へ導くという内容で、言ってみれば「オデッセイ」のマット・デイモンと交信して彼を助けるというようなゲームでした。これが人気を博したため、以後同じシステムで手を変え品を変え、何作かの『Lifeline』シリーズが発売されました。 今作の『Lifeline クライシス・ライン』では、プレイヤーは殺人課の刑事とやりとりしながら、奇怪な殺人事件を解決に導きます。やりとりはリアルタイムで進み、相手の刑事がピンチに陥った場合、実時間で数時間ものあいだ、連絡が途絶えたりします。アプリのゲームをプレイしているだけなのに、実際に電話の向こうにいる誰かとやりとりしているかのような錯覚を味わえるのがこのシリーズの人気の理由でしょう。 (日本語にも翻訳されています) 今作はミステリー仕立てで、このサイトで紹介するのにぴったりだと思ったのですが、ちょっとオカルト色が強く、好き嫌いはあるかもしれません。雪山で遭難した主人公を手助けする『Lifeline ホワイトアウト』など、いくつかの作品が出ていますので、心惹かれるものがあったらぜひどれかプレイしてみてください。値段はどれもお手頃です。 iTunes Storeのページはこちらになります。 |