アメリカのベストセラー・ランキング

9月25日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. APPRENTICE IN DEATH    New!

J. D. Robb J・D・ロブ

にぎわうセントラルパークのスケートリンクで3人の無辜の市民が狙撃され死亡する。イヴと夫ロークの捜査の結果、狙撃犯は2人組で、師弟関係にあるらしい。やがてニューヨークの街を震撼させる第2の狙撃事件が発生し……イヴ&ローク・シリーズ第43作。

2. RAZOR GIRL    New!

Carl Hiaasen カール・ハイアセン

詐欺師のメリーはフロリダキーズへと向かう路上で悪徳開発業者の車にわざと追突し事故を起こす……はずが、相手を間違えて芸能エージェントのクールマンのレンタカーにぶつけてしまってさあ大変。クールマンがマネジメントするリアリティテレビの人気者バック・ナンスもからんで、事態は思わぬ方向へ転がってゆくことに。

3. THE UNDERGROUND RAILROAD    Down

Colson Whitehead コルソン・ホワイトヘッド

19世紀、奴隷制がまだ認められていた南部諸州からの黒人奴隷たちの逃亡を手助けした組織「地下鉄道」。本当に地下を走る逃亡奴隷のための鉄道が存在していたら……という設定のもとで、ジョージア州の綿花プランテーションから逃げだした十代の黒人奴隷の少女の旅を描いたスペキュレイティブ・フィクション。

4. A GREAT RECKONING    Down

Louise Penny ルイーズ・ペニー

ガマシュ警部シリーズ12作目(第4作『スリー・パインズ村と警部の苦い夏』まで邦訳あり)。警察学校長としてケベック州警察にもどってきたガマシュ元警部。着任後まもなく、教官のひとりが殺された。犯人は訓練生なのか、それとも……。被害者の部屋に残された古い地図のコピーは何を意味しているのか? そして明らかになる過去とは?

5. THE WOMAN IN CABIN 10    Down

Ruth Ware ルース・ウェア

小型客船で北海をイギリスからノルウェーへ向かう途中、旅行雑誌の記者ローラは、深夜に人が海に落ちたような音を聞く。隣の10号室の女がいなくなっていたが、姿を見かけたのはローラだけで、船員も乗客も全員が10号室は空室だったと言う。自分を疑いながらも、ローラは独自に調査をはじめる。

6. RUSHING WATERS    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

ハリケーンが近づくなか、夫の心配をよそに、仕事を兼ねてニューヨークに住む母のもとを訪れたロンドンのインテリア・デザイナー、エレン。大水害が起き、混乱に陥った街で、エレンと母親、そして偶然に居合わせた6人の奮闘を描く。

7. HERE I AM    New!

Jonathan Safran Foer ジョナサン・サフラン・フォア

ユダヤ人のジェイコブ・ブロックはワシントンDCに暮らすテレビ脚本家。息子のバル・ミツバーの儀式を控えた矢先に中東で大地震が発生し、イスラエルが存亡の危機に。全世界のユダヤ人に対して、祖国を守るべく帰ってきて戦えとの呼びかけがなされるが——『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』で知られる著者の11年ぶりの新作小説。

8. A GENTLEMAN IN MOSCOW    New!

Amor Towles エイモア・タウルズ

1922年、反体制的な詩を書いたとしてスターリン政権によりモスクワ中心部のメトロポール・ホテルに軟禁されることになったロストフ伯爵。彼がそこで過ごした30年間を描く。2011年に“THE RULES OF CIVILITY”でデビューした著者の長篇第2作。

9. TRULY MADLY GUILTY    Down

Liane Moriarty リアーン・モリアーティ

多忙ながらも充実した生活を送っていたサムとクレメンタインの夫婦は、友人に誘われてバーベキューに参加する。が、2か月後には、その誘いに応じたことをひどく後悔していた。バーベキューの際に何があったのか。彼らの罪悪感の正体が少しずつ明かされていく。

10. DOWNFALL    New!

J. A. Jance J・A・ジャンス

アリゾナ州コーチース郡の保安官ジョアンナ・ブレイディ・シリーズ第17作。保安官選挙を前にして、大学進学を控えた娘と5歳の息子をかかえ、さらに3人目を妊娠中のジョアンナは大忙し。そんな折、地元の丘のふもとで2人の女性の転落死体が見つかる。

【まとめ】

トップテンに新作が5作入りました。初登場1位に輝いたJ・D・ロブ(ノーラ・ロバーツの別名義)のイヴ&ローク・シリーズは当欄でも常連の人気長寿シリーズ。邦訳も年2〜3冊のペースで継続的に出されており、今月28日にシリーズ第40作『冷笑は祝祭の影で』がヴィレッジブックスより刊行予定です。2位には、日本でもおなじみの作家カール・ハイアセン(直近の邦訳は2014年に文春文庫より刊行された『これ誘拐だよね?』)の新作がランクイン。今回もフロリダを舞台に癖のあるキャラクターたちが大暴れするハイアセン印のドタバタ怪作となっているようです。また圏外の11位にはウィリアム・ケント・クルーガーの“MANITOU CANYON”が入りました。元保安官コーク・オコナー・シリーズの第15作。邦訳はシリーズ第7作『血の咆哮』(講談社文庫)まで出ています。

満園真木(みつぞの まき)

東京在住の翻訳者。先月、最新訳書『視える女』(ベリンダ・バウアー著、小学館文庫)が刊行されました。子供の失踪事件と霊能捜査がテーマのオカルト風味のミステリーです。訳書はほかにバリー・ライガ『さよなら、シリアルキラー』、『殺人者たちの王』、『ラスト・ウィンター・マーダー』(いずれも創元推理文庫)、ベリンダ・バウアー『ラバーネッカー』(小学館文庫)など。