アメリカのベストセラー・ランキング

10月23日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. TWO BY TWO    New!

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

幸せなはずだった結婚生活が破綻し、華やかなPRの職も失った32歳のラス。6歳の娘ロンドンを抱えてシングルファザーとなり、想像もつかなかった新しい生活と新しい恋に踏みだす。

2. THE TRESPASSER    New!

Tana French タナ・フレンチ

2007年に“IN THE WOODS”(『悪意の森』)でエドガー賞をはじめミステリー各賞の新人賞を獲得したアイルランド人作家による、ダブリン殺人課シリーズ第6作。アパートメントで若い女性が殺害され、その恋人に容疑がかけられた。殺人課唯一の女性刑事コンウェイは、見かけよりずっと複雑なこの事件に立ち向かう。

3. COMMONWEALTH    Stay

Ann Patchett アン・パチェット

1960年代のロサンゼルスにはじまる、半世紀にわたる物語。バートは幼い子供3人と身重の妻がいる家に帰る気になれず、ほとんど見も知らぬ他人の娘の洗礼を祝うパーティに紛れこむ。そこでバートは娘の母親のベヴァリーにひと目で心を奪われてしまう。突然の出会いはふたつの家族を壊し、徐々に変形させてゆく

4. WOMAN OF GOD    Down

James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・ペトロ

初の女性教皇の誕生か。コンクラーベの行方を世界が固唾をのんで見守っていた——度重なる苦難や危険に信仰を試されながらも、医師から聖職者へと転身し、宗教改革運動に身を投じる女性の数奇な運命が描かれる。女性殺人捜査クラブ・シリーズで知られるコンビによる、スタンドアローンの異色スリラー。

5. HOME    Down

Harlan Coben ハーラン・コーベン

マイロン・ボライター・シリーズの第11作。2軒の裕福な家庭から、子供がひとりずつ誘拐される。身代金の要求はあったものの、その後犯人からの連絡は途絶える。10年の月日が流れたのち、マイロンと友人のウィンは子供のひとりを見つける。10年のあいだ、その子供はどこで何をしていたのか。もうひとりの子供はどうなったのか。

6. TODAY WILL BE DIFFERENT    New!

Maria Semple マリア・センプル

駄目な自分を反省し、きょうはいつもと違う理想的な行動をしようと思い立ったエレナーに、想定外の出来事がつぎつぎと起こる。息子ティンビーは仮病で学校を抜け出し、職場にいるはずの外科医の夫ジョーは不可解な「休暇」中——2012年のベストセラーで映画化も予定されている“WHERE’D YOU GO, BERNADETTE”の著者による3作目の小説。

7. TWELVE DAYS OF CHRISTMAS    New!

Debbie Macomber デビー・マッコーマー

ハンサムだが無愛想な隣人ケインの心を開かせようと、クリスマスまでの12日間、ケインを「親切攻め」にして攻略すると決めたジュリア。その過程をブログに公開し人気を集めるものの、しだいにケインに惹かれていくジュリアは、ブログの存在を打ち明けるかどうか逡巡する。

8. THE WOMAN IN CABIN 10    Down

Ruth Ware ルース・ウェア

小型客船で北海をイギリスからノルウェーへ向かう途中、旅行雑誌の記者ローラは、深夜に人が海に落ちたような音を聞く。隣の10号室の女がいなくなっていたが、姿を見かけたのはローラだけで、船員も乗客も全員が10号室は空室だったと言う。自分を疑いながらも、ローラは独自に調査をはじめる。

9. THE UNDERGROUND RAILROAD    Down

Colson Whitehead コルソン・ホワイトヘッド

19世紀、奴隷制がまだ認められていた南部諸州からの黒人奴隷たちの逃亡を手助けした組織「地下鉄道」。本当に地下を走る逃亡奴隷のための鉄道が存在していたら……という設定のもとで、ジョージア州の綿花プランテーションから逃げだした十代の黒人奴隷の少女の旅を描いたスペキュレイティブ・フィクション。

10. WINTER STORMS    New!

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

たてつづけに起きたさまざまな困難を乗り越え、ようやく家族が集って特別なクリスマスを迎えようとしていたクイン家。だがその直前、一家が愛するナンタケット島に強大な雪嵐が襲いかかろうとしていた。ウィンター・ストリート三部作の完結編。

【まとめ】

今週はロマンスの人気作家によるクリスマス・ノベル2作品をはじめ、新たに5作品がランクインしました。1位は『きみに読む物語』で知られるベストセラー作家ニコラス・スパークスが描く、無償の愛の物語。2位のタナ・フレンチによるダブリン殺人課シリーズは、第3作『葬送の庭』まで邦訳が刊行されています。またトップテン外では、2001年から2003年に公的な米国桂冠詩人に任ぜられていたビリー・コリンズの詩集“THE RAIN IN PORTUGAL”が15位にはいっています。

佐藤桂(さとう けい)

神奈川在住の翻訳者です。訳書に『中途の家』(越前敏弥さんとの共訳)、『世界のEMOJIへ: 絵文字の成り立ちとグローバルな展開』(Amazon Kindle Singles)など。