アメリカのベストセラー・ランキング
11月13日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. THE WHISTLER New!
John Grisham ジョン・グリシャム
裁判官への苦情を調査する仕事について9年、フロリダの弁護士レイシーの平穏だった日々は、インディアン・カジノをめぐる組織犯罪と、それにからむ判事の不正を伝える密告者との出会いによって一変する。
2. TWO BY TWO Stay
Nicholas Sparks ニコラス・スパークス
幸せなはずだった結婚生活が破綻し、華やかなPRの職も失った32歳のラス。6歳の娘ロンドンを抱えてシングルファザーとなり、想像もつかなかった新しい生活と新しい恋に踏みだす。
3. SMALL GREAT THINGS Stay
Jodi Picoult ジョディ・ピコー
ベテラン看護師のルースは呼吸困難を起こした新生児を前に躊躇した。黒い指で絶対に子どもに触れるなと、その子の親に禁じられていたのだ。一瞬の迷いのせいで重い刑事責任を問われることになった彼女を救うため、白人弁護士は人種を武器にメディアを操る戦略を推してくるが……。ベストセラー作家ピコーが、現代の人種問題に切り込んでいく。
4. ESCAPE CLAUSE Down
John Sandford ジョン・サンドフォード
法執行機関で働くヴァージル・フラワーズを主人公にしたシリーズ9作目。ミネソタ動物園から2匹のアムール虎がいなくなった。どうやら盗み出されたらしく、ヴァージルは調査に乗り出す。時を同じくして、ガールフレンドであるフランキーの妹、スパークルが越してきて、事態はより複雑になる。彼女は移民労働者の調査をしているのだが、調査を望まない裏社会の人間がいるらしい。さらに、彼女はヴァージルに好意を抱きはじめ……
5. VINCE FLYNN: ORDER TO KILL Stay
Kyle Mills カイル・ミルズ
テロリストの手から核兵器を守るべく奔走していたCIA諜報員ミッチ・ラップは、中東を凌駕するほどの破壊的な目論見がロシアで進行していると気づき、ISISのリクルーターを装ってモスクワに潜入する。ミッチ・ラップ・シリーズの第15作。原作者ヴィンス・フリンが他界し、14作目からカイル・ミルズが書き継いでいる。
6. A BAXTER FAMILY CHRISTMAS New!
Karen Kingsbury カレン・キングズベリー
娘のエリン夫妻とその4人の子供たちの命を一度に奪った自動車事故から2年、ジョン・バクスターは、エリンの心臓を移植手術で受け継いだケンドラ・ブライアントをクリスマスの食事に招く。悲劇から時を経て、あらたに紡ぎ出される愛と救済の物語。
7. SEX, LIES AND SERIOUS MONEY New!
Stuart Woods スチュアート・ウッズ
ニューヨーク市警の刑事から弁護士に転じたストーン・バリントンを主人公とするシリーズの第39作。あらたなクライアントのローレンスは、宝くじで当てた6億ドルを手に英国からやってきた。依頼内容は、賞金の使い方についてアドバイスをするというものだったが、仕事はそれだけでは終わらなかった。
8. THE BLOOD MIRROR New!
Brent Weeks ブレント・ウィークス
架空世界クロメリアを舞台にした叙事詩的ファンタジー“ライトブリンガー・シリーズ”の第4作。自らがつくった牢獄に囚われ、力を奪われた元皇帝のギャヴィン。妻のカリスは、崩壊寸前の帝国を救うため、不信感を抱きながらもギャヴィンの父アンドロスの軍に加わり、兄が率いる反乱軍と戦う。
9. THE OBSIDIAN CHAMBER Down
Douglas Preston and Lincoln Child ダグラス・プレストン、リンカーン・チャイルド
FBI特別捜査官ペンダーガスト・シリーズの第16作。ペンダーガスト捜査官は前作の最後で海に落ちて行方不明となり、死亡したと考えられている。その後、彼の同居人コンスタンス・グリーンがマンハッタンのアパートメントから誘拐される。長年ペンダーガストのボディガードを務めていたプロクターは、彼女を誘拐した犯人を追い、海を渡って不毛の地に足を踏み入れる。
10. COMMONWEALTH Down
Ann Patchett アン・パチェット
1960年代のロサンゼルスにはじまる、半世紀にわたる物語。バートは幼い子供3人と身重の妻がいる家に帰る気になれず、ほとんど見も知らぬ他人の娘の洗礼を祝うパーティに紛れこむ。そこでバートは娘の母親のベヴァリーにひと目で心を奪われてしまう。突然の出会いはふたつの家族を壊し、徐々に変形させてゆく
【まとめ】
1位にグリシャムの新作が登場しました。リーガル・サスペンスの名手による最新作は、メインキャラクターである弁護士vs.判事のふたりが女性という設定。また、6位、7位、8位にも新作がランクインし、今週は4作品があらたにベスト10入りしました。6位のキングズベリーは、3作品が邦訳刊行されている“赤い手袋の奇跡”シリーズの作者で、今回の作品はバクスター家の人々を主人公にした別シリーズの24作目にあたる最新作。7位はシリーズ39作目を迎えるウッズの最新作、次作以降も予定されており、根強い人気です。8位のウィークスは、シリーズ前作“THE BROKEN EYE”に引き続きトップ10入りを果たしています。
吉井智津(よしい ちづ) |
---|
大阪在住の翻訳者。訳書にベリンダ・バウアー『生と死にまつわるいくつかの現実』など。 |