アメリカのベストセラー・ランキング

11月27日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. NIGHT SCHOOL    New!

Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズの第21作。今回はリーチャーが陸軍にいたころの過去の活躍を描く。イスラム教テロ組織に機密情報を売り渡そうとしているアメリカ人をとらえろ——極秘任務を与えられ、リーチャーはFBIとCIAのエージェントとともにハンブルクへ向かう。

2. THE WHISTLER    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

裁判官への苦情を調査する仕事について9年、フロリダの弁護士レイシーの平穏だった日々は、インディアン・カジノをめぐる組織犯罪と、それにからむ判事の不正を伝える密告者との出会いによって一変する。

3. THE WRONG SIDE OF GOODBYE    Down

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロス市警退職後、私立探偵業をはじめるかたわら、小さな町の警察署の予備警察官となったボッシュ。さっそく連続婦女暴行事件の捜査に参加する一方、余命わずかな富豪から、遠い昔に別れた恋人が産んだはずの自分の子供を捜してほしいと依頼される。ハリー・ボッシュ・シリーズ第21作。

4. TWO BY TWO    Down

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

幸せなはずだった結婚生活が破綻し、華やかなPRの職も失った32歳のラス。6歳の娘ロンドンを抱えてシングルファザーとなり、想像もつかなかった新しい生活と新しい恋に踏みだす。

5. THE CHEMIST    New!

Stephanie Meyer ステファニー・メイヤー

トワイライト・シリーズの著者によるスパイスリラー。米国政府の組織下でテロ容疑者の尋問に使う薬を調合していた女性工作員は、秘密を知りすぎたために命を狙われている。そんなとき、最後にあと一度だけ仕事をすれば逃がしてやるとかつての上司からメールが届く。

6. SMALL GREAT THINGS    Down

Jodi Picoult ジョディ・ピコー

ベテラン看護師のルースは呼吸困難を起こした新生児を前に躊躇した。黒い指で絶対に子どもに触れるなと、その子の親に禁じられていたのだ。一瞬の迷いのせいで重い刑事責任を問われることになった彼女を救うため、白人弁護士は人種を武器にメディアを操る戦略を推してくるが……。ベストセラー作家ピコーが、現代の人種問題に切り込んでいく。

7. THIS WAS A MAN    New!

Jeffrey Archer ジェフリー・アーチャー

激動の20世紀イギリスを生きる一族を描いた〈クリフトン年代記〉の第7部にして最終巻。ハリーはみずからの代表作となる作品の執筆に取りかかるが、妻のエマに問題が持ちあがる。ストーリーテラーが紡ぐ、ふたつの家族の波乱に富んだ歴史。

8. THE AWARD    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

第二次大戦中、フランス・リヨンに暮らす娘ガエルは、ドイツ軍に家族を殺され、レジスタンス運動に身を投じる。だが、心あるドイツ人将校の協力でフランスの文化遺産の保護に関わったことから、対独協力者の汚名を着せられることになり……時代に翻弄された女性が名誉を回復するまでの長い道のりを描いたヒストリカル・フィクション。

9. VINCE FLYNN: ORDER TO KILL    Down

Kyle Mills カイル・ミルズ

テロリストの手から核兵器を守るべく奔走していたCIA諜報員ミッチ・ラップは、中東を凌駕するほどの破壊的な目論見がロシアで進行していると気づき、ISISのリクルーターを装ってモスクワに潜入する。ミッチ・ラップ・シリーズの第15作。原作者ヴィンス・フリンが他界し、14作目からカイル・ミルズが書き継いでいる。

10. ESCAPE CLAUSE    Down

John Sandford ジョン・サンドフォード

法執行機関で働くヴァージル・フラワーズを主人公にしたシリーズ9作目。ミネソタ動物園から2匹のアムール虎がいなくなった。どうやら盗み出されたらしく、ヴァージルは調査に乗り出す。時を同じくして、ガールフレンドであるフランキーの妹、スパークルが越してきて、事態はより複雑になる。彼女は移民労働者の調査をしているのだが、調査を望まない裏社会の人間がいるらしい。さらに、彼女はヴァージルに好意を抱きはじめ……

【まとめ】

3作が新たにランクインしました。1位はジャック・リーチャー・シリーズの第21作で、リーチャーの過去、陸軍時代の活躍を描いています。トム・クルーズ主演で2012年に公開された『アウトロー』につづき、現在『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』が公開中、邦訳『ネバー・ゴー・バック』(シリーズ第18作)も先週刊行されたばかりです。なお、今年7月に第14作の『61時間』が邦訳されています。5位は、トワイライトとザ・ホストのシリーズで知られるステファニー・メイヤーのスパイスリラー。前シリーズまでとがらりと作風が変わったため、米国でも驚きをもって迎えられているようです。ロバート・ラドラム原作の映画ボーン・シリーズに触発されて書いたものだと著者本人が語っています。7位のクリフトン年代記は、第5部の『剣より強し』までが邦訳済みです。

 トップテン外のニュースとしては、8月に刊行されて今週も18位にはいっているコルソン・ホワイトヘッド“Underground Railroad”が、つい先日発表された2016年度全米図書賞(小説部門)を受賞しました。

国弘喜美代(くにひろ きみよ)

東京在住の翻訳者、南東京読書会の世話人のひとり。次回の読書会は来年2月5日(日)、課題本はジョー・ネスボ『その雪と血を』です。申しこみなどの詳細については、1か月ほど前にシンジケートのサイトでお知らせします。どうぞよろしくお願いします。