アメリカのベストセラー・ランキング
12月18日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. THE WHISTLER Up
John Grisham ジョン・グリシャム
裁判官への苦情を調査する仕事について9年、フロリダの弁護士レイシーの平穏だった日々は、インディアン・カジノをめぐる組織犯罪と、それにからむ判事の不正を伝える密告者との出会いによって一変する。
2. CROSS THE LINE Down
James Patterson ジェイムズ・パタースン
刑事アレックス・クロス・シリーズ第24作。ワシントン市警の幹部が殺害され、クロスの妻ブリーが捜査指揮をとることに。犯罪心理学者でもあるクロスは市警のコンサルタントとして妻に協力するが、そこにドラッグの密造・密売人ばかりを狙った連続殺人が発生する。
3. TWO BY TWO Up
Nicholas Sparks ニコラス・スパークス
幸せなはずだった結婚生活が破綻し、華やかなPRの職も失った32歳のラス。6歳の娘ロンドンを抱えてシングルファザーとなり、想像もつかなかった新しい生活と新しい恋に踏みだす。
4. TURBO TWENTY-THREE Down
Janet Evanovich ジャネット・イヴァノビッチ
バウンティハンター、ステファニー・プラム・シリーズの第23作。アイスクリームを積んだ冷凍車のなかで、チョコレートやナッツにまみれて凍りついた死体が発見される。犯人を探るべく、ステファニーはアイスクリーム工場に潜入するが、甘いものの誘惑はいかんともしがたく……
5. NO MAN’S LAND Stay
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ
アメリカ陸軍犯罪捜査官ジョン・プラー・シリーズの第4作。30年前に失踪したプラーの母が、実は殺害されていた可能性が浮上する。容疑者となったのは認知症を患う父だった。家族の名誉を守るため、プラーは前作で汚名を晴らした兄の協力を得て、過去の解明に取り組む。
6. NIGHT SCHOOL Stay
Lee Child リー・チャイルド
ジャック・リーチャー・シリーズの第21作。今回はリーチャーが陸軍にいたころの過去の活躍を描く。イスラム教テロ組織に機密情報を売り渡そうとしているアメリカ人をとらえろ——極秘任務を与えられ、リーチャーはFBIとCIAのエージェントとともにハンブルクへ向かう。
7. PRINCE LESTAT AND THE REALMS OF ATLANTIS New!
Anne Rice アン・ライス
『夜明けのヴァンパイア』からはじまるヴァンパイア・クロニクルズ・シリーズ第12作。ヴァンパイアの王子であり一族を率いるレスタトは、人間とも自分たちとも異なる謎の存在に出会い、その起源である伝説の古代王国アトランティスの強大な力を知ることになる。
8. THE WRONG SIDE OF GOODBYE Stay
Michael Connelly マイクル・コナリー
ロス市警退職後、私立探偵業をはじめるかたわら、小さな町の警察署の予備警察官となったボッシュ。さっそく連続婦女暴行事件の捜査に参加する一方、余命わずかな富豪から、遠い昔に別れた恋人が産んだはずの自分の子供を捜してほしいと依頼される。ハリー・ボッシュ・シリーズ第21作。
9. SMALL GREAT THINGS Down
Jodi Picoult ジョディ・ピコー
ベテラン看護師のルースは呼吸困難を起こした新生児を前に躊躇した。黒い指で絶対に子どもに触れるなと、その子の親に禁じられていたのだ。一瞬の迷いのせいで重い刑事責任を問われることになった彼女を救うため、白人弁護士は人種を武器にメディアを操る戦略を推してくるが……。ベストセラー作家ピコーが、現代の人種問題に切り込んでいく。
10. THE WHOLE TOWN’S TALKING New!
Fannie Flagg ファニー・フラッグ
『フライド・グリーン・トマト』で知られる著者による、ミズーリ州の小さな町エルムウッド・スプリングズを舞台にしたシリーズ第4作。19世紀にこの町を開いたスウェーデン移民ノードストロームは、家族や町の人たちのために共同墓地を用意した。以来、人々は埋葬されたあとも、墓地でにぎやかに死後の暮らしをつづけている。19世紀から現在まで、生者も死者もまじえた普通の人々の暮らしを描く物語。
【まとめ】
今週は新たに2作品がランクインしました。7位のヴァンパイア・クロニクル・シリーズは、前作“PRINCE LESTAT”も2014年にベストテン入り。日本では第6作『美青年アルマンの遍歴』まで、加えてシリーズ外伝とされる『パンドラ、真紅の夢』と『呪われた天使、ヴィットーリオ』が刊行されています。また、ユニバーサル・ピクチャーズが獲得していた本シリーズの映画化権を著者が取りもどし、あらためてテレビシリーズ化を企画しているとのことです。10位のファニー・フラッグの新作は、1998年発表の“WELCOME TO THE WORLD, BABY GIRL!”からはじまるシリーズ作品ですが、これまでに日本では刊行されていません。ベストテン外では、17位にバーナード・コーンウェルのサクソン・ストーリーズ・シリーズの第10作“THE FLAME BEARER”が登場しています。
佐藤桂(さとう けい) |
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神奈川在住の翻訳者です。訳書に『中途の家』(越前敏弥さんとの共訳)など。 |