アメリカのベストセラー・ランキング
1月1日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. THE WHISTLER Stay
John Grisham ジョン・グリシャム
裁判官への苦情を調査する仕事について9年、フロリダの弁護士レイシーの平穏だった日々は、インディアン・カジノをめぐる組織犯罪と、それにからむ判事の不正を伝える密告者との出会いによって一変する。
2. CROSS THE LINE Stay
James Patterson ジェイムズ・パタースン
刑事アレックス・クロス・シリーズ第24作。ワシントン市警の幹部が殺害され、クロスの妻ブリーが捜査指揮をとることに。犯罪心理学者でもあるクロスは市警のコンサルタントとして妻に協力するが、そこにドラッグの密造・密売人ばかりを狙った連続殺人が発生する。
3. TWO BY TWO Up
Nicholas Sparks ニコラス・スパークス
幸せなはずだった結婚生活が破綻し、華やかなPRの職も失った32歳のラス。6歳の娘ロンドンを抱えてシングルファザーとなり、想像もつかなかった新しい生活と新しい恋に踏みだす。
4. THE UNDERGROUND RAILROAD Up
Colson Whitehead コルソン・ホワイトヘッド
19世紀、奴隷制がまだ認められていた南部諸州からの黒人奴隷たちの逃亡を手助けした組織「地下鉄道」。本当に地下を走る逃亡奴隷のための鉄道が存在していたら……という設定のもとで、ジョージア州の綿花プランテーションから逃げだした十代の黒人奴隷の少女の旅を描いたスペキュレイティブ・フィクション。
5. TOM CLANCY: TRUE FAITH AND ALLEGIANCE Down
Mark Greaney マーク・グリーニー
世界各地で米国軍人や諜報員が窮地に陥る事態がたて続けに発生し、大規模な情報リークに気づいた合衆国大統領ライアンは、自国の内部に潜む敵と対決する。「レッド・オクトーバーを追え!」など数々の映画も生んだ故クランシーの作品世界を『暗殺者グレイマン』の著者が書き継ぐジャック・ライアン・シリーズ第12作。
6. NO MAN’S LAND Down
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ
アメリカ陸軍犯罪捜査官ジョン・プラー・シリーズの第4作。30年前に失踪したプラーの母が、実は殺害されていた可能性が浮上する。容疑者となったのは認知症を患う父だった。家族の名誉を守るため、プラーは前作で汚名を晴らした兄の協力を得て、過去の解明に取り組む。
7. SMALL GREAT THINGS Up
Jodi Picoult ジョディ・ピコー
ベテラン看護師のルースは呼吸困難を起こした新生児を前に躊躇した。黒い指で絶対に子どもに触れるなと、その子の親に禁じられていたのだ。一瞬の迷いのせいで重い刑事責任を問われることになった彼女を救うため、白人弁護士は人種を武器にメディアを操る戦略を推してくるが……。ベストセラー作家ピコーが、現代の人種問題に切り込んでいく。
8. NIGHT SCHOOL Down
Lee Child リー・チャイルド
ジャック・リーチャー・シリーズの第21作。今回はリーチャーが陸軍にいたころの過去の活躍を描く。イスラム教テロ組織に機密情報を売り渡そうとしているアメリカ人をとらえろ——極秘任務を与えられ、リーチャーはFBIとCIAのエージェントとともにハンブルクへ向かう。
9. TURBO TWENTY-THREE Down
Janet Evanovich ジャネット・イヴァノビッチ
バウンティハンター、ステファニー・プラム・シリーズの第23作。アイスクリームを積んだ冷凍車のなかで、チョコレートやナッツにまみれて凍りついた死体が発見される。犯人を探るべく、ステファニーはアイスクリーム工場に潜入するが、甘いものの誘惑はいかんともしがたく……
10. ALL THE LIGHT WE CANNOT SEE Up
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
フランスに住む盲目の少女と、無線技師となり戦争に巻きこまれていくドイツ人の青年——第二次大戦直前、ふたりの人生がサン・マロで交錯する。短編集『シェル・コレクター』でデビューした著者の4年ぶりの新作長編。新潮クレスト・ブックスより邦訳『すべての見えない光』(藤井光訳)が刊行されている。
【まとめ】
ホリデーシーズンも佳境を迎え、ランキングも落ち着いています。10位以内に新作は1本もなく、1位、2位は先週と変わらずと、静かな週になりましたが、12位にジェームズ・ロリンズの新作『THE SEVENTH PLAGUE』がランクインしています。
武藤陽生(むとう ようせい) |
---|
ゲーム、出版翻訳。翻訳ミステリー大賞もいよいよ候補作5作が出揃いました。どれが大賞に選ばれてもおかしくないラインナップだと思います。ぜひ読んでみてください。 |