アメリカのベストセラー・ランキング
3月19日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. NORSE MYTHOLOGY Up
Neil Gaiman ニール・ゲイマン
『サンドマン』で世界幻想文学大賞を受けたニール・ゲイマンが自らの創作の原点に立ち返り、北欧神話を下敷きにして書いた一作。オーディン、トール、ロキといったおなじみの神々が登場する。
2. LINCOLN IN THE BARDO Down
George Saunders ジョージ・ソーンダーズ
南北戦争中の1862年、時のアメリカ大統領エイブラハム・リンカーンが、病死した幼い息子ウィリーが眠る墓地を訪れてみると、そこにはたくさんの幽霊たちが待ち受けていた。『短くて恐ろしいフィルの時代』のソーンダーズが放つ待望の初長編。
3. BANANA CREAM PIE MURDER New!
Joanne Fluke ジョアン・フルーク
近所に住む舞台女優が死体で発見された。来客の予定でもあったのか、女優の部屋にはバナナクリームパイがあったという。お菓子探偵ハンナ・スウェンセン・シリーズの第21作。
4. THE UNDERGROUND RAILROAD Up
Colson Whitehead コルソン・ホワイトヘッド
19世紀、奴隷制がまだ認められていた南部諸州からの黒人奴隷たちの逃亡を手助けした組織「地下鉄道」。本当に地下を走る逃亡奴隷のための鉄道が存在していたら……という設定のもとで、ジョージア州の綿花プランテーションから逃げだした十代の黒人奴隷の少女の旅を描いたスペキュレイティブ・フィクション。早川書房より邦訳刊行予定。
5. ECHOES IN DEATH Down
J.D.Robb J・D・ロブ
ニューヨーク・タイムズのベストセラー常連作家によるイヴ&ローク・シリーズ最新作。ニューヨーク市警に勤めるイヴ・ダラスが富豪の夫ロークと車で帰宅している途中、全裸で血まみれの女性がふらふらと車の正面に飛び出してきた。ロークは慌ててブレーキを踏み、イヴはすぐさま女性を保護しようとするが——21世紀なかばの近未来を舞台にしたSFサスペンス・シリーズ第44作。
6. HEARTBREAK HOTEL Down
Jonathan Kellerman ジョナサン・ケラーマン
ロサンゼルスの小児臨床心理医アレックス・デラウェア・シリーズの第32作。100歳になる高齢女性サライアから診療の相談を受け、専門外ではあるが、彼女が滞在するホテルのスイートルームに話を聞きにいったアレックス。翌朝、二度目のセッションのために再訪すると、室内でサライアが死んでいた。殺人課刑事のマイロ・スタージスとともに、アレックスはその死の真相を追う。
7. HUMANS, BOW DOWN Up
James Patterson and Emily Raymond ジェイムズ・パタースン、エミリー・レイモンド
ヒューボットと呼ばれるアンドロイドとの戦争に敗北した人類。生きのびた人間たちに残された道は、奴隷労働か収容所生活のみ。人類を救う鍵となるコンピューターを手にした少女シックスは、機械の支配に反旗を翻す。パタースン&レイモンドの3度目の共作となるスタンドアローンの新作スリラー。
8. A PIECE OF THE WORLD Down
Christina Baker Kline クリスティナ・ベイカー・クライン
アンドリュー・ワイエスの名画「クリスティーナの世界」のモデル、クリスティーナ・オルソンを主人公としたヒストリカル・フィクション。クリスティーナの半生と20年以上にわたるワイエスとの交流が回想形式で語られる。ベストセラー『孤児列車』の作者による4年ぶりの新作長篇。
9. A GENTLEMAN IN MOSCOW Up
Amor Towles エイモア・タウルズ
1922年、反体制的な詩を書いたとしてスターリン政権によりモスクワ中心部のメトロポール・ホテルに軟禁されることになったロストフ伯爵。彼がそこで過ごした30年間を描く。2011年に“THE RULES OF CIVILITY”でデビューした著者の長篇第2作。
10. THE WHISTLER Up
John Grisham ジョン・グリシャム
裁判官への苦情を調査する仕事について9年、フロリダの弁護士レイシーの平穏だった日々は、インディアン・カジノをめぐる組織犯罪と、それにからむ判事の不正を伝える密告者との出会いによって一変する。
【まとめ】
新たに登場したのは、3位のジョアン・フルークのみでした。お菓子探偵ハンナシリーズの邦訳は、第17作の『ブラックベリー・パイは潜んでいる』(ヴィレッジブックス)までが刊行されています。ベストテン外では、12位にフェイ・ケラーマンの“BONE BOX”がランクイン。これはリナ&デッカー・シリーズの第24作で、シリーズ第19作の『血のない殺人』(ハーパーコリンズジャパン)が先月邦訳刊行されたばかりです。
国弘喜美代(くにひろ きみよ) |
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東京在住の翻訳者、南東京読書会の世話人のひとり。2月のネスボ『その雪と血を』読書会は、訳者の鈴木恵さんにもご参加いただき、寒い時期にもかかわらずそれぞれが好きな本や映画の話で盛りあがって、なごやかで楽しい会になりました。参加者のみなさん、告知にご協力くださったかたがたに改めてお礼を申しあげます。次回は5月27日(土)、表参道での開催が決まっています。そうそう、翻訳ミステリ読書賞の投票締切が迫っています! 3月15日24時まで、どなたでも投票できるそうです。詳細はこちらをごらんください。 |