アメリカのベストセラー・ランキング
4月2日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. THE CUTTHROAT New!
Clive Cussler and Justin Scott クライブ・カッスラー、ジャスティン・スコット
私立探偵アイザック・ベル・シリーズの第10作。1911年、舞台女優を夢見て家出した富豪の娘の捜索を依頼されたヴァン・ドーン探偵社。だが、その娘が惨殺死体で見つかり、調べを進めるうちに「ジキル博士とハイド氏」の劇が上演されている各地で同様の手口による殺人が相次いでいたことが明らかになる。
2. DANGEROUS GAMES Down
Danielle Steel ダニエル・スティール
ジャーナリストのアリックスは元SEALs隊員のカメラマンと組んで強引な取材をおこない、これまでに何度もスクープをものにしていた。が、アメリカ合衆国副大統領もからんだ疑惑を調べはじめたために、かつてない危険なゲームに身を投じることになる。
3. NORSE MYTHOLOGY Stay
Neil Gaiman ニール・ゲイマン
『サンドマン』で世界幻想文学大賞を受けたニール・ゲイマンが自らの創作の原点に立ち返り、北欧神話を下敷きにして書いた一作。オーディン、トール、ロキといったおなじみの神々が登場する。
4. THE DEVIL’S TRIANGLE New!
Catherine Coulter and J. T. Ellison キャサリン・コールター、J・T・エリソン
英国貴族出身のFBI捜査官ニコラスとマイクのコンビが活躍する新FBIシリーズの第4作。ニコラスとマイクは〈キツネ〉と呼ばれる女盗賊から助けを求められる。キツネの夫が誘拐され、その命が惜しければトプカプ宮殿からモーゼにまつわる品を盗みだせと脅されているというのだが……
5. IN THIS GRAVE HOUR New!
Jacqueline Winspear ジャクリーン・ウィンスピア
戦間期のイギリスを舞台に、女探偵メイジー・ダブズの活躍を描くシリーズの第13作。イギリスがドイツに宣戦布告した1939年9月、メイジーは英国諜報部のかつての同僚の依頼で、ベルギー生まれの鉄道技師の殺人事件について調べることになる。第一次大戦時に戦火のベルギーを逃れ難民としてイギリスにやってきた男の過去にははたして何があったのか。
6. WITHOUT WARNING New!
Joel C. Rosenberg ジョエル・C・ローゼンバーグ
ジャーナリストのJ・B・コリンズを主人公とするポリティカル・スリラー3部作の完結編。大統領の一般教書演説中の連邦議事堂がイスラム国のテロに襲われる。その場に居合わせたニューヨーク・タイムズの外信記者コリンズは、イスラム国の指導者アブ・カリフの居所にまつわる重要情報を手に入れる。
7. LINCOLN IN THE BARDO Down
George Saunders ジョージ・ソーンダーズ
南北戦争中の1862年、時のアメリカ大統領エイブラハム・リンカーンが、病死した幼い息子ウィリーが眠る墓地を訪れてみると、そこにはたくさんの幽霊たちが待ち受けていた。『短くて恐ろしいフィルの時代』のソーンダーズが放つ待望の初長編。
8. A GENTLEMAN IN MOSCOW Down
Amor Towles エイモア・タウルズ
1922年、反体制的な詩を書いたとしてスターリン政権によりモスクワ中心部のメトロポール・ホテルに軟禁されることになったロストフ伯爵。彼がそこで過ごした30年間を描く。2011年に“THE RULES OF CIVILITY”でデビューした著者の長篇第2作。
9. EXIT WEST Down
Mohsin Hamid モーシン・ハミッド
内戦の危機にある街で若い男女が出会い、ひそかに関係を結ぶ。やがて内戦がはじまると、“扉”についての噂がささやかれるようになる。その扉を通れば遠くへ行けるという。暴力のはびこる街に耐えきれず、ふたりは故郷を捨てる決断をくだすが……
10. SILENCE FALLEN Down
Patricia Briggs パトリシア・ブリッグズ
コヨーテに変身できるヒロイン、マーシィ・トンプソンが活躍するロマンティック・ファンタジー・シリーズの第10作。強大な吸血鬼がマーシィを襲撃、拉致する。その目的はマーシィの仲間で人狼のアダムに対する切り札として使うことにあった。マーシィはかろうじて脱出するものの、孤立無援の状態に置かれる。
【まとめ】
今週は4作が初登場ランクインを果たしました。20世紀初頭を舞台にした1位のシリーズは『大追跡(上・下)』と『大破壊(上・下)』の2作が邦訳刊行されています。4位の新FBIシリーズは『略奪』、『激情』、『迷走』と続く第3作まで二見文庫より順次邦訳されています。5位のシリーズは第1作『夜明けのメイジー』のみ邦訳が出ています。6位に入った“WITHOUT WARNING”の著者ローゼンバーグは、中東問題の識者として知られるイスラエル在住の作家。J・B・コリンズ3部作はイスラム国との戦いを描いたシリーズで、第1作『第三の標的』が昨年オークラ出版より邦訳刊行されています。
満園真木(みつぞの まき) |
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東京在住の翻訳者。訳書はバリー・ライガ〈さよなら、シリアルキラー〉シリーズ(創元推理文庫)、リサ・ガードナー『棺の女』、ベリンダ・バウアー『視える女』(ともに小学館文庫)など。本稿の執筆日にはクリスティ『そして誰もいなくなった』の日本版ドラマが放送されています。昨年のBBC版ドラマもそうでしたが、年齢もタイプもさまざまな男女10人が登場する「そし誰」は、バラエティ豊かな俳優陣の演技が楽しめて映像化に向いていますね。 |