アメリカのベストセラー・ランキング

4月23日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. THE BLACK BOOK    Stay

James Patterson and David Ellis ジェイムズ・パタースン、デイヴィッド・エリス

痴情絡みと思しき事件現場で警官パティが目にしたのは、女2人の死体とともに全裸で血を流した双子の兄ビリーだった。ビリーは一命をとりとめるが、過去2週間の記憶がもどらない。実直な同僚警官でもある彼の汚名を濯ごうとするパティらの捜査線上に、シカゴの高級娼館と黒表紙のアドレス帳の存在が浮かびあがる。

2. ALL BY MYSELF, ALONE    New!

Mary Higgins Clark メアリ・ヒギンズ・クラーク

宝飾品の専門家であるセリア・キルブライドは結婚式を目前に控えていたが、式の前日、夫になるはずだった男が逮捕されてしまう。世間の関心から逃れようと豪華客船に乗り込んだセリアは、船上でレディ・エミリー・ヘイウッドという女性と知り合いになる。出航から3日後、レディ・ヘイウッドは死体になって発見され、彼女が所有していた貴重なエメラルドのネックレスもなくなっていた。

3. THE CHOSEN    New!

J. R. Ward J・R・ウォード

〈黒き剣兄弟団〉に属するヴァンパイアの戦士たちの生きざまを描くパラノーマル・ロマンス、ブラック・ダガー・ブラザーフッド・シリーズ第15作。本作では禁断の愛により、兄弟団の絆に危機が訪れる。

4. THE LOST ORDER    New!

Steve Berry スティーブ・ベリー

アメリカ合衆国司法省の元工作員が活躍するコットン・マローン・シリーズの第12作。アメリカ史上最大かつ最も危険な秘密組織〈金環の騎士団〉。この組織が盗んだ金銀財宝がアメリカ各地に眠っているという。1865年以来、数々のトレジャーハンターがこの財宝を狙ってきたが、誰ひとり見つけられなかった。マローンはある事情により、この財宝を探すことになる。

5. MISSISSIPPI BLOOD    Down

Greg Iles グレッグ・アイルズ

元検事で作家、現在はミシシッピ州の小さな町ナチェズの市長となったペン・ケイジは、アフリカ系アメリカ人看護師殺害容疑をかけられた敬愛する父の命を守るため、自分の家族とアメリカ南部の秘められた過去を探る。ペン・ケイジ・シリーズとしては6作目、ナチェズ3部作の完結編。

6. NORSE MYTHOLOGY    Down

Neil Gaiman ニール・ゲイマン

『サンドマン』で世界幻想文学大賞を受けたニール・ゲイマンが自らの創作の原点に立ち返り、北欧神話を下敷きにして書いた一作。オーディン、トール、ロキといったおなじみの神々が登場する。

7. THE WOMEN IN THE CASTLE    Down

Jessica Shattuck ジェシカ・シャタック

1944年7月、ヒットラー暗殺計画の失敗により、関わったレジスタンスのメンバーは命を絶たれた。未亡人となったマリアンは終戦後、亡き夫の仲間との約束を果たすべく、彼らの妻だったベニータとアニアを見つけだす。バイエルンの寂れた古城に身を寄せた未亡人たちは、それぞれの過去を背負って三人三様の暮らしを生きはじめる。

8. IF NOT FOR YOU    Down

Debbie Macomber デビー・マッコーマー

“New Beginnings”シリーズ第3作。自分を縛る家族から離れ、ポートランドで友人や叔母に支えられながら高校の音楽教師としてスタートを切ったベス。ある日交通事故に遭い、タトゥーを入れた自動車修理工のサムに救われる。思いも寄らない出会いから惹かれあっていくふたりだが……

9. A GENTLEMAN IN MOSCOW    Up

Amor Towles エイモア・タウルズ

1922年、反体制的な詩を書いたとしてスターリン政権によりモスクワ中心部のメトロポール・ホテルに軟禁されることになったロストフ伯爵。彼がそこで過ごした30年間を描く。2011年に“THE RULES OF CIVILITY”でデビューした著者の長篇第2作。

10. THE TEA GIRL OF HUMMINGBIRD LANE    Up

Lisa See リサ・シー

中国・雲南省アカ族の茶農家出身の女性が、しきたりに背き両親に反対されながらも授かった娘の命を守るため、生まれたばかりの娘を毛布にくるみ、茶葉を固めた餅茶をしのばせて孤児院のそばに置き去りにする。娘はアメリカ人夫妻の養女となりカリフォルニアで幸せに育つが、やがて自分のルーツを知りたいと願うようになる。

【まとめ】

サスペンスの女王、メアリ・ヒギンズ・クラークの新作を含む3作が新たにランクインしました。3位のブラック・ダガー・ブラザーフッド・シリーズは第6作『漆黒に包まれる恋人』(邦訳)が二見書房から今年の2月に発売されました。4位のコットン・マローン・シリーズは第1作の邦訳『テンプル騎士団の遺産』のみがエンターブレインから出ています。今回、過去のシンジケートの記事を遡って調べていたら、ちょうどほぼ1年前の2016年4月18日にも、メアリ・ヒギンズ・クラークとJ・R・ウォード(ブラック・ダガー・ブラザーフッド・シリーズ第14作)、スティーブ・ベリー(コットン・マローン・シリーズ第11作)の三者が新作でランクインしていました。そのさらにまた約1年前の2015年4月13日には、ブラック・ダガー・ブラザーフッド・シリーズ第13作とコットン・マローン・シリーズ第10作が新作でランクインしていて驚きました。みなさんちょうど1年に1冊のペースで出しているんですね。

武藤陽生(むとう ようせい)

翻訳ミステリー大賞授賞式がいよいよ今週土曜日(4/22)に迫っています。大賞への投票は20日まで可能ですので、まだの方はぜひ。