アメリカのベストセラー・ランキング
4月30日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
1. THE BLACK BOOK Stay
James Patterson and David Ellis ジェイムズ・パタースン、デイヴィッド・エリス
痴情絡みと思しき事件現場で警官パティが目にしたのは、女2人の死体とともに全裸で血を流した双子の兄ビリーだった。ビリーは一命をとりとめるが、過去2週間の記憶がもどらない。実直な同僚警官でもある彼の汚名を濯ごうとするパティらの捜査線上に、シカゴの高級娼館と黒表紙のアドレス帳の存在が浮かびあがる。
2. THRAWN New!
Timothy Zahn ティモシイ・ザーン
『スターウォーズ』初期のスピンオフ作品「スローン」3部作の作者による最新作。デス・スターの破壊と皇帝の死後、絶望的な状況に陥った帝国軍のあらたな指導者として突如現われた軍事的天才スローン大提督。未知領域チス出身の非人間種族である彼が大提督の座にのぼりつめるまでを描く。
3. ALL BY MYSELF, ALONE Down
Mary Higgins Clark メアリ・ヒギンズ・クラーク
宝飾品の専門家であるセリア・キルブライドは結婚式を目前に控えていたが、式の前日、夫になるはずだった男が逮捕されてしまう。世間の関心から逃れようと豪華客船に乗り込んだセリアは、船上でレディ・エミリー・ヘイウッドという女性と知り合いになる。出航から3日後、レディ・ヘイウッドは死体になって発見され、彼女が所有していた貴重なエメラルドのネックレスもなくなっていた。
4. ONE PERFECT LIE New!
Lisa Scottoline リザ・スコットライン
ペンシルヴァニアの小さな町に引っ越してきたばかりの男は、クリス・ブレナンという偽名と申し分のない偽の経歴で、教師兼野球チームのコーチとして町の高校に職を得た。そして、ある計画を実行に移すため、野球チームに所属する生徒のひとりに近づいていく。リーガル・サスペンスの名手が、郊外の小さな町を舞台に描く新作スリラー。
5. THE BURIAL HOUR New!
Jeffery Deaver ジェフリー・ディーヴァー
リンカーン・ライム・シリーズ最新作。白昼のアッパー・イーストサイドで出張中のビジネスマンが何者かに連れ去られた。目撃者は9歳の少女ひとりだけで、現場には絞首刑のロープを模した小さな輪縄がひとつ残されていた。やがて事件は奇妙な展開を見せ、イタリアでよく似た事件が起こったとき、リンカーン・ライムとアメリア・サックスは迷わず海を渡る。
6. TWO FROM THE HEART New!
James Patterson and Frank Constantini, Emily Raymond and Brian Sitts
ジェームズ・パタースン&フランク・コンスタンティーニ、エミリー・レイモンド&ブライアン・シッツ
よいストーリーには、人生の可能性に目を開かせてくれる力がある。ジェームズ・パタースンを含む2組の共作による、2つのストーリーを1冊に収録。
7. NORSE MYTHOLOGY Down
Neil Gaiman ニール・ゲイマン
『サンドマン』で世界幻想文学大賞を受けたニール・ゲイマンが自らの創作の原点に立ち返り、北欧神話を下敷きにして書いた一作。オーディン、トール、ロキといったおなじみの神々が登場する。
8. SONG OF THE LION New!
Anne Hillerman アン・ヒラーマン
シップロック高校の駐車場で1人が死亡する爆発事件が起きた。ナバホ族警察のバーナデット・マヌエリートと夫のジム・チーが捜査を続けるうちに、爆発事件の真のターゲットは別の人物だったことがわかり、やがてグランド・キャニオン開発にからむ犯罪が明らかになる。2008年に亡くなったトニイ・ヒラーマンの「リープホーン&チー」シリーズを継承する娘アン・ヒラーマンによるシリーズ第3作。
9. THE LOST ORDER Down
Steve Berry スティーブ・ベリー
アメリカ合衆国司法省の元工作員が活躍するコットン・マローン・シリーズの第12作。アメリカ史上最大かつ最も危険な秘密組織〈金環の騎士団〉。この組織が盗んだ金銀財宝がアメリカ各地に眠っているという。1865年以来、数々のトレジャーハンターがこの財宝を狙ってきたが、誰ひとり見つけられなかった。マローンはある事情により、この財宝を探すことになる。
10. MISSISSIPPI BLOOD Down
Greg Iles グレッグ・アイルズ
元検事で作家、現在はミシシッピ州の小さな町ナチェズの市長となったペン・ケイジは、アフリカ系アメリカ人看護師殺害容疑をかけられた敬愛する父の命を守るため、自分の家族とアメリカ南部の秘められた過去を探る。ペン・ケイジ・シリーズとしては6作目、ナチェズ3部作の完結編。
【まとめ】
今週は新作が5作ランクインし、その他は1位のパタースン&エリスを除いて全体に少しずつ順位を下げています。2位のティモシイ・ザーンは、「スローン」3部作をはじめとする『スターウォーズ』のスピンオフ小説やスピンオフコミックの原作を多く手がけるほか、「コブラ部隊」シリーズなどSF作品でも知られる作家です。4位のリザ・スコットラインは、『虚偽証人』(扶桑社)などリーガル・サスペンスでよく知られ、本リストにもたびたび登場していますが、今回の作品はエモーショナルなスリラーとのこと。5位のジェフリー・ディーヴァーは、前作の“THE STEEL KISS”から約1年ぶりのシリーズ新作です。8位のアン・ヒラーマンはノンフィクションの著作もあるジャーナリストで作家ですが、父トニイ・ヒラーマンが30年以上にわたり書きつづけた「リープホーン&チー」シリーズを引き継いで書いています。
吉井智津(よしい ちづ) |
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大阪読書会世話人のひとりです。訳書にべリンダ・バウアー『生と死にまつわるいくつかの現実』など。 ジョー・ネスボ『その雪と血を』第8回翻訳ミステリー大賞&読者賞ダブル受賞おめでとうございます! 授賞式&コンベンション当日は、大阪の関連イベント会場で開票結果を聞き、関西版イチ押し本バトルを観戦してきました。チャンプ本は『その雪と血を』&『熊と踊れ』こちらもおめでとうございます! 集まってくださった皆様も、ありがとうございました。また次のたのしいイベントまで、どうぞよい読書を! |