アメリカのベストセラー・ランキング

7月16日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

1. CAMINO ISLAND    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

プリンストン大学の図書館で厳重に保管されていた古い原稿が盗まれた。若い女性作家のマーサーは謎めいた女性から依頼を受け、フロリダの島で人気書店を営みながら裏では稀覯本の闇取引で儲けているというブルースを、秘密裏に調査することになる。

2. MURDER GAMES    New!

James Patterson and Howard Roughan ジェイムズ・パタースン、ハワード・ローワン

犯罪心理学の権威であるラインハートは、ニューヨーク市警の要請を受け、連続殺人事件の捜査に協力する。現場にはトランプのカードが残されており、ラインハートはそれが犯人の署名的行動ではなく、つぎの犠牲者を示す手がかりになっていると推理する。

3. USE OF FORCE    New!

Brad Thor ブラッド・ソー

アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第16作。地中海が激しい嵐に襲われてから数日後、大物テロリストの死体が岸に打ちあげられる。その男が大規模なテロ攻撃をおこなうために移動中だったと考えたCIAは、ハーヴァスに調査を依頼する。

4. THE DUCHESS    New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

19世紀イングランド。公爵の娘アンジェリクは父にかわいがられて育ったが、18歳のときにその父が亡くなると、異母兄に疎まれて放逐されてしまう。パリに渡ったアンジェリクは、父の遺産を元手に上流階級向けのクラブを開く。

5. SEVEN STONES TO STAND OR FALL    New!

Diana Gabaldon ダイアナ・ガバルドン

20世紀スコットランドの従軍看護師クレアが18世紀にタイムスリップしたことからはじまるロマンチック・アドベンチャー、アウトランダー・シリーズの短編集。

6. THE IDENTICALS    Down

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

恋も仕事も長つづきしない気まぐれなハーパー。完璧主義でやかまし屋のタビサ。両親の離婚後、長年のあいだナンタケット島とマーサズ・ヴィニヤード島に別れて暮らしてきた双子の姉妹は、行きづまった人生を立て直そうと、互いの家を交換することに決める。“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。

7. INTO THE WATER    Down

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

イギリスの小さな町を流れる川の底から、ネルという名のシングルマザーの死体が発見される。そのあたりは地元では“溺死の淵”と呼ばれ、かつての魔女狩りで魔女とされた女たちが命を絶った場所として知られていた。ネルは魔女に強い興味を持ち、淵の歴史を書き綴った手稿を遺していた。

8. THE SILENT CORNER    Down

Dean Koontz ディーン・クーンツ

FBI捜査官ジェイン・ホークは夫の自死を不審に思い、理由を突き止めようとする。大きな力を持つ何者かが秘密を守るべく迫りくるなか、ジェインはひそかに真相へと近づく。強さとやさしさを備えた魅力的なヒロインの活躍する新シリーズの第1作。

9. TOM CLANCY: POINT OF CONTACT     Down

Mike Maden マイク・メイデン

ジャック・ライアン・ジュニアを主人公としたスリラー第3作。ジャックの所属する“ザ・キャンパス”ことヘンドリー・アソシエイツ社は、軍需企業社長をつとめる元上院議員から依頼を受ける。表向きは買収を検討中のシンガポール企業の財務調査だったが、ジャックとともに財務アナリストとしてシンガポールへ飛んだ元CIA職員のブラウンは、ある密命を帯びていた。

10. COME SUNDOWN    Down

Nora Roberts ノーラ・ロバーツ

ボディーンはモンタナ州で、家族4世代でリゾート施設を備えた牧場を経営している。ある夜、家出したと聞かされていたおばのアリスが、牧場の近くで惨殺死体となって発見される。じつはアリスは家出をしたあと何者かに誘拐されており、その家から逃げ出していたのだった。この事件をきっかけに、ボディーンと彼女の家族の絆が試されることになる。

【まとめ】

2位から5位までを新作が独占しました。2位のパタースンとローワンの共著はこれが8作目で、第1作『殺意がふたりを分かつまで』が邦訳刊行されています。3位のスコット・ハーヴァス・シリーズは安定した人気で、年に一冊のペースでの刊行がつづいています。邦訳は第11作の『ブラック・リスト――極秘抹殺指令――』が最新です。4位は常連のダニエル・スティール。美しく聡明な女性が苦境に立たされ、試練を乗り越えていくというストーリーが、いつもどおり読者を引きつけています。5位のアウトランダー・シリーズはヴィレッジブックスから邦訳が刊行されていますが、2014年にテレビドラマ化されたのを受け、ハヤカワ文庫から第1部『時の旅人クレア』の新装版が出版されました。

青木創(あおき はじめ)

先日告知のあったとおり、7月29日の金沢読書会でジェイン・ハーパー著『渇きと偽り』が取りあげられます。どうぞよろしくお願いいたします。そのほかの訳書に、E・ヴィンター『愛と怒りの行動経済学』、D・ワッツ『偶然の科学』など。