アメリカのベストセラー・ランキング
9月6日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. WHERE THE CRAWDADS SING Stay
Delia Owens ディーリア・オーエンズ
ノースカロライナ州の湿地で村の青年チェイスの死体が発見され、「湿地の少女」と呼ばれるカイアが真っ先に疑われる。6歳で家族に見捨てられ、ひとりで生き延びてきたカイアは、果たして犯人なのか――みずみずしい自然に抱かれた少女の人生が不審死事件と絡みあう。邦訳『ザリガニの鳴くところ』(友廣純訳)が早川書房より刊行されている。
- 2. ROYAL New!
Danielle Steel ダニエル・スティール
ロンドンの戦火が激しさを増した1943年の夏、国王夫妻は17歳になる病弱な末娘のシャーロットを、密かにヨークシャーに疎開させることにした。シャーロットはそこで偽名を使い、世間の注目を浴びない生活を送る。彼女の正体を知るのは護衛のふたりのみ。やがてシャーロットは、その護衛の息子と深く愛し合うようになる。
- 3. THE VANISHING HALF Down
Brit Bennett ブリット・ベネット
1960年代、肌の色の薄い黒人だけが住むルイジアナ州の小さな町を16歳で飛びだした双子の姉妹デジレとステラ。デジレはより肌の色の濃い夫との間に生まれた娘を連れて故郷の町へ戻るが、一方のステラは「白人」として生きることを選び、ブロンドに青い目の娘を産む――双子の姉妹とその娘たち、ふたつの世代の目を通じて黒人にとっての肌の色とアイデンティティの問題を描く。
- 4. THE GUEST LIST Up
Lucy Foley ルーシー・フォーリー
アイルランド沖の孤島に建つ屋敷で開かれたセレブなカップルの結婚パーティの最中、死体が発見される。新郎新婦とその家族や友人たち、それぞれに秘密の事情や恨みをかかえて島に集った人々の中で、犯人はいったい誰なのか。
- 5. 28 SUMMERS Up
Elin Hilderbrand エリン・ヒルダービルド
ナンタケット島のコテージで、90年代のはじめに出会ったマロリーとジェイク。それぞれの家庭を築いたあとも、ふたりの関係はひそかに続いていた。1年に1度、週末だけのロマンス。時は過ぎて2020年、病に倒れたマロリーは自らの死を悟り、ジェイクは妻が大統領選挙に出馬し、それまでとはちがう28回目の夏を迎えていた。
- 6. THE ORDER Down
Daniel Silva ダニエル・シルヴァ
美術修復師にしてイスラエル諜報機関のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第20作。教皇が心臓発作で急死し、ガブリエルは友人の枢機卿に呼ばれてローマへ向かう。「ヴァチカン秘密文書館で、驚くべき書物を見つけた」死の直前に教皇がそんな手紙を残していたことから、枢機卿は教皇が殺されたのではないかと考えていた。
- 7. AMERICAN DIRT Up
Jeanine Cummins ジャニーン・カミンズ
アカプルコで書店を営むリディアは、麻薬カルテルのボスの怒りを買い、夫や母親をはじめ家族16人を殺される。8歳の息子ルカとともに生き延びるため、彼女はメキシコを縦断してアメリカを目指す。邦訳『夕陽の道を北へゆけ』(宇佐川晶子訳)が早川書房より刊行されている。
- 8. THE JACKAL New!
- R.Ward J・R・ウォード
〈黒き剣兄弟団〉のヴァンパイア戦士たちの活躍を描く人気のパラノーマル・ロマンス、ブラック・ダガー・ブラザーフッド・シリーズ。そこからから派生した、プリズン・キャンプ・シリーズの1作目。ひょんなことから姉が収容されているかもしれない捕虜収容所の手がかりをつかんだニックスは、その秘密を暴こうと決心する。そんななか、彼女の運命を変えることになる男性、ザ・ジャッカルに出会う。
- 9. 1ST CASE Down
James Patterson and Chris Tebbetts ジェイムズ・パタースン、クリス・テベッツ
学友のコンピュータをハッキングしたことが問題になり、マサチューセッツ工科大の大学院を退学になったアンジェラ・フート。恩師の口利きでFBIボストン支局のインターンとなった彼女は、指導役の捜査官ウィリアム・キーツとともに、ITスキルを駆使して兄弟殺人犯を追うことになる。
- 10. MEXICAN GOTHIC Up
Silvia Moreno-Garcia シルヴィア・モレーノ=ガルシア
気丈で賢い令嬢ノエミは、従姉から「夫に毒殺される」という手紙を受け取り、すぐさま救出に向かう。そこは最近夢に現れるようになった不吉な屋敷で、昔繁栄した一族の暗い秘密が隠されていた。1950年代のメキシコを舞台にしたゴシック・ファンタジー。
【まとめ】
今週も“WHERE THE CRAWDADS SING”(邦訳『ザリガニの鳴くところ』)が1位に留まっています。新作は2作がランクインしました。コンスタントに新作を発表しつづけるダニエル・スティールが2位に初登場。8位には、スピンオフ作品もふくめてたいへん人気のあるブラック・ダガー・ブラザーフッド・シリーズのあらたなシリーズの1作目、“THE JACKAL”が初登場です。著者のJ. R.ウォードはこのパラノーマル・ロマンスのシリーズだけでなく、Jessica Bird(ジェシカ・バード)名義でコンテンポラリー・ロマンス作品も発表しています。10位には圏外から、“MEXICAN GOTHIC”がふたたびランクインしました。
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吉野山早苗(よしのやま さなえ)
翻訳者です。ハングルを学びはじめました。おもな訳書に〈英国少女探偵の事件簿〉シリーズ、〈ニューヨーク五番街の事件簿〉シリーズ(いずれもコージーブックス)など。
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