アメリカのベストセラー・ランキング
11月29日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. THE LAW OF INNOCENCE New!
Michael Connelly マイクル・コナリー
リンカーン弁護士ことミッキー・ハラー・シリーズ第6作。リンカーンのトランクから死体が発見される。被害者はかつての依頼人で、ハラーは殺人の容疑で逮捕されてしまう。だれが自分を罠にかけたのか――異母兄ハリー・ボッシュらの手を借りて真犯人を捜しながら、ハラーは法廷で無罪を勝ちとろうと力を尽くす。
- 2. I WOULD LEAVE ME IF I COULD New!
Halsey ホールジー
アメリカの人気シンガーソングライターの初の詩集。
- 3. A TIME FOR MERCY Down
John Grisham ジョン・グリシャム
1990年、ミシシッピ州クラントン。弁護士のジェイク・ブリガンスは、地元の議員を殺した罪に問われた16歳の内気な少年、ドリューの弁護を引き受ける。人びとの多くは迅速な裁判と死刑判決を望んでいたが、事件について調べるうち、ブリガンスはそこに隠された真実をつきとめる。ブリガンスを主人公にしたシリーズの、6年ぶりの新作。
- 4. THE RETURN Stay
Nicholas Sparks ニコラス・スパークス
医師として従軍したアフガニスタンで大怪我を負ったトレヴァーは、ノースカロライナ州へもどり、祖父が遺した小屋で蜂の世話をしながら暮らしはじめる。近隣のトレーラーハウスに住む10代の少女キャリーと知り合い、保安官代理のナタリーと恋に落ちて、ふたりとのかかわりから祖父の死にまつわる謎について知ることになる。
- 5. THE SENTINEL Down
Lee Child and Andrew Child リー・チャイルド、アンドリュー・チャイルド
ジャック・リーチャー・シリーズ第25作。テネシーの小さな町で、リーチャーは暴漢に囲まれた男を助ける。それは失業したばかりのITマネージャーで、自分では気づかないまま大きな秘密を握っているらしい。ただならぬ陰謀と隠蔽のにおいを嗅ぎ取ったリーチャーは、巨大なサイバー犯罪の世界へと巻きこまれていく。
- 6. FORTUNE AND GLORY Down
Janet Evanovich ジャネット・イヴァノヴィッチ
ステファニー・プラム・シリーズ第27作。ステファニーの祖母マズールは結婚式当日に新郎を心臓発作で失くした。莫大な財産に関する鍵が残され、ステファニーとマズールはその謎を追うが、ガブリエラ・ローズという人物もその財産を狙っていることがわかる。
- 7. MARAUDER New!
Clive Cussler and Boyd Morrison クライブ・カッスラー、ボイド・モリソン
オレゴン・ファイル・シリーズ第15作。麻痺効果のある毒物がテロリストの手に渡り、秘密工作船オレゴン号の船員もその犠牲となってしまう。船長のファン・カブリーヨは解毒剤を入手するために奮闘する。
- 8. MOONFLOWER MURDERS New!
Anthony Horowitz アンソニー・ホロヴィッツ
編集者の職を失い、ギリシャで小さなホテルを経営しているスーザン・ライランドは、宿泊客の夫妻から興味深い話を聞く。アラン・コンウェイのアティカス・ピュント・シリーズ第3作は、実際に起こった殺人事件を題材にしている。この小説を読めば、犯人とされた人物が実は無実だったことがわかる――夫妻の娘はそう語っていたが、いまは行方不明になっているという。
- 9. ANXIOUS PEOPLE Up
Fredrik Backman フレドリック・バックマン
大晦日前のスウェーデン。子供の親権を失うまいと銀行を襲うも、あえなく失敗した犯人が、内覧会開催中のアパートメントへ逃げこむ。その場に居合わせた妊婦、老夫妻、銀行家など8人が人質に。警察の取り調べにより、その後の思いもよらない顛末が明らかになる。
- 10. WHERE THE CRAWDADS SING Up
Delia Owens ディーリア・オーエンズ
ノースカロライナ州の湿地で村の青年チェイスの死体が発見され、「湿地の少女」と呼ばれるカイアが真っ先に疑われる。6歳で家族に見捨てられ、ひとりで生き延びてきたカイアは、果たして犯人なのか――みずみずしい自然に抱かれた少女の人生が不審死事件と絡みあう。邦訳『ザリガニの鳴くところ』(友廣純訳)が早川書房より刊行されている。
【まとめ】
新たに4作がランクインしました。初登場で1位となったのは、ミッキー・ハラー・シリーズの7年ぶりの新作です。同シリーズは第5作の『罪責の神々 リンカーン弁護士』まで邦訳が刊行されています。2位のホールジーは、オーディオブックの朗読も本人が担当しているとのこと。7位は今年の2月に死去したカッスラーの人気シリーズ。最新の邦訳に『悪の分身船(ドッペルゲンガー)を撃て!』があります。8位には数々の賞に輝いた『カササギ殺人事件』の続編がはいりました。ホロヴィッツの邦訳はほかに『メインテーマは殺人』や『その裁きは死』などが刊行されています。トップテン外に目立った動きはありませんでした。
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青木創(あおき はじめ)
翻訳者。 訳書にL・チャイルド『葬られた勲章』『ミッドナイト・ライン』、D・ワッツ『偶然の科学』など。
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