アメリカのベストセラー・ランキング

5月2日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. OCEAN PREY    New!

John Sandford ジョン・サンドフォード

ルーカス・ダヴンポートの「獲物」シリーズ第31作。海上に不審な船が現れ、漂流中のダイバーに接近しているという通報を受けて沿岸警備隊が急行したところ、三人の警備隊員が射殺されるという事件が起きる。FBIが捜査に着手したものの難航し、連邦保安官であるルーカスも捜査に加わることになったのだが……。

 

  1. 2. THE HILL WE CLIMB    Down

Amanda Gorman アマンダ・ゴーマン

今年1月に行われたアメリカ第46代大統領の就任式で、詩を朗読したアマンダ・ゴーマン。史上最年少での抜擢だった。そのときの詩が収められた1冊。オプラ・ウィンフリーが序文を寄せている。

 

  1. 3. THE DEVIL’S HAND    New!

Jack Carr ジャック・カー

元米海軍特殊部隊員の著者による“Terminal List”シリーズ第4作。911から20年が経ち、ふたたびアメリカを脅威にさらそうと地球の裏側で策略を練る者たちがいた。それと同時に国内でも、極秘であるはずの細菌兵器の情報を若き学者が手に入れ、謀略に加担しようと動きはじめていた。

 

  1. 4. THE FOUR WINDS    Down

Kristin Hanna クリスティン・ハナ

1921年のアメリカ。第一次世界大戦後の新しく楽観的な時代も、女性には結婚という選択肢しかない時代で、エルザ・ウェルコットはよく知らない相手と結婚する。1934年までに大恐慌で世界は一変し、さらに干ばつがエルザの農場を襲う。彼女は愛する土地を守るか、よりよい生活を求めて西に向かうか、苦渋の選択を迫られる。

 

  1. 5. THE MIDNIGHT LIBRARY    Down

Matt Haig マット・ヘイグ

仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。

 

  1. 6. THE RED BOOK    Down

James Patterson and David Ellis ジェイムズ・パタースン、デイヴィッド・エリス

ビリー・ハーニー刑事の活躍を描くシリーズの2作目。シカゴ市の西側で、走行中の車から人が撃たれるという事件が起きるが、ビリーはいちはやく解決へと導く。しかし彼の本能は、被害者はほかにもいると告げていた。シカゴ市の内部に巣食う悪について調べるうち、ビリーは自身が撃たれた過去の事件へと引きもどされることになる。

 

  1. 7. THE GOOD SISTER    New!

Sally Hepworth サリー・ヘプワース

ファーンとローズは双子の姉妹。人混みや光、騒音が苦手なファーンは細心の注意を払って生活を送っていた。ローズに多くの負担をかけてきたファーンは、姉が不妊であることが判明したとき、代理母となって恩返しをしようと考える。だが、それは大きな間違いだった。

 

  1. 8. THE INVISIBLE LIFE OF ADDIE LARUE    Stay

V.E. Schwab V.E.シュワブ

17世紀末のフランスに生まれたアディー・ラルーは、望まない結婚と平凡な暮らしから逃れるために悪魔と取引をする。しかし魂と引き換えに、永遠の命とともに与えられたのは、誰と出会っても相手の記憶から消えてしまうという運命だった。孤独なアディーの人生に変化が訪れるのは300年が経ったころ、彼女を憶えていられる人物が現れたときだった。

 

  1. 9. WIN    Stay

Harlan Coben ハーラン・コーベン

マイロン・ボライターの親友としてシリーズでも人気のキャラクター、ウィンザー・ホーン・ロックウッド三世(通称ウィン)を主人公とする新シリーズ。NYCのペントハウスで殺人事件が起こり、部屋には過去に大富豪のロックウッド家から盗まれたフェルメールの絵と、ウィンのイニシャルが記されたスーツケースが残されていた。それは、おじが殺害され、従妹パトリシアが誘拐され5か月ものあいだ監禁された20年前の未解決事件とのつながりを示すものだった。

 

  1. 10. STARGAZER    New!

Anne Hillerman アン・ヒラーマン

トニイ・ヒラーマンの「リープホーン&チー」シリーズを継承する、娘のアン・ヒラーマンによるシリーズ第6作。ナバホ族警察のジム・チーの妻であるバーナデット・マヌエリートは、元ルームメイトのマヤが失踪したことを知り、その行方を追う。マヤは失踪の前に、天文学者の夫を殺害したと告白していたという。

 

 

【まとめ】

新たに4作がランクインしました。1位の連邦保安官ルーカス・ダヴンポートを主人公とする「獲物」シリーズは、1989年からつづく人気シリーズ。第10作の『餌食』まで邦訳出版されています。3位のジャック・カーはシリーズ3作目『Savage Son』で初の15位圏内入りをした作家ですが、シリーズは一貫して高評価のようです。7位のサリー・ヘプワースはオーストラリア在住のドメスティック・スリラー作家で、過去に発表した『The Mother-in-Law』がNBCドラマの脚本に起用されています。10位にはアン・ヒラーマンによるナバホ族警察シリーズの新作が入りました。

圏外では12位にポーラ・マクレインの新作スリラーがランクインしています。

 

関 麻衣子(せき まいこ))

埼玉在住の翻訳者。訳書にジョン・ヴァーチャー『白が5なら、黒は3』、ヴィクター・メソス『弁護士ダニエル・ローリンズ』(いずれも早川書房)、デイヴィッド・バルダッチ〈完全記憶探偵〉シリーズ(竹書房)など。