アメリカのベストセラー・ランキング
5月23日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. THE LAST THING HE TOLD ME New!
Laura Dave ローラ・デイヴ
結婚して1年の夫が失踪し、「娘を頼む」というメモとともに、夫の連れ子である16歳のベイリーと残されたハナ。ベイリーのロッカーから多額の現金が見つかると同時に、夫の会社にFBIの捜査が入ったことがわかる。ハナは夫が本当に会社で不正に手を染めていたのか調べようとするが、その過程で折り合いの悪かったベイリーとの関係も変化してゆく。
- 2. 21ST BIRTHDAY New!
James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マクシーン・ペトロ
21歳の誕生日を控えた娘タラが幼い孫娘とともに失踪した、と旧知の女性から相談を受けた新聞記者のシンディは、親友であるサンフランシスコ市警の刑事リンジーに捜査を頼む。妻はただの気まぐれでいなくなったのだとタラの夫は主張するが……4人の女性が活躍する女性殺人捜査クラブ・シリーズ第21作。
- 3. SOOLEY Down
John Grisham ジョン・グリシャム
南スーダンで生まれ育ったスーリーはバスケットボールに青春を捧げていたが、17歳のとき、アメリカで開催される大会に出場する機会を得る。活躍すればアメリカの大学にスカウトされるかもしれないと意気ごんで渡米するものの、大会中に故郷で内戦が勃発し、父は死に、母や弟たちは難民キャンプでの生活を強いられてしまう。
- 4. PROJECT HAIL MARY New!
Andy Weir アンディ・ウィアー
宇宙船の中でひとり目覚めたライランド。そばにはふたりの宇宙飛行士の死体があり、自分がなぜここにいるのか記憶もはっきりしない。だが徐々に思い出してきたのは、数十年後にも迫る人類絶滅の危機を救うために送り出されたメンバーのひとりだったこと。はたして、人類最後の希望となったライランドの孤独なミッションのゆくえは――
- 5. THE HILL WE CLIMB Down
Amanda Gorman アマンダ・ゴーマン
今年1月に行われたアメリカ第46代大統領の就任式で、詩を朗読したアマンダ・ゴーマン。史上最年少での抜擢だった。そのときの詩が収められた1冊。オプラ・ウィンフリーが序文を寄せている。
- 6. THE FOUR WINDS Down
Kristin Hanna クリスティン・ハナ
1921年のアメリカ。第一次世界大戦後の新しく楽観的な時代も、女性には結婚という選択肢しかない時代で、エルザ・ウェルコットはよく知らない相手と結婚する。1934年までに大恐慌で世界は一変し、さらに干ばつがエルザの農場を襲う。彼女は愛する土地を守るか、よりよい生活を求めて西に向かうか、苦渋の選択を迫られる。
- 7. THE MIDNIGHT LIBRARY Down
Matt Haig マット・ヘイグ
仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。
- 8. A GAMBLING MAN Down
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ
退役軍人アロイシャス・アーチャー・シリーズの第2作。1949年、カリフォルニアへ向かう途中、ネヴァダ州リノのカジノに立ち寄ったアーチャーは、ハリウッドを目指すダンサーのリバティと知り合う。到着してすぐアーチャーは元FBI捜査官の探偵ダッシュのもとで働きはじめるが、街でたてつづけに殺人事件が起こる。
- 9. FINDING ASHLEY Down
Danielle Steel ダニエル・スティール
ベストセラー作家だったメリッサは、6年前に息子を亡くしたことがきっかけで夫と別れ、筆を折ってニューイングランドの片田舎に引きこもっていた。妹のハッティは姉のそんな様子に心を痛め、立ちなおらせようとある試みをはじめる。それはメリッサが16歳のときに産んで手放した子供を捜し出すことだった。
- 10. THE NEWCOMER New!
Mary Kay Andrews メアリー・ケイ・アンドルーズ
妹を殺され、遺児である4歳の姪マヤを連れてニューヨークを逃げ出したレティ。妹の残した記事の切り抜きを頼りにフロリダの海辺の町の古いモーテルにたどりつき、部屋代がわりにそこで働き始めたレティは、妹の過去の秘密を知ってしまい、マヤともどもその身に危険が迫る。サマーノベルの女王による新作ロマンティック・サスペンス。
【まとめ】
1位、2位、4位、10位に新作が初登場しました。1位に輝いた“THE LAST THING HE TOLD ME”はジュリア・ロバーツ主演でのドラマ化が予定されています。2位は女性殺人捜査クラブ・シリーズの最新作。『1番目に死がありき』と『チャンスは2度めぐる』が邦訳されています。4位は『火星の人』、『アルテミス』(ともにハヤカワ文庫)で知られるアンディ・ウィアーの長編第3作。『火星の人』と同様、宇宙にひとり残された主人公の奮闘を描くSFで、すでにライアン・ゴズリング主演による映画化も決まっているとのことです。またベストテン外では、11位にテレビ司会者サニー・ホスティンの小説デビュー作“SUMMER ON THE BLUFFS”が、13位に『助産婦が裁かれるとき』(創元推理文庫)の著者クリス・ボジャリアンの“HOUR OF THE WITCH”が、14位に『びっくりさせてよ』(チャイコ)の邦訳があるマギー・シプステッドの“GREAT CIRCLE”が入っています。
満園真木(みつぞの まき) |
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東京在住の翻訳者。訳書は『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』(ヴィンセント・ディ・マイオ、ロン・フランセル/東京創元社)、『アメリカン・プリズン――潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス』(シェーン・バウアー/東京創元社)、『ハーフムーン街の殺人』(アレックス・リーヴ/小学館文庫)など。 |