アメリカのベストセラー・ランキング
7月18日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. THE LAST THING HE TOLD ME Up
Laura Dave ローラ・デイヴ
結婚して1年の夫が失踪し、「娘を頼む」というメモとともに、夫の連れ子である16歳のベイリーと残されたハナ。ベイリーのロッカーから多額の現金が見つかると同時に、夫の会社にFBIの捜査が入ったことがわかる。ハナは夫が本当に会社で不正に手を染めていたのか調べようとするが、その過程で折り合いの悪かったベイリーとの関係も変化してゆく。
- 2. MALIBU RISING Up
Taylor Jenkins Reid テイラー・ジェンキンズ・リード
1980年代初期のカリフォルニアのマリブ。伝説的なシンガーを父に持つ4人の兄弟姉妹が、セレブを集めて華麗なパーティーを開く。4人ともサーフィン界の有名人で、世間では羨望の的だったが、パーティーが佳境を迎えるにつれ家族がかかえる暗い確執と秘密がしだいに明らかになる。
- 3. THE PRESIDENT’S DAUGHTER Down
Bill Clinton and James Patterson ビル・クリントン、ジェイムズ・パタースン
海軍特殊部隊員の経歴を持ち、元大統領であるマシュー・キーティングは、何よりも家族を大切にしていた。ところが、キーティングの十代の娘メラニーが何者かに誘拐されてしまう。国家を揺るがす大事件に、キーティングはリーダーとして、軍人として、そして父親として三つの役割を一人で担い、立ち向かっていく。
- 4. THE MIDNIGHT LIBRARY Stay
Matt Haig マット・ヘイグ
仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。
- 5. GOLDEN GIRL Stay
Elin Hilderbrand エリン・ヒルダ―ブランド
小説家のビビアンはジョギング中に車に轢き逃げされ、帰らぬ人となる。自分が死んだあとの家族の行く末、小説に書いてしまった若き日の秘密など、心残りの多いビビアンだが、天国の控室から下界へ手出しをすることを3度だけ許される。
- 6. SURVIVE THE NIGHT New!
Riley Sager ライリー・セイガー
1991年、大学生のチャーリーは、連続殺人鬼の手によって親友を失ったショックから州外の実家へ帰ろうと掲示板で同乗者を募集、それに応じた大学の用務員ジョシュと車の旅をともにすることに。だが、ジョシュの怪しい言動からチャーリーは疑いはじめる。この男は親友を殺したキャンパス・キラーその人なのではないか――
- 7. THE MAIDENS Down
Alex Michaelides アレックス・マイクリーディーズ
心理療法士のマリアナは、姪のゾーイの親友が殺されたと聞き、事件現場であり自身の母校でもあるケンブリッジ大学へ向かう。ゾーイはギリシア悲劇の研究者のエドワード教授を疑っていた。マリアナが事件について調べるうちに、大学でまた女子学生が殺害される。
- 8. THE PERSONAL LIBRARIAN New!
Marie Benedict and Victoria Christopher Murray マリー・ベネディクト、ヴィクトリア・クリストファー・マレー
銀行家J・P・モルガンの個人図書館であるモルガン・ライブラリーの司書を務めたベル・ダ・コスタ・グリーン。稀覯本や美術品の目利きとして知られた彼女は、ポルトガル系の白人を自称していたが、じつはアフリカ系の黒人だった――伝記小説の名手ベネディクトが黒人作家マレーとの共著で送る、実在の女性の物語。
- 9. STAR WARS: THE RISING STORM New!
Cavan Scott キャヴァン・スコット
スター・ウォーズ本編の200年前の世界を描くハイ・リパブリック・シリーズの第2作。黄金期のジェダイの前に銀河共和国の平和を脅かす新たな敵があらわれる。
- 10. SOOLEY Down
John Grisham ジョン・グリシャム
南スーダンで生まれ育ったスーリーはバスケットボールに青春を捧げていたが、17歳のとき、アメリカで開催される大会に出場する機会を得る。活躍すればアメリカの大学にスカウトされるかもしれないと意気ごんで渡米するものの、大会中に故郷で内戦が勃発し、父は死に、母や弟たちは難民キャンプでの生活を強いられてしまう。
【まとめ】
6位、8位、9位に新作が初登場しました。6位のライリー・セイガーは毎年この時期にサマー・バケーション向けのホラー・サスペンスを発表していますが、このほど初邦訳『すべてのドアを鎖(とざ)せ』(原作は2019年夏刊行の“LOCK EVERY DOOR”)が7月15日に集英社より刊行されます。9位は小説や児童書、コミック等からなるスター・ウォーズのクロスメディア企画〈ハイ・リパブリック・シリーズ〉の大人向け小説第2弾。スター・ウォーズ・シリーズのコミック原作やYAノベルを手がけてきたキャヴァン・スコットが執筆を担当しています。チャールズ・ソウル著のシリーズ第1弾“STAR WARS: LIGHT OF THE JEDI”は『スター・ウォーズ ハイ・リパブリック ジェダイの光』として今秋、講談社より邦訳が刊行される予定です。
満園真木(みつぞの まき) |
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東京在住の翻訳者。訳書は『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』(ヴィンセント・ディ・マイオ、ロン・フランセル/東京創元社)、『アメリカン・プリズン――潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス』(シェーン・バウアー/東京創元社)、『ハーフムーン街の殺人』(アレックス・リーヴ/小学館文庫)など。 |