アメリカのベストセラー・ランキング
8月15日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. THE LAST THING HE TOLD ME Up
Laura Dave ローラ・デイヴ
結婚して1年の夫が失踪し、「娘を頼む」というメモとともに、夫の連れ子である16歳のベイリーと残されたハナ。ベイリーのロッカーから多額の現金が見つかると同時に、夫の会社にFBIの捜査が入ったことがわかる。ハナは夫が本当に会社で不正に手を染めていたのか調べようとするが、その過程で折り合いの悪かったベイリーとの関係も変化してゆく。
- 2. THE PAPER PALACE Up
Miranda Cowley Heller ミランダ・カウリー・ヘラー
毎年夏に家族と訪れているケープ・コッドのキャビン〈ペーパー・パレス〉で、五十代のエルは母親の誕生パーティーを抜け出し、幼なじみのジョナスとはじめて関係を結ぶ。複雑な暗い過去を背負い心の闇を隠してきたエルは、愛する子どもたちの父親であり誠実な夫ピーターと初恋の人ジョナスとのあいだで激しく揺れる。
- 3. NOT A HAPPY FAMILY New!
Shari Lapena シャリ・ラペナ
資産家のマートン夫妻が成人した子供たちを招いて夕食会を開いた翌朝、夫妻は惨殺死体となって発見された。前夜、冷酷で強圧的な家長マートンが遺産相続の変更を発表し、子供たち全員に衝撃を与えたばかりだった。だれにも犯行の動機と機会があり、しかもだれもが秘密をかかえていて……。
- 4. MALIBU RISING Up
Taylor Jenkins Reid テイラー・ジェンキンズ・リード
1980年代初期のカリフォルニアのマリブ。伝説的なシンガーを父に持つ4人の兄弟姉妹が、セレブを集めて華麗なパーティーを開く。4人ともサーフィン界の有名人で、世間では羨望の的だったが、パーティーが佳境を迎えるにつれ家族がかかえる暗い確執と秘密がしだいに明らかになる。
- 5. THE CELLIST Down
Daniel Silva ダニエル・シルヴァ
美術修復師にしてイスラエル諜報機関のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第21作。パンデミックのさなか、夏のロンドンで、元ロシア新興財閥の一員で反体制メディアを運営する男が毒殺と見られる遺体で見つかった。ガブリエルはその死の真相を探るうち、アメリカの民主主義を揺るがしかねないある企てが進行していることを知る。
- 6. BLACK ICE Down
Brad Thor ブラッド・ソー
アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第20作。ハーヴァスはノルウェイでゴーストを見た。数年まえ、彼が地球の反対側で殺した男だ。なぜ、まだ生きているのか? ノルウェイで何をしているのか? 北極圏を舞台に、ハーヴァスは想像もしなかった限界に挑むことになる。
- 7. THE MIDNIGHT LIBRARY Down
Matt Haig マット・ヘイグ
仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。
- 8. THE PRESIDENT’S DAUGHTER Down
Bill Clinton and James Patterson ビル・クリントン、ジェイムズ・パタースン
海軍特殊部隊員の経歴を持ち、元大統領であるマシュー・キーティングは、何よりも家族を大切にしていた。ところが、キーティングの十代の娘メラニーが何者かに誘拐されてしまう。国家を揺るがす大事件に、キーティングはリーダーとして、軍人として、そして父親として三つの役割を一人で担い、立ち向かっていく。
- 9. PROJECT HAIL MARY Up
Andy Weir アンディ・ウィアー
宇宙船の中でひとり目覚めたライランド。そばにはふたりの宇宙飛行士の死体があり、自分がなぜここにいるのか記憶もはっきりしない。だが徐々に思い出してきたのは、数十年後にも迫る人類絶滅の危機を救うために送り出されたメンバーのひとりだったこと。はたして、人類最後の希望となったライランドの孤独なミッションのゆくえは――
- 10. THE MAIDENS Up
Alex Michaelides アレックス・マイクリーディーズ
心理療法士のマリアナは、姪のゾーイの親友が殺されたと聞き、事件現場であり自身の母校でもあるケンブリッジ大学へ向かう。ゾーイはギリシア悲劇の研究者のエドワード教授を疑っていた。マリアナが事件について調べるうちに、大学でまた女子学生が殺害される。
【まとめ】
今週ランクインしたのは1作品のみで、動きの少ない週でした。3位のシャリ・ラペナはカナダ出身の作家で、2016年に”The Couple Next Door“で人気を博して以来、毎年夏に1冊ドメスティック・サスペンスを発表しています。なお、本コーナーがお休みだった先週は、今回6位のブラッド・ソー”Black Ice“が1位、今週はランクインしていませんが、カリン・スローターの”False Witness“が8位を占めていました。
唐木田みゆき(からきだ みゆき) |
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翻訳者です。訳書にアンドリュー・メインの生物学探偵セオ・クレイ・シリーズ『森の捕食者』、『街の狩人』、サマンサ・ダウニングの『殺人記念日』など。 |