アメリカのベストセラー・ランキング

8月29日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. BILLY SUMMERS    Stay

Stephen King スティーヴン・キング

元軍人で凄腕のスナイパーである殺し屋ビリー・サマーズは、ターゲットが真の悪人である場合だけに手を下すと決めていた。そしてビリーは現在の仕事を最後に引退しようと考え、ターゲットのいる新たな町へと向かう。そこでビリーは自身の半生を振りかえりながら書き綴っているうちに小説執筆に目覚め、作家のふりをして任務遂行の時機を待つことにする。

 

  1. 2. THE LAST THING HE TOLD ME    Stay

Laura Dave ローラ・デイヴ

結婚して1年の夫が失踪し、「娘を頼む」というメモとともに、夫の連れ子である16歳のベイリーと残されたハナ。ベイリーのロッカーから多額の現金が見つかると同時に、夫の会社にFBIの捜査が入ったことがわかる。ハナは夫が本当に会社で不正に手を染めていたのか調べようとするが、その過程で折り合いの悪かったベイリーとの関係も変化してゆく。

 

  1. 3. THE PAPER PALACE    Up

Miranda Cowley Heller ミランダ・カウリー・ヘラー

毎年夏に家族と訪れているケープ・コッドのキャビン〈ペーパー・パレス〉で、五十代のエルは母親の誕生パーティーを抜け出し、幼なじみのジョナスとはじめて関係を結ぶ。複雑な暗い過去を背負い心の闇を隠してきたエルは、愛する子どもたちの父親であり誠実な夫ピーターと初恋の人ジョナスとのあいだで激しく揺れる。

 

  1. 4. THE MIDNIGHT LIBRARY    Up

Matt Haig マット・ヘイグ

仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。

 

  1. 5. MALIBU RISING    Up

Taylor Jenkins Reid テイラー・ジェンキンズ・リード

1980年代初期のカリフォルニアのマリブ。伝説的なシンガーを父に持つ4人の兄弟姉妹が、セレブを集めて華麗なパーティーを開く。4人ともサーフィン界の有名人で、世間では羨望の的だったが、パーティーが佳境を迎えるにつれ家族がかかえる暗い確執と秘密がしだいに明らかになる。

 

  1. 6. WE WERE NEVER HERE    Down

Andrea Bartz アンドレア・バーツ

エミリーは親友のクリステンとともに年に一度の旅行をしていた。最後の夜、クリステンは旅先で知りあった男性に襲われ、身を守ろうとして相手を殺害してしまう。エミリーは愕然とする。ちょうど一年前、似たような事件に巻きこまれたのだ。二度も同じことが起きるとは、にわかに信じがたい。ふたりの抱えている秘密がエミリーを追いつめていく。

 

  1. 7. THE INVISIBLE LIFE OF ADDIE LARUE    Up

V.E. Schwab V.E.シュワブ

17世紀末のフランスに生まれたアディー・ラルーは、望まない結婚と平凡な暮らしから逃れるために悪魔と取引をする。しかし魂と引き換えに、永遠の命とともに与えられたのは、誰と出会っても相手の記憶から消えてしまうという運命だった。孤独なアディーの人生に変化が訪れるのは300年が経ったころ、彼女を憶えていられる人物が現れたときだった。

 

  1. 8. THE CELLIST    Up

Daniel Silva ダニエル・シルヴァ

美術修復師にしてイスラエル諜報機関のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第21作。パンデミックのさなか、夏のロンドンで、元ロシア新興財閥の一員で反体制メディアを運営する男が毒殺と見られる遺体で見つかった。ガブリエルはその死の真相を探るうち、アメリカの民主主義を揺るがしかねないある企てが進行していることを知る。

 

  1. 9. VORTEX    New!

Catherine Coulter キャサリン・コールター

FBI夫婦捜査官サビッチとシャーロックが難事件に挑む〈FBIシリーズ〉第25作。ミアが参加した男子学生のパーティーで火災が起こり、親友のセリーナが行方不明になった。7年後、新聞記者となっていたミアはその件についてシャーロックとともに改めて調べなおす。一方、サビッチはCIAの諜報員がからむ事件にあたっていた。

 

  1. 10. BLIND TIGER    Down

Sandra Brown サンドラ・ブラウン

1920年、禁酒法の時代。帰還兵のサッチャーはカウボーイとしての元の生活を取りもどそうとしていた。そして目指す町へ向かう途中で出会ったローレルに心惹かれる。その後サッチャーは目的地に着いたとたん、女性の失踪事件に関与した容疑で逮捕されてしまい、疑いを晴らすことに手を尽くす。一方ローレルは夫に去られ、やむを得ず酒の密造に手を染めていた。ローレルはその後、保安官となったサッチャーと敵対する立場となってしまう。

 

【まとめ】

先週に続いてスティーヴン・キングの“BILLY SUMMERS”が1位をキープ。新たに登場したのは、9位の1作のみでした。キャサリン・コールターのFBI シリーズは、第20作(邦訳では第17作)の『背信』(二見書房)までが刊行ずみで、次の“ENIGMA”の邦訳が今年10月に刊行予定のようです。11位以下に新しくはいった作品はありませんでした。

 

国弘喜美代(くにひろ きみよ)

訳書に、アリー・レナルズ『寒慄【かんりつ】』、ローラ・シムズ『あなたを見てます大好きです』、ロイ・ピーター・クラーク『名著から学ぶ創作入門 優れた文章を書きたいなら、まずは「愛しきものを殺せ!」』(越前敏弥さんとの共訳)、など。