アメリカのベストセラー・ランキング

9月5日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. BILLY SUMMERS    Stay

Stephen King スティーヴン・キング

元軍人で凄腕のスナイパーである殺し屋ビリー・サマーズは、ターゲットが真の悪人である場合だけに手を下すと決めていた。そしてビリーは現在の仕事を最後に引退しようと考え、ターゲットのいる新たな町へと向かう。そこでビリーは自身の半生を振りかえりながら書き綴っているうちに小説執筆に目覚め、作家のふりをして任務遂行の時機を待つことにする。

 

  1. 2. BLOODLESS    New!

Douglas Preston and Lincoln Child ダグラス・プレストン、リンカーン・チャイルド

FBI特別捜査官ペンダーガスト・シリーズ第20作。ジョージア州のサヴァナで血液を抜きとられた死体が発見され、地元の都市伝説になっている吸血鬼の仕業ではないかという噂が流れる。捜査に乗り出したペンダーガストは、未解決に終わったハイジャック事件との関係に気づく。

 

  1. 3. COMPLICATIONS    New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

豪華な設備と行き届いたサービスにより、ホテル〈ルイ16世〉はパリで最も高い評判を得ていた。四年にわたる改装工事を終え、新しい支配人を迎えて営業を再開したとき、恋愛や人生に悩むさまざまな客たちがそれぞれの部屋でドラマを繰り広げる。

 

 

  1. 4. THE NOISE    New!

James Patterson and J. D. Barker ジェイムズ・パタースン、J・D・バーカー

オレゴン州にそびえる火山、フッド山。近くの森でウサギ用の罠の様子を見てまわっていたテナントとソフィーの姉妹は、突然奇妙な地鳴りを聞いた。父親にうながされ、竜巻シェルターに避難するが、音は激しくなる一方だった。

 

 

  1. 5. THE LAST THING HE TOLD ME    Down

Laura Dave ローラ・デイヴ

結婚して1年の夫が失踪し、「娘を頼む」というメモとともに、夫の連れ子である16歳のベイリーと残されたハナ。ベイリーのロッカーから多額の現金が見つかると同時に、夫の会社にFBIの捜査が入ったことがわかる。ハナは夫が本当に会社で不正に手を染めていたのか調べようとするが、その過程で折り合いの悪かったベイリーとの関係も変化してゆく。

 

  1. 6. THE PAPER PALACE    Down

Miranda Cowley Heller ミランダ・カウリー・ヘラー

毎年夏に家族と訪れているケープ・コッドのキャビン〈ペーパー・パレス〉で、五十代のエルは母親の誕生パーティーを抜け出し、幼なじみのジョナスとはじめて関係を結ぶ。複雑な暗い過去を背負い心の闇を隠してきたエルは、愛する子どもたちの父親であり誠実な夫ピーターと初恋の人ジョナスとのあいだで激しく揺れる。

 

  1. 7. THE MIDNIGHT LIBRARY    Down

Matt Haig マット・ヘイグ

仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。

 

  1. 8. MALIBU RISING    Down

Taylor Jenkins Reid テイラー・ジェンキンズ・リード

1980年代初期のカリフォルニアのマリブ。伝説的なシンガーを父に持つ4人の兄弟姉妹が、セレブを集めて華麗なパーティーを開く。4人ともサーフィン界の有名人で、世間では羨望の的だったが、パーティーが佳境を迎えるにつれ家族がかかえる暗い確執と秘密がしだいに明らかになる。

 

  1. 9. THE PRESIDENT’S DAUGHTER    Up

Bill Clinton and James Patterson ビル・クリントン、ジェイムズ・パタースン

海軍特殊部隊員の経歴を持ち、元大統領であるマシュー・キーティングは、何よりも家族を大切にしていた。ところが、キーティングの十代の娘メラニーが何者かに誘拐されてしまう。国家を揺るがす大事件に、キーティングはリーダーとして、軍人として、そして父親として三つの役割を一人で担い、立ち向かっていく。

 

  1. 10. CHASING THE BOOGEYMAN    New!

Richard Chizmar リチャード・チズマー

1988年夏、メリーランド州の田舎町で、行方不明になっていた少女たちの惨殺死体が発見された。当局は連続殺人犯の犯行と見なすが、人ならざる邪悪な何かの仕業だという噂もあった。その町の出身で、大学卒業を機に帰郷したリチャード・チズマーは、事件に興味を持って記録を残そうとする。

 

 

【まとめ】

新作が4作ランクインしましたが、1位は3週連続でキングが堅持しました。2位のペンダーガスト・シリーズは、第3作の『殺人者の陳列棚』まで邦訳が刊行されています。4位は常連のスティール。 5位のJ・D・バーカーの邦訳は、ハーパーBOOKSより〈四猿〉3部作の『悪の猿』『嗤う猿』『猿の罰』が刊行ずみ。10位のチズマーは、2017年にスティーヴン・キングとの共著で刊行した“GWENDY’S BUTTON BOX”がベストセラーになり、本ランキングにも登場しました。なお、トップテン外に目立った動きはありませんでした。

 

青木創(あおき はじめ)

翻訳者。L・チャイルドのジャック・リーチャー・シリーズ第7作『宿敵』が刊行されました。序盤から驚愕の展開がつづく、シリーズでも評価の高い作品です。そのほかの訳書に、同シリーズの『葬られた勲章』、D・ワッツ『偶然の科学』など。