アメリカのベストセラー・ランキング

9月19日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. A SLOW FIRE BURNING    New!

Paula Hawkins ポーラ・ホーキンズ

ロンドンのハウスボートで若い男性が惨殺された。被害者ダニエルを知る3人の女性――ダニエルと一夜の関係を持ち、ボートを訪れていたローラ、数週間前に事故死したダニエルの母アンジェラの姉妹であるカーラ、そして警察に対し明らかに何かを隠している、近隣のボート住民ミリアム――が、疑惑を向けられる。

 

  1. 2. BILLY SUMMERS    Stay

Stephen King スティーヴン・キング

元軍人で凄腕のスナイパーである殺し屋ビリー・サマーズは、ターゲットが真の悪人である場合だけに手を下すと決めていた。そしてビリーは現在の仕事を最後に引退しようと考え、ターゲットのいる新たな町へと向かう。そこでビリーは自身の半生を振りかえりながら書き綴っているうちに小説執筆に目覚め、作家のふりをして任務遂行の時機を待つことにする。

 

  1. 3. THE MADNESS OF CROWDS    Down

Louise Penny ルイーズ・ペニー

ガマシュ警部シリーズ第17作。コロナ禍収束後のカナダ、ケベック州。ガマシュは統計学者アビゲイル・ロビンソンの講演会の警備を頼まれる。ロビンソンはコロナ禍の社会経済的影響を分析した結果、社会の負担となる高齢者や障害者の安楽死を主張して物議をかもしている人物で、講演会で命を狙われているというのだが――

 

  1. 4. THE MIDNIGHT LIBRARY    Up

Matt Haig マット・ヘイグ

仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。

 

  1. 5. THE NOISE    Up

James Patterson and J. D. Barker ジェイムズ・パタースン、J・D・バーカー

オレゴン州にそびえる火山、フッド山。近くの森でウサギ用の罠の様子を見てまわっていたテナントとソフィーの姉妹は、突然奇妙な地鳴りを聞いた。父親にうながされ、竜巻シェルターに避難するが、音は激しくなる一方だった。

 

  1. 6. THE PAPER PALACE    Up

Miranda Cowley Heller ミランダ・カウリー・ヘラー

毎年夏に家族と訪れているケープ・コッドのキャビン〈ペーパー・パレス〉で、五十代のエルは母親の誕生パーティーを抜け出し、幼なじみのジョナスとはじめて関係を結ぶ。複雑な暗い過去を背負い心の闇を隠してきたエルは、愛する子どもたちの父親であり誠実な夫ピーターと初恋の人ジョナスとのあいだで激しく揺れる。

 

  1. 7. MALIBU RISING    Up

Taylor Jenkins Reid テイラー・ジェンキンズ・リード

1980年代初期のカリフォルニアのマリブ。伝説的なシンガーを父に持つ4人の兄弟姉妹が、セレブを集めて華麗なパーティーを開く。4人ともサーフィン界の有名人で、世間では羨望の的だったが、パーティーが佳境を迎えるにつれ家族がかかえる暗い確執と秘密がしだいに明らかになる。

 

  1. 8. THE LAST THING HE TOLD ME    Down

Laura Dave ローラ・デイヴ

結婚して1年の夫が失踪し、「娘を頼む」というメモとともに、夫の連れ子である16歳のベイリーと残されたハナ。ベイリーのロッカーから多額の現金が見つかると同時に、夫の会社にFBIの捜査が入ったことがわかる。ハナは夫が本当に会社で不正に手を染めていたのか調べようとするが、その過程で折り合いの悪かったベイリーとの関係も変化してゆく。

 

  1. 9. COMPLICATIONS    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

豪華な設備と行き届いたサービスにより、ホテル〈ルイ16世〉はパリで最も高い評判を得ていた。四年にわたる改装工事を終え、新しい支配人を迎えて営業を再開したとき、恋愛や人生に悩むさまざまな客たちがそれぞれの部屋でドラマを繰り広げる。

 

  1. 10. WE WERE NEVER HERE    Up

Andrea Bartz アンドレア・バーツ

エミリーは親友のクリステンとともに年に一度の旅行をしていた。最後の夜、クリステンは旅先で知りあった男性に襲われ、身を守ろうとして相手を殺害してしまう。エミリーは愕然とする。ちょうど一年前、似たような事件に巻きこまれたのだ。二度も同じことが起きるとは、にわかに信じがたい。ふたりの抱えている秘密がエミリーを追いつめていく。

 

 

【まとめ】

今週は『ガール・オン・ザ・トレイン』のヒットで知られるポーラ・ホーキンズの新作が初登場1位に輝きました。3位のルイーズ・ペニー“THE MADNESS OF CROWDS”は、本コーナーがお休みだった先週に1位を獲得しています。トップテン外では、先週4位のオノレ・ファノン・ジェファーズによる長編小説“THE LOVE SONGS OF W.E.B. DU BOIS”が12位に、先週5位のウィリアム・ケント・クルーガー“LIGHTNING STRIKE”(元保安官コーク・オコナーの「最初の事件」を描くシリーズ第18作)が15位につけています。

 

佐藤桂(さとう けい)

神奈川在住の翻訳者です。『サバヨミ!』(久野郁子さんとの共訳、ハヤカワ文庫NV)、『RE:THINK――答えは過去にある』(早川書房)、『逆転交渉術:まずは「ノー」を引き出せ』(早川書房)など。