アメリカのベストセラー・ランキング
11月21日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. THE STRANGER IN THE LIFEBOAT New!
Mitch Albom ミッチ・アルボム
船舶の爆発事故が起き、生存者9名がボートで漂流しながら三日間救助を待っていた。あきらめの雰囲気が漂うなか、波間にひとりの男が浮かんでいる姿が見え、助けだしてボートに乗せることになる。その男はなんと、自分が神であると名乗り、信じる者のみが生きのびられると言うのだった。神の助けを待つ者たちの前に本物の神があらわれたのだろうか、それとも――
- 2. THE JUDGE’S LIST Down
John Grisham ジョン・グリシャム
フロリダ州で裁判官への苦情申立てについて調査する弁護士レイシー・ストルツが活躍する2016年刊行の“THE WHISTLER”の続編。20年前に父親を殺されたという女性ジェリーがレイシーのもとにやってくる。事件は未解決だが、ジェリーはある容疑者の名前をあげ、被害者はほかにも複数いると話す。その容疑者とは、なんと裁判官だというのだが――
- 3. GAME ON New!
Janet Evanovich ジャネット・イヴァノヴィッチ
ステファニー・プラム・シリーズ第28作。元同僚であるディーゼルと再会したステファニーは、偶然にもふたりが同じ指名手配犯、オズワルド・ウェンズデーを追っていることを知る。オズワルドは国際的なハッカーで、テクノロジーに詳しいとは言えないステファニーは自身の経験や捜査の手腕を頼りに犯人を追っていく。
- 4. BETTER OFF DEAD Down
Lee Child and Andrew Child リー・チャイルド、アンドリュー・チャイルド
リー・チャイルドと弟アンドリューの共同執筆による、ジャック・リーチャー・シリーズ第26作。ジャックはアリゾナ州のメキシコ国境のとある町で、不可解な交通事故から元軍人のFBI女性捜査官ミカエラを救う。ミカエラは危険な悪の組織から双子の弟を救い出そうとしていた。ジャックは組織の謎めいたリーダー、デンドンケルと対決する。
- 5. THE WISH Down
Nicholas Sparks ニコラス・スパークス
マギーは16歳のときに、ノースカロライナ州の離島であるオクラコーク島に住む叔母と同居することになる。そして島で出会ったブライスという十代の若者を通じて、島の美しさと写真の魅力に取り憑かれる。それから20年以上が経過した2019年、マギーは写真家としてNYでギャラリーを持つまで成功していたが、自身の病に悩まされる。そんな折に心を占めていたのは、十代のころの恋の思い出だった。
- 6. THE LINCOLN HIGHWAY Down
Amor Towles エイモア・トールズ
1954年、18歳のエメットはカンザスの少年拘置所を出てネブラスカへもどる。母はずっと前に失踪、父が最近病死したため、8歳の弟とともにサンフランシスコで人生をやりなおそうとリンカーンハイウェイを西へ向かおうとする。ところが、拘置所から少年ふたりが隠れてエメットについてきていた。4人は古いスチュードベーカーに乗って東へ向かう。
- 7. CLOUD CUCKOO LAND Down
Anthony Doerr アンソニー・ドーア
15世紀のコンスタンティノープル、戦時下を生きる十代のアンナとオミール。現代のアイダホ州の図書館で対峙する、老いたジーノと若きシーモア。そして数十年後の未来における宇宙船で孤独に生きるコンスタンス。3つの時代を生きる5人の登場人物が、1冊の本を軸にしてそれぞれの人生に翻弄される。
- 8. STATE OF TERROR Down
Hillary Rodham Clinton and Louise Penny ヒラリー・ロダム・クリントン、ルイーズ・ペニー
政敵だった大統領から指名され、国務長官に就任したエレン・アダムズ。新政権は前政権の外交政策によって失われたアメリカのリーダーシップを取りもどそうとするが、テロ攻撃や敵性国家の核開発疑惑に悩まされる。アダムズはアメリカを衰退させようとする陰謀に立ち向かう。
- 9. APPLES NEVER FALL Stay
Liane Moriarty リアーン・モリアーティ
スタンとジョイのデラネイ夫妻は、地元で名を馳せるテニス・スクールを経営していた。4人の子どもたちも、それぞれ順調な人生を送っている。結婚して50年を機に、夫妻はスクールを売って老後の人生を始めることにした。そんなある日、サヴァンナという女性が夫妻の前に現れる。ボーイフレンドと喧嘩をしたといって血を流す彼女を家に招き入れるが、のちにジョイが行方不明になり、サヴァンナの姿も見えなくなる。
- 10. OUR COUNTRY FRIENDS New!
Gary Shteyngart ゲイリー・シュタインガート
ニューヨーク州北部のカントリー・ハウスで、八人の男女がパンデミックの収束を待ちながら、隔絶された生活を六カ月間送る。ロシア生まれの小説家とその妻子、ネイティブアメリカンのライター、アプリ開発で大成功を収めている韓国系アメリカ人、映画スターなど、出身も職業もさまざまな人々のあいだで新たな友情やロマンスが生まれると同時に、過去の裏切りも明らかになっていく。
【まとめ】
新たに3作品がランクインしました。1位のミッチ・アルボムは『モリー先生との火曜日』(別宮貞徳訳、NHK出版)が世界的ベストセラーとなったほか、本作や『天国からの電話』(大野晶子訳、静山社)などのように、天国や神をテーマとした作風が特徴です。3位のジャネット・イヴァノヴィッチは2020年11月刊行の前作が初登場1位となりましたが、今回は叶いませんでした。10位のゲイリー・シュタインガートはディストピア恋愛小説『スーパー・サッド・トゥルー・ラブ・ストーリー』(近藤隆文訳、NHK出版)が2013年10月に邦訳刊行されています。
圏外では11位にマフィアの娘たちの運命を描く“THE FAMILY”(Naomi Krupitsky/ネイオミ・クルピツキー)が新たにランクインしました。
関 麻衣子(せき まいこ) |
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埼玉在住の翻訳者。訳書に『殺人ゲーム』レイチェル・アボット(角川文庫)、ジョン・ヴァーチャー『白が5なら、黒は3』、ヴィクター・メソス『弁護士ダニエル・ローリンズ』(いずれも早川書房)など。 |