アメリカのベストセラー・ランキング
3月20日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. THE PARIS APARTMENT Stay
Lucy Foley ルーシー・フォーリー
何もかもうまくいかず、働いていたブライトンのバーも辞めてお金もないジェスは、たったひとりの身寄りである兄のベンをたよってパリに渡る。しばらく泊めてもらうことになったベンのアパルトマンを訪ねてみると、そこは立地も建物も素晴らしく、いかにも人生の再出発にふさわしい場所だったが、数時間前にジェスの携帯電話に届いたメッセージを最後にベンは姿を消していた。
- 2. ONE ITALIAN SUMMER New!
Rebecca Serle レベッカ・サール
ケイティの母親、キャロルが亡くなった。ケイティにとってはベストフレンドで、なんでもいちばんに話す存在だった。母親が父親と出会うまえに過ごしていたイタリアへ、母娘で旅するのを楽しみにしていたケイティは、ひとりでアマルフィ海岸に旅立つ。そこで母親の魂の存在を感じるケイティの前に、生き生きとして日灼けした30歳のキャロルが現れる。
- 3. THE ATLAS SIX New!
Olivie Blake オリヴィ・ブレイク
もっとも優れた古代文明の失われた知識を管理する〈アレクサンドリアン・ソサエティ〉は、魔術の有識者たちが集まる世界随一の秘密結社だ。10年ごとに、6人が結社への加入候補となる。今回、アトラス・ブレイクリーにリクルートされた6人は、つぎの1年で自分は加入するにふさわしいかを証明するように言われる。加入できるのは5人だけだ。
- 4. HOUSE OF SKY AND BREATH Down
Sarah J. Maas サラ・J・マース
妖精と人間の中間の存在であるブライス・キンランを主人公とする異世界ファンタジー、クレセント・シティ・シリーズ三部作の第2作。ブライスは堕天使ハント・アサラーとともに、再びクレセント・シティを脅かす悪に立ち向かう。
- 5. THE CLUB New!
Ellery Lloyd エラリー・ロイド
世界中に点在する〈ザ・ホーム・グループ〉は、羽目を外したパーティをしたあとで5つ星ホテルのスイートに泊まるセレブたちのクラブの総称だ。あらたに〈アイランド・ホーム〉がイングランドの海沿いにオープンすることになり、パーティが3日にわたって開かれようとしていた。しかしクラブのCEOのネッドをはじめ、スタッフたちはみな、秘密を抱えている。そして、やはり醜い秘密を抱えるセレブたちが、クラブへと集まりはじめる。
- 6. THE MIDNIGHT LIBRARY Down
Matt Haig マット・ヘイグ
仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。
- 7. THE MAID Down
Nita Prose ニータ・ブロウズ
他者とのコミュニケーションが苦手なモリーは、ずっと支えてくれた祖母が亡くなると、高級ホテルのメイドとして働くことになる。きれい好きで礼儀正しい彼女には、うってつけの仕事だ。しかしある日、評判の悪い富豪の客ブラック氏が、滞在中のスイートで死体で発見される。警察はモリーに疑いの目を向けるが、彼女は友人たちとともに真犯人を突き止めようとする。
- 8. THE LINCOLN HIGHWAY Down
Amor Towles エイモア・トールズ
1954年、18歳のエメットはカンザスの少年拘置所を出てネブラスカへもどる。母はずっと前に失踪、父が最近病死したため、8歳の弟とともにサンフランシスコで人生をやりなおそうとリンカーンハイウェイを西へ向かおうとする。ところが、拘置所から少年ふたりが隠れてエメットについてきていた。4人は古いスチュードベーカーに乗って東へ向かう。
- 9. THE LAST THING HE TOLD ME Down
Laura Dave ローラ・デイヴ
結婚して1年の夫が失踪し、「娘を頼む」というメモとともに、夫の連れ子である16歳のベイリーと残されたハナ。ベイリーのロッカーから多額の現金が見つかると同時に、夫の会社にFBIの捜査が入ったことがわかる。ハナは夫が本当に会社で不正に手を染めていたのか調べようとするが、その過程で折り合いの悪かったベイリーとの関係も変化してゆく。
- 10. THE LOVE OF MY LIFE New!
Rosie Walsh ロージー・ウォルシュ
エマは夫のレオと娘のルビーを愛していた。レオは故人の追悼記事を書く記者で、エマは著名な海洋生物学者だ。エマが重病になると、レオは妻のこれまでの人生を書くことで平常心を保とうとした。しかし真実を知るにつれ、エマという人物は実在しないとわかってくる。自分に偽りはないと知らせるために、エマはまず、べつの愛する人の存在について話さなければならなかった。
【まとめ】
今週は4作が初登場しました。2位のレベッカ・サールはこれまでに本作を含む6作品を発表し、2020年の“IN FIVE YEARS”につづいてベストセラー・リスト入りしました。5位のTHE CLUB は、リース・ウィザースプーンがブッククラブで取り上げたことで話題になりました。1位の“THE PARISAPARTMENT”は、本コーナーがお休みだった先週に1位で初登場、今週も1位に留まりました。著者の前作『ゲストリスト』(唐木田みゆき訳)は早川書房から出版されています。
吉野山早苗(よしのやま さなえ) |
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翻訳者です。新しい訳書『あなたの知らない心臓の話』(ビル・シャット著/原書房)が3月15日に出ます。カブトガニの青い血、ヒヒの心臓を移植された赤ちゃん、3Dで臓器をつくる未来など、興味深いエピソード満載の1冊です。 |