アメリカのベストセラー・ランキング

3月27日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

1.RUN, ROSE, RUN            New!
Dolly Parton and James Patterson ドリー・パートン、ジェームズ・パタースン

子供のころから歌を作って歌っていたアニー゠リーは、一文無しでナッシュヴィルのバーのステージに立ったのを機に、ミュージシャンのイーサンと、引退したカントリーソングの女王ルサンナに認められ、スターへの道をのぼっていく。けれども彼女には暗い過去があり、イーサンとルサンナもそれぞれ秘密をかかえていた。

 

  1. 2. SHADOWS REEL                     New!

C.J. Box C.J.ボックス

ジョー・ピケット・シリーズの22作目。ある日猟区管理官ピケットは拷問の形跡がある地元の釣りガイドの焼死体を発見し、一方ピケットの妻が勤める図書館には、かつてのナチス高官の貴重な写真を収めたアルバムが届く。そのナチスの遺品を奪おうと何者かがワイオミングに現れ、ピケット一家は危険にさらされる。

 

  1. 3. THE PARIS APARTMENT    Down

Lucy Foley ルーシー・フォーリー

何もかもうまくいかず、働いていたブライトンのバーも辞めてお金もないジェスは、たったひとりの身寄りである兄のベンをたよってパリに渡る。しばらく泊めてもらうことになったベンのアパルトマンを訪ねてみると、そこは立地も建物も素晴らしく、いかにも人生の再出発にふさわしい場所だったが、数時間前にジェスの携帯電話に届いたメッセージを最後にベンは姿を消していた。

 

  1. 4. THE GOLDEN COUPLE             New!

Greer Hendricks and Sarah Pekkanen グリア・ヘンドリックス、サラ・ペッカネン

冷え切った夫婦関係を修復しようと妻のメリッサは夫マシューをセラピーに誘う。そこではエイブリーという無免許のセラピストが斬新で効果てきめんの治療をおこなっているらしい。治療は嘘や隠し事をさらけ出すことからはじまり、メリッサの不貞がばれて大騒ぎに。そのうえエイブリー自身も問題をかかえていた。

 

  1. 5. HIGH STAKES               New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

大手エージェント会社を舞台に出世を目指す5人の女性が描き出される。それぞれが結婚、子供、金銭などの問題をかかえながら職場内のさまざまなハラスメントに耐えているが、その中で失うものが少ない新人のジェーンは恐れずにノーと言って立ちあがる。

 

  1. 6. ONE ITALIAN SUMMER    Down

Rebecca Serle レベッカ・サール

ケイティの母親、キャロルが亡くなった。ケイティにとってはベストフレンドで、なんでもいちばんに話す存在だった。母親が父親と出会うまえに過ごしていたイタリアへ、母娘で旅するのを楽しみにしていたケイティは、ひとりでアマルフィ海岸に旅立つ。そこで母親の魂の存在を感じるケイティの前に、生き生きとして日灼けした30歳のキャロルが現れる。

 

  1. 7. THE LIGHTNING ROD                New!

Brad Meltzer ブラッド・メルツァー

エスケープ・アーティスト・シリーズの2作目。死亡した軍人の遺体回収をするジグは、ある軍人の遺体を見て、2年前に自分の命を救ったノラとその男のつながりに気づく。ノラの行方を追いながら、ジグはアメリカの安全を脅かす軍事施設と秘密の集団に迫る。

 

  1. 8. THE MIDNIGHT LIBRARY    Down

Matt Haig マット・ヘイグ

仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。

 

  1. 9. HOUSE OF SKY AND BREATH    Down

Sarah J. Maas サラ・J・マース  

妖精と人間の中間の存在であるブライス・キンランを主人公とする異世界ファンタジー、クレセント・シティ・シリーズ三部作の第2作。ブライスは堕天使ハント・アサラーとともに、再びクレセント・シティを脅かす悪に立ち向かう。

 

  1. 10. THE CLUB    Down

Ellery Lloyd エラリー・ロイド

世界中に点在する〈ザ・ホーム・グループ〉は、羽目を外したパーティをしたあとで5つ星ホテルのスイートに泊まるセレブたちのクラブの総称だ。あらたに〈アイランド・ホーム〉がイングランドの海沿いにオープンすることになり、パーティが3日にわたって開かれようとしていた。しかしクラブのCEOのネッドをはじめ、スタッフたちはみな、秘密を抱えている。そして、やはり醜い秘密を抱えるセレブたちが、クラブへと集まりはじめる。

 

【まとめ】

先週につづいて今週も入れ替わりが多く、あらたに5作がランクインしました。1位はカントリー・ミュージック界の大物ドリー・パートンとパタースンの共著。本書発売とほぼ同時にドリー・バートン自身の同名アルバムRUN, ROSE, RUNもリリースされています。2位のC.J.ボックスのジョー・ピケット・シリーズは14作目の『越境者』(野口百合子訳 創元推理文庫 2021年)まで邦訳が進んでいます。4位のグリア・ヘンドリックス、サラ・ペッカネンについては、前作のThe Wife Between Us が『完璧すぎる結婚』(風早柊佐訳 二見文庫ザ・ミステリ・コレクション 2021年)というタイトルで出版されています。5位のダニエル・スティールはMe Too 運動を背景に女性問題を扱った作品。7位ブラッド・メルツァーの、ノラとジグが活躍する本シリーズは1作目がThe Escape Artist というタイトルで2018年に刊行、メルツァーの邦訳では『運命の書』(越前敏弥訳 2008年)、『偽りの書』(青木創訳 2009年)がいずれも角川書店から出ています。

 

唐木田みゆき(からきだみゆき)

翻訳者です。訳書にアンドリュー・メインの生物学探偵セオ・クレイシリーズ『森の捕食者』、『街の狩人』、サマンサ・ダウニングの『殺人記念日』、ルーシー・フォーリーの『ゲストリスト』など。3月16日にアリッサ・コールの『ブルックリンの死』が発売されました。