アメリカのベストセラー・ランキング
4月3日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. RUN, ROSE, RUN Stay
Dolly Parton and James Patterson ドリー・パートン、ジェームズ・パタースン
子供のころから歌を作って歌っていたアニー゠リーは、一文無しでナッシュヴィルのバーのステージに立ったのを機に、ミュージシャンのイーサンと、引退したカントリーソングの女王ルサンナに認められ、スターへの道をのぼっていく。けれども彼女には暗い過去があり、イーサンとルサンナもそれぞれ秘密をかかえていた。
- 2. THE MATCH New!
Harlan Coben ハーラン・コーベン
ワイルド・シリーズ第2作。森で育ったという過去を持つ、謎多き天才調査員ワイルドは、DNA鑑定から生みの親を探すべく調査をしていた。その過程で、ワイルドの従兄弟であることが判明したリアリティ番組のスター、ピーターが失踪したことを知る。自殺したとも囁かれるピーターを探しだすべく、ワイルドは動きだす。
- 3. SHADOWS REEL Down
C.J. Box C.J.ボックス
ジョー・ピケット・シリーズの22作目。ある日猟区管理官ピケットは拷問の形跡がある地元の釣りガイドの焼死体を発見し、一方ピケットの妻が勤める図書館には、かつてのナチス高官の貴重な写真を収めたアルバムが届く。そのナチスの遺品を奪おうと何者かがワイオミングに現れ、ピケット一家は危険にさらされる。
- 4. THE PARIS APARTMENT Down
Lucy Foley ルーシー・フォーリー
何もかもうまくいかず、働いていたブライトンのバーも辞めてお金もないジェスは、たったひとりの身寄りである兄のベンをたよってパリに渡る。しばらく泊めてもらうことになったベンのアパルトマンを訪ねてみると、そこは立地も建物も素晴らしく、いかにも人生の再出発にふさわしい場所だったが、数時間前にジェスの携帯電話に届いたメッセージを最後にベンは姿を消していた。
- 5. ONE ITALIAN SUMMER Up
Rebecca Serle レベッカ・サール
ケイティの母親、キャロルが亡くなった。ケイティにとってはベストフレンドで、なんでもいちばんに話す存在だった。母親が父親と出会うまえに過ごしていたイタリアへ、母娘で旅するのを楽しみにしていたケイティは、ひとりでアマルフィ海岸に旅立つ。そこで母親の魂の存在を感じるケイティの前に、生き生きとして日灼けした30歳のキャロルが現れる。
- 6. THE LIGHTNING ROD Up
Brad Meltzer ブラッド・メルツァー
エスケープ・アーティスト・シリーズの2作目。死亡した軍人の遺体回収をするジグは、ある軍人の遺体を見て、2年前に自分の命を救ったノラとその男のつながりに気づく。ノラの行方を追いながら、ジグはアメリカの安全を脅かす軍事施設と秘密の集団に迫る。
- 7. THE MIDNIGHT LIBRARY Up
Matt Haig マット・ヘイグ
仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。
- 8. THE ATLAS SIX Up
Olivie Blake オリヴィ・ブレイク
もっとも優れた古代文明の失われた知識を管理する〈アレクサンドリアン・ソサエティ〉は、魔術の有識者たちが集まる世界随一の秘密結社だ。10年ごとに、6人が結社への加入候補となる。今回、アトラス・ブレイクリーにリクルートされた6人は、つぎの1年で自分は加入するにふさわしいかを証明するように言われる。加入できるのは5人だけだ。
- 9. THE BOOK OF COLD CASES New!
Simone St. James シモーヌ・セントジェームズ
シェイ・コリンズは子供時代に誘拐未遂事件に遭ったことをきっかけに、未解決事件を調べるブログを書くことに情熱を注いでいた。そして、40年前に2件の殺人事件の容疑者とされながらも無罪となったベス・グリアに取材を申し込み、それがきっかけでふたりは親しくなっていく。だが、ベスの家を訪ねる度に、シェイは何か不穏な空気を感じるのだった。
- 10. HIGH STAKES Down
Danielle Steel ダニエル・スティール
大手エージェント会社を舞台に出世を目指す5人の女性が描き出される。それぞれが結婚、子供、金銭などの問題をかかえながら職場内のさまざまなハラスメントに耐えているが、その中で失うものが少ない新人のジェーンは恐れずにノーと言って立ちあがる。
【まとめ】
今週は2作が新たにランクインしました。2位のハーラン・コーベンによるワイルド・シリーズは、第1作が『森から来た少年』(田口俊樹訳、小学館文庫)として2022年1月に刊行されています。9位のシモーヌ・セントジェームズは、RITA賞ダブル受賞で注目された2013年発表の”The Haunting of Maddy Clare”が、『唇にはレクイエムを』(辻早苗訳、ヴィレッジブックス、2014年)として邦訳刊行されています。
10位圏外に目立った動きはありませんでした。
関 麻衣子(せき まいこ) |
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埼玉在住の翻訳者。訳書に『殺人ゲーム』レイチェル・アボット(角川文庫)、ジョン・ヴァーチャー『白が5なら、黒は3』、ヴィクター・メソス『弁護士ダニエル・ローリンズ』(いずれも早川書房)など。 |