アメリカのベストセラー・ランキング

4月17日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. RUN, ROSE, RUN    Stay

Dolly Parton and James Patterson ドリー・パートン、ジェームズ・パタースン

子供のころから歌を作って歌っていたアニー゠リーは、一文無しでナッシュヴィルのバーのステージに立ったのを機に、ミュージシャンのイーサンと、引退したカントリーソングの女王ルサンナに認められ、スターへの道をのぼっていく。けれども彼女には暗い過去があり、イーサンとルサンナもそれぞれ秘密をかかえていた。

 

  1. 2. WHAT HAPPENED TO THE BENNETTS    New!

Lisa Scottoline リザ・スコットライン

ジェイソン・ベネットは妻子を車に乗せて帰宅中にカージャックに遭うが、犯人ふたりは仲間割れし、ひとりがもうひとりを射殺して逃げた。殺されたのはギャングの一員で、ジェイソンの仕業だとボスが思いこんだために、一家は命を狙われることになり、FBIの証人保護プログラムを受ける。

 

  1. 3. THE DIAMOND EYE    New!

Kate Quinn ケイト・クイン

1937年のキーウ(キエフ)。大学で歴史を学んでいたミラ・パヴリチェンコは、ナチスドイツのソ連侵攻にともない、赤軍の狙撃兵として戦場に送りこまれる。そしてたぐいまれな才能を発揮し、300名以上の敵兵を殺害する戦果をあげた。ソ連邦英雄を受章したミラはいったん前線を離れるが、仇敵と決着をつけるため、ふたたび戦場に戻る。

 

  1. 4. THE PARIS APARTMENT    Down

Lucy Foley ルーシー・フォーリー

何もかもうまくいかず、働いていたブライトンのバーも辞めてお金もないジェスは、たったひとりの身寄りである兄のベンをたよってパリに渡る。しばらく泊めてもらうことになったベンのアパルトマンを訪ねてみると、そこは立地も建物も素晴らしく、いかにも人生の再出発にふさわしい場所だったが、数時間前にジェスの携帯電話に届いたメッセージを最後にベンは姿を消していた。

 

  1. 5. THE RECOVERY AGENT    Down

Janet Evanovich ジャネット・イヴァノヴィッチ

ガブリエラ・ローズはリカバリー・エージェントとして、失せ物や盗まれた宝を探し出したり、保険調査員のようなことをしたりしている。今回は故郷の実家がハリケーンで壊滅的な被害を受けたため、手っとり早く大金を稼ぐ必要があり、家宝があると祖母から話を聞いて、ローズはペルーのジャングルへ向かう。ベストセラー作家による大型シリーズの幕開け。

 

  1. 6. ONE ITALIAN SUMMER    Up

Rebecca Serle レベッカ・サール

ケイティの母親、キャロルが亡くなった。ケイティにとってはベストフレンドで、なんでもいちばんに話す存在だった。母親が父親と出会うまえに過ごしていたイタリアへ、母娘で旅するのを楽しみにしていたケイティは、ひとりでアマルフィ海岸に旅立つ。そこで母親の魂の存在を感じるケイティの前に、生き生きとして日灼けした30歳のキャロルが現れる。

 

  1. 7. FRENCH BRAID    Down

Anne Tyler アン・タイラー

父ロビン、母マーシー、10代の娘アリスとリリー、末の息子デイヴィッドからなる、ボルチモアに住むギャレット家が、1959年の夏、湖のそばで1週間の休暇を過ごす。章が進むごとに、アルバムのページをめくるように、少しずつ年月を重ねた家族の軌跡が描写される。

 

  1. 8. THE MIDNIGHT LIBRARY    Up

Matt Haig マット・ヘイグ

仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。

 

  1. 9. SHADOWS REEL    Down

C.J. Box C.J.ボックス

ジョー・ピケット・シリーズの22作目。ある日猟区管理官ピケットは拷問の形跡がある地元の釣りガイドの焼死体を発見し、一方ピケットの妻が勤める図書館には、かつてのナチス高官の貴重な写真を収めたアルバムが届く。そのナチスの遺品を奪おうと何者かがワイオミングに現れ、ピケット一家は危険にさらされる。

 

  1. 10. THE MATCH    Down

Harlan Coben ハーラン・コーベン

ワイルド・シリーズ第2作。森で育ったという過去を持つ、謎多き天才調査員ワイルドは、DNA鑑定から生みの親を探すべく調査をしていた。その過程で、ワイルドの従兄弟であることが判明したリアリティ番組のスター、ピーターが失踪したことを知る。自殺したとも囁かれるピーターを探しだすべく、ワイルドは動きだす。

 

 

【まとめ】

新作が2作トップテン入りしました。2位のスコットラインは、女性だけの弁護士事務所ロザート・アンド・アソシエイツのシリーズが有名ですが、本作はスタンドアロンのミステリになっています。3位のクインはヒストリカル・フィクションを数多く手がけており、本作も史上最高の女性狙撃手と言われるリュドミラ・パヴリチェンコの実話をもとにしています。また、本コーナーがお休みだった先週にランクインしたイヴァノヴィッチとタイラーが、今週もそれぞれ5位と7位にはいりました。タイラーはブッカー賞の候補となった『この道の先に、いつもの赤毛』が早川書房より先月刊行されたばかりです。トップテン外に目立った動きはありませんでした。

 

青木創(あおき はじめ)

翻訳者。訳書に、L・チャイルド『宿敵』、『葬られた勲章』、D・ワッツ『偶然の科学』など。