アメリカのベストセラー・ランキング

5月22日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. 22 SECONDS           New!

James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マキシン・ペトロ

ウィメンズ・マーダークラブ・シリーズの22作目。サンフランシスコ市警の巡査部長リンジーは、口封じで殺されたとみられる元警官たちの調査をするうちに、メキシコのカルテルによる銃と麻薬の大量密輸事件に巻きこまれていく。

 

  1. 2. BOOK OF NIGHT    New!

Holly Black ホリー・ブラック

盗みと詐欺の達人チャーリー・ホールは、影を操る魔術師グロミストたちと組んでよく仕事をしたものだが、いまは安酒場のバーテンダーとしてつつましく暮らしている。けれども過去に引き起こした事件のせいで、あるいは深入りせずにいられない性分のせいで、ふたたび闇の力を引き寄せてしまう。

 

  1. 3. RUN, ROSE, RUN    Down

Dolly Parton and James Patterson ドリー・パートン、ジェームズ・パタースン

子供のころから歌を作って歌っていたアニー゠リーは、一文無しでナッシュヴィルのバーのステージに立ったのを機に、ミュージシャンのイーサンと、引退したカントリーソングの女王ルサンナに認められ、スターへの道をのぼっていく。けれども彼女には暗い過去があり、イーサンとルサンナもそれぞれ秘密をかかえていた。

 

  1. 4. DREAM TOWN    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

退役軍人アロイシャス・アーチャー・シリーズ第3作。1952年の大晦日、カリフォルニアの探偵事務所で働くアーチャーは、女友達のリバティと新年を祝うために訪れたロサンゼルスで、紹介された脚本家ラムの自宅で身元不明の男の死体を発見する。事件の調査を進めるうちにアーチャーの身にも危険が迫る。

 

  1. 5. THE HOMEWRECKERS              New!

Mary Kay Andrews メアリー・ケイ・アンドルーズ

ハティはリフォームの仕事に情熱をそそぐが、失敗つづきで事業が行き詰まり、思い切ってビーチハウスのリフォームをテーマにしたリアリティー番組に出演することに。ところが、なんと解体作業中に十数年前の女性失踪事件の証拠が発見される。

 

  1. 6. THE PARIS APARTMENT    Up

Lucy Foley ルーシー・フォーリー

何もかもうまくいかず、働いていたブライトンのバーも辞めてお金もないジェスは、たったひとりの身寄りである兄のベンをたよってパリに渡る。しばらく泊めてもらうことになったベンのアパルトマンを訪ねてみると、そこは立地も建物も素晴らしく、いかにも人生の再出発にふさわしい場所だったが、数時間前にジェスの携帯電話に届いたメッセージを最後にベンは姿を消していた。

 

  1. 7. SEA OF TRANQUILITY    Down

Emily St. John Mandel エミリー・セントジョン・マンデル

1912年に英国からカナダのヴァンクーヴァーに渡ったエドウィン、2020年のニューヨークで兄や親友に思い出を語られるヴィンセント、2203年に住んでいる月から地球へ新刊のキャンペーンツアーに出かける作家のオリーヴ、そして2401年にタイム・インスティテュートという機関で働くことになったガスペリー……時間軸を行き来しながら綴られる、500年の時を超えた壮大なスペキュレイティブ・フィクション。

 

  1. 8. THE MIDNIGHT LIBRARY    Stay

Matt Haig マット・ヘイグ

仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。

 

  1. 9. THE INVESTIGATOR    Down

John Sandford ジョン・サンドフォード

連邦保安官ルーカス・ダヴンポートの養女であり、スタンフォード大学で経済学を修めた24歳のレッティは、上院議員事務所での仕事を退屈だと感じていた。上院議員は優秀な彼女を引きとめるため、国土安全保障省との合同捜査に加わるよう命じる。レッティは捜査官のカイザーとともに、テキサスで頻発する原油盗難事件の捜査にとりかかる。

 

  1. 10. THE LAST THING HE TOLD ME  Up  

Laura Dave ローラ・デイヴ

結婚して1年の夫が失踪し、「娘を頼む」というメモとともに、夫の連れ子である16歳のベイリーと残されたハナ。ベイリーのロッカーから多額の現金が見つかると同時に、夫の会社にFBIの捜査が入ったことがわかる。ハナは夫が本当に会社で不正に手を染めていたのか調べようとするが、その過程で折り合いの悪かったベイリーとの関係も変化してゆく。

 

【まとめ】

あらたに3作品がランクインしました。1位のパタースン、ペトロのウィメンズ・マーダークラブ・シリーズでは、サンフランシスコを舞台に女性4人が殺人捜査に活躍します。2位のブラックは児童及びヤングアダルト向けのファンタジー作家で、『スパイダーウィック家の謎』全5巻(文溪堂)は日本でもベストセラーとなり、映画化もされています。その他邦訳に『最後のゲーム』(ほるぷ出版)、『冷酷なプリンス』(二見文庫ザ・ミステリ・コレクション)など。サマー・ノベルの女王アンドルーズが5位に登場しました。邦訳作品に『愛さずにはいられない』(集英社文庫)があります。ベストテン外では15位にシェルビー・バン・ペルトのデビュー作REMARKABLY BRIGHT CREATURESがあがってきました。水族館の大ダコが謎を解いていくストーリーです。

 

唐木田みゆき(からきだみゆき)
翻訳者です。最近の訳書はルーシー・フォーリーの『ゲストリスト』、アリッサ・コールの『ブルックリンの死』など。5月10日にサマンサ・ダウニング『とむらい家族旅行』が発売されました。デビュー作の『殺人記念日』につづき、こちらもクレイジーなサスペンスです。