アメリカのベストセラー・ランキング
6月19日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. SPARRING PARTNERS New!
John Grisham ジョン・グリシャム
『評決のとき』(新潮文庫)の主人公でミシシッピ州の弁護士ジェイク・ブリガンスが旧友の依頼に応じる“Homecoming”、若き死刑囚の刑執行までの3時間を描いた“Strawberry Moon”、そして殺人罪で服役している父親の法律事務所を引き継いだ弁護士兄弟の対立をテーマにした表題作の計3篇をおさめた中篇集。
- 2. MEANT TO BE New!
Emily Giffin エミリー・ギフィン
戦争の英雄の祖父と宇宙飛行士の父を持ち、アメリカのロイヤルファミリーと呼ばれる一家に生まれたジョーと、シングルマザーの家庭で育った駆け出しモデルのケイト。ハンプトンズのビーチで出会ってすぐさま惹かれあったふたりだが、身分違いの恋の前にさまざまな障害が立ちはだかる。
- 3. NIGHTWORK Down
Nora Roberts ノーラ・ロバーツ
貧しい家で育ったブースは病弱な母を助けたい一心で9歳のころから盗みをはじめた。やがて母が死んでも、金持ちの家だけを狙って盗みを繰り返していたが、ミランダという娘と出会って恋に落ちる。しかし、裏社会の大物に目をつけられていたので、ミランダが巻きこまれることを恐れて身を引いた。12年後、ふたりは再会するが……
- 4. 22 SECONDS Down
James Patterson and Maxine Paetro ジェイムズ・パタースン、マキシン・ペトロ
ウィメンズ・マーダークラブ・シリーズの22作目。サンフランシスコ市警の巡査部長リンジーは、口封じで殺されたとみられる元警官たちの調査をするうちに、メキシコのカルテルによる銃と麻薬の大量密輸事件に巻きこまれていく。
- 5. THE SUMMER PLACE Down
Jennifer Weiner ジェニファー・ウェイナー
サラは義理の娘、ルビーが婚約し、ケープコッドにある家族の別荘で結婚式を挙げると決めたことに得体の知れない不安を抱いていた。計画が進むなか、サラの夫や母親など、家族の誰もがそれぞれの葛藤と向き合っていく。そして式の当日、各々の抱えている秘密が白日の下にさらされ、衝撃の真実が明らかになる。
- 6. THE MIDNIGHT LIBRARY Up
Matt Haig マット・ヘイグ
仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。
- 7. RUN, ROSE, RUN Stay
Dolly Parton and James Patterson ドリー・パートン、ジェイムズ・パタースン
子供のころから歌を作って歌っていたアニー゠リーは、一文無しでナッシュヴィルのバーのステージに立ったのを機に、ミュージシャンのイーサンと、引退したカントリーソングの女王ルサンナに認められ、スターへの道をのぼっていく。けれども彼女には暗い過去があり、イーサンとルサンナもそれぞれ秘密をかかえていた。
- 8. DREAM TOWN Down
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ
退役軍人アロイシャス・アーチャー・シリーズ第3作。1952年の大晦日、カリフォルニアの探偵事務所で働くアーチャーは、女友達のリバティと新年を祝うために訪れたロサンゼルスで、紹介された脚本家ラムの自宅で身元不明の男の死体を発見する。事件の調査を進めるうちにアーチャーの身にも危険が迫る。
- 9. THIS TIME TOMORROW Down
Emma Straub エマ・ストラウブ
40歳の誕生日を迎えた当日、目が覚めると、アリスはかつての子供部屋にいて、16歳にもどっていた。昏睡状態にある父を病院に見舞う毎日だったのに、その朝、キッチンには49歳の若くて元気な父の姿があった。
- 10. ONE ITALIAN SUMMER Up
Rebecca Serle レベッカ・サール
ケイティの母親、キャロルが亡くなった。ケイティにとってはベストフレンドで、なんでもいちばんに話す存在だった。母親が父親と出会うまえに過ごしていたイタリアへ、母娘で旅するのを楽しみにしていたケイティは、ひとりでアマルフィ海岸に旅立つ。そこで母親の魂の存在を感じるケイティの前に、生き生きとして日灼けした30歳のキャロルが現れる。
【まとめ】
1位と2位に新作が初登場しました。1位に輝いたのはリーガル・サスペンスの巨匠ジョン・グリシャムによる初の中篇集。最近の邦訳としては、2021年12月に刊行された『冤罪法廷(上・下)』(新潮文庫)や2021年9月に刊行された『狙われた楽園』(中央公論新社)などがあります。2位に入ったギフィンの作品は、1999年に自家用飛行機事故で死亡したジョン・F・ケネディ・ジュニアとその妻を思わせるカップルの物語として話題を集めています。また本コーナーがお休みだった先週は、トップテンに3作が初登場していました。先週1位のノーラ・ロバーツ“NIGHTWORK”が今週は3位にランクインしたほか、先週5位にはグラハム・ブラウンのNUMAファイル・シリーズ第19作“CLIVE CUSSLER’S DARK VECTOR”が、先週9位には『ルクセンブルクの迷路』(早川文庫)で知られるクリス・パヴォーネの“TWO NIGHTS IN LISBON”が入っていました。
満園真木(みつぞの まき) |
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東京在住の翻訳者。訳書は『噤(つぐ)みの家』、『完璧な家族』(ともにリサ・ガードナー/小学館文庫)、『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』(ヴィンセント・ディ・マイオ、ロン・フランセル/東京創元社)、『アメリカン・プリズン――潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス』(シェーン・バウアー/東京創元社)、『ハーフムーン街の殺人』(アレックス・リーヴ/小学館文庫)など。 |