アメリカのベストセラー・ランキング

7月24日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

 

  1. 1. THE HOTEL NANTUCKET    Stay

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

1922年の火災以来、さびれたままの〈ホテル・ナンタケット〉。総支配人となったリズベットは、新しいオーナーであるロンドンの富豪ゼイヴィアから、覆面ホテル・ブロガー、シェリルの高評価を獲得せよと命じられる。目標達成に向けて工夫を凝らすリズベットだが、ホテルそのものはもちろんのこと、従業員と宿泊客もみなそれぞれに複雑な過去を抱えていた。

 

 

  1. 2. RISING TIGER    New!

Brad Thor ブラッド・ソー

アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第21作。インドでアメリカの外交官が殺害される事件を受け、ハーヴァスは現地の警察官とチームを組んで捜査に挑む。異文化のなかで事件を解決しようとハーヴァスが奮闘する一方で、新たな戦争が勃発しかねない危機が迫っていた。

 

 

  1. 3. TOMORROW, AND TOMORROW, AND TOMORROW    New!

Gabrielle Zevin ガブリエル・ゼヴィン

サムはハーヴァード大の2年生のとき、幼なじみだったセイディと再会する。ふたりはビデオゲームの開発に取り組んで、渾身の作品を生みだす。それは大ヒットとなり、サムとセイディは学生ながら一夜にして富と名声を手に入れる。30年間にわたるふたりの友情、野心、創造、虚栄、そして愛を描く物語。

 

 

  1. 4. SPARRING PARTNERS    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

『評決のとき』(新潮文庫)の主人公でミシシッピ州の弁護士ジェイク・ブリガンスが旧友の依頼に応じる“Homecoming”、若き死刑囚の刑執行までの3時間を描いた“Strawberry Moon”、そして殺人罪で服役している父親の法律事務所を引き継いだ弁護士兄弟の対立をテーマにした表題作の計3篇をおさめた中篇集。

 

 

  1. 5. THE MIDNIGHT LIBRARY    Up

Matt Haig マット・ヘイグ

仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。

 

 

  1. 6. LESSONS IN CHEMISTRY    Up

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

 

  1. 7. SUSPECTS    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

ファッション業界の女王セオドラは1年前に夫と息子を誘拐されて殺害されるという悲劇に見舞われたが、なんとか仕事に復帰しようとしていた。一方CIAエージェントのマイクは極秘ミッション遂行中に1年前の誘拐殺人事件に行きあたり、セオドラに迫る危険に気づく。

 

 

  1. 8. ESCAPE    Down

James Patterson and David Ellis ジェイムズ・パタースン、デイヴィッド・エリス

ビリー・ハーニーの活躍を描くシリーズの3作目。刑務所で脱獄が企てられ、その際にふたりの警察官が命を落とした。ビリーのチームは現場に召集される。収監者たちが消えた刑務所のとある房には、防弾ヴェストとヘルメットがふたつずつ、アサルト・ライフルが2挺、そして、ビリー宛に手書きのメッセージが残されていた。

 

 

  1. 9.  THE LAST THING HE TOLD ME    Stay

Laura Dave ローラ・デイヴ

結婚して1年の夫が失踪し、「娘を頼む」というメモとともに、夫の連れ子である16歳のベイリーと残されたハナ。ベイリーのロッカーから多額の現金が見つかると同時に、夫の会社にFBIの捜査が入ったことがわかる。ハナは夫が本当に会社で不正に手を染めていたのか調べようとするが、その過程で折り合いの悪かったベイリーとの関係も変化してゆく。

 

 

  1. 10. THE HOUSE ACROSS THE LAKE    Down

Riley Sager ライリー・セイガー

夫を亡くし、マスコミから逃れてヴァーモントのレイクハウスに引っこんだ役者のケイシー。湖の向こうに住むトムとキャサリンのロイス夫妻を双眼鏡で観察して過ごしていたが、湖で溺れかかったキャサリンを助けたことで夫妻と親しくなる。しかし親密さが増すにつれ、ふたりは見かけどおりに完璧なカップルではないとわかってくる。

 

 

【まとめ】

首位は4週連続でヒルダーブランド、そして2位と3位に新作がランクインしました。ブラッド・ソーのスコット・ハーヴァス・シリーズ第21作はインドが舞台で、異国情緒豊かな作品に仕上がっているとのこと。3位のガブリエル・ゼヴィンはゲームのプログラミングをベースとした人間模様を描く物語とのことです。なお、ゼヴィンの邦訳書には『書店主フィクリーのものがたり』(小尾芙佐訳、早川書房)などがあります。

圏外に目立った動きはありませんでした。

 

 

関 麻衣子(せき まいこ)

埼玉在住の翻訳者。6月に最新訳書『ボーイズクラブの掟』(エリカ・カッツ著、早川書房)が刊行されました。華やかな法曹界を舞台に、業界の裏側やビジネス界におけるセクハラや性被害が描かれ、フェミニズム的要素も含んだ作品となっています。

その他の訳書に『殺人ゲーム』レイチェル・アボット(角川文庫)、ヴィクター・メソス『弁護士ダニエル・ローリンズ』(早川書房)など。