アメリカのベストセラー・ランキング

7月31日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. THE 6:20 MAN    New!

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

毎朝電車でマンハッタンの投資会社に通勤している“6時20分の男”デイヴァイン。ある朝、匿名のメールが届き、同僚で元恋人のセアラが自社の倉庫で首を吊って死んだことを知らされる。当局は、かつて陸軍の特別部隊にいたデイヴァインに目をつけ、捜査に巻きこんでいく。

 

  1. 2. THE IT GIRL    New!

Ruth Ware ルース・ウェア

大学時代にハンナの友人のエイプリルが殺され、その10年後、犯人のネヴィルが獄中で亡くなった。ところが、“犯人は無実だった”、と証拠を示して主張する若いジャーナリストが現われる。結婚して妊娠中のハンナは、過去の事件を調べはじめる。

 

  1. 3. THE HOTEL NANTUCKET    Down

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

1922年の火災以来、さびれたままの〈ホテル・ナンタケット〉。総支配人となったリズベットは、新しいオーナーであるロンドンの富豪ゼイヴィアから、覆面ホテル・ブロガー、シェリルの高評価を獲得せよと命じられる。目標達成に向けて工夫を凝らすリズベットだが、ホテルそのものはもちろんのこと、従業員と宿泊客もみなそれぞれに複雑な過去を抱えていた。

 

  1. 4. SPARRING PARTNERS    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

『評決のとき』(新潮文庫)の主人公でミシシッピ州の弁護士ジェイク・ブリガンスが旧友の依頼に応じる“Homecoming”、若き死刑囚の刑執行までの3時間を描いた“Strawberry Moon”、そして殺人罪で服役している父親の法律事務所を引き継いだ弁護士兄弟の対立をテーマにした表題作の計3篇をおさめた中篇集。

 

  1. 5. TOMORROW, AND TOMORROW, AND TOMORROW    Down

Gabrielle Zevin ガブリエル・ゼヴィン

サムはハーヴァード大の2年生のとき、幼なじみだったセイディと再会する。ふたりはビデオゲームの開発に取り組んで、渾身の作品を生みだす。それは大ヒットとなり、サムとセイディは学生ながら一夜にして富と名声を手に入れる。30年間にわたるふたりの友情、野心、創造、虚栄、そして愛を描く物語。

 

  1. 6. UPGRADE    New!

Blake Crouch ブレイク・クラウチ

集中力が増し、脳の働きが強化されたとローガンが感じていたのは、気のせいなどではなく、ゲノムがハッキングされたからだった。しかし、この〝アップグレード〟は犠牲を伴うものであり、ローガンの過去に理由があった。

 

  1. 7. RISING TIGER    Down

Brad Thor ブラッド・ソー

アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第21作。インドでアメリカの外交官が殺害される事件を受け、ハーヴァスは現地の警察官とチームを組んで捜査に挑む。異文化のなかで事件を解決しようとハーヴァスが奮闘する一方で、新たな戦争が勃発しかねない危機が迫っていた。

 

  1. 8. THE LAST THING HE TOLD ME    Up

Laura Dave ローラ・デイヴ

結婚して1年の夫が失踪し、「娘を頼む」というメモとともに、夫の連れ子である16歳のベイリーと残されたハナ。ベイリーのロッカーから多額の現金が見つかると同時に、夫の会社にFBIの捜査が入ったことがわかる。ハナは夫が本当に会社で不正に手を染めていたのか調べようとするが、その過程で折り合いの悪かったベイリーとの関係も変化してゆく。

 

  1. 9. THE MIDNIGHT LIBRARY    Down

Matt Haig マット・ヘイグ

仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。

 

  1. 10. HORSE    Up

Geraldine Brooks ジェラルディン・ブルックス

1850年代、南北戦争前夜のケンタッキー州。美しい子馬の姿をカンヴァスにとどめた流浪の画家と、子馬とともに売られ、子馬を描く画家を眺めていた馬丁の少年がいた。2019年のワシントンD.C.で、大学院生のセオは歩道に捨てられていた古い馬の油絵を見つける。『マーチ家の父』、『古書の来歴』などで知られるピューリッツァー賞受賞作家による、3つの時代をむすぶ、ある競走馬の物語。

 

【まとめ】

新作が3つはいりました。1位のデイヴィッド・バルダッチは『完全記憶探偵』のシリーズで知られ、2位のルース・ウェアは『暗い暗い森の中で』『第10客室の女』が邦訳されています。6位のブレイク・クラウチは、『パインズ』『ウェイワード』『ラスト・タウン―神の怒り―』の三部作などで有名な作家です。

 トップテン外の動きとしては、11位にデビー・マッコーマー“THE BEST IS YET TO COME”がランクインしています。

 

国弘喜美代(くにひろ きみよ)

訳書に、アビゲイル・ディーン『レックスが囚われた過去に』、ケイトリン・マレン『塩の湿地に消えゆく前に』など。