アメリカのベストセラー・ランキング

8月14日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. THE 6:20 MAN    Up

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

毎朝電車でマンハッタンの投資会社に通勤している“6時20分の男”デイヴァイン。ある朝、匿名のメールが届き、同僚で元恋人のセアラが自社の倉庫で首を吊って死んだことを知らされる。当局は、かつて陸軍の特別部隊にいたデイヴァインに目をつけ、捜査に巻きこんでいく。

 

  1. 2. PORTRAIT OF AN UNKNOWN WOMAN    Down

Daniel Silva ダニエル・シルヴァ

美術修復師にしてイスラエル諜報機関のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第22作。ヴェネツィアで穏やかな引退生活を送っていたガブリエルだったが、友人の画商の売った古い肖像画が贋作である可能性を知り、調査に乗り出す。そして大金が動く贋作の世界にみずからも足を踏み入れるが……

 

  1. 3. THE HOTEL NANTUCKET    Up

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

1922年の火災以来、さびれたままの〈ホテル・ナンタケット〉。総支配人となったリズベットは、新しいオーナーであるロンドンの富豪ゼイヴィアから、覆面ホテル・ブロガー、シェリルの高評価を獲得せよと命じられる。目標達成に向けて工夫を凝らすリズベットだが、ホテルそのものはもちろんのこと、従業員と宿泊客もみなそれぞれに複雑な過去を抱えていた。

 

  1. 4. THE IT GIRL    Up

Ruth Ware ルース・ウェア

大学時代にハンナの友人のエイプリルが殺され、その10年後、犯人のネヴィルが獄中で亡くなった。ところが、“犯人は無実だった”、と証拠を示して主張する若いジャーナリストが現われる。結婚して妊娠中のハンナは、過去の事件を調べはじめる。

 

  1. 5. SHATTERED    Down

James Patterson and James O. Born ジェイムズ・パタースン、ジェイムズ・O・ボーン

ニューヨーク市警の刑事マイケル・ベネットを主人公とするシリーズの第14作。新婚旅行から戻ったマイケルは、古い友人でありFBI捜査官でもあるエミリーが失踪したことを知り、すぐさま管轄外のワシントンDCで捜査に乗り出すが、妨害と脅迫に悩まされる。

 

  1. 6. SPARRING PARTNERS    Stay

John Grisham ジョン・グリシャム

『評決のとき』(新潮文庫)の主人公でミシシッピ州の弁護士ジェイク・ブリガンスが旧友の依頼に応じる“Homecoming”、若き死刑囚の刑執行までの3時間を描いた“Strawberry Moon”、そして殺人罪で服役している父親の法律事務所を引き継いだ弁護士兄弟の対立をテーマにした表題作の計3篇をおさめた中篇集。

 

  1. 7. TOMORROW, AND TOMORROW, AND TOMORROW    Stay

Gabrielle Zevin ガブリエル・ゼヴィン

サムはハーヴァード大の2年生のとき、幼なじみだったセイディと再会する。ふたりはビデオゲームの開発に取り組んで、渾身の作品を生みだす。それは大ヒットとなり、サムとセイディは学生ながら一夜にして富と名声を手に入れる。30年間にわたるふたりの友情、野心、創造、虚栄、そして愛を描く物語。

 

  1. 8. THE MIDNIGHT LIBRARY    Up

Matt Haig マット・ヘイグ

仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。邦訳『ミッドナイト・ライブラリー』(浅倉卓弥訳)がハーパーコリンズ・ジャパンより刊行されている。

 

  1. 9. THE MEASURE    Up

Nikki Erlick ニッキ・エアリック

ある朝、世界中の家の玄関先に小さな木箱が出現する。箱をあければその家に住む22歳以上のおとなの余命がわかるらしい。当然パニックが起こる。箱をあけるか否か、あけて余命を知ったあとはだれとどう生きるか、人々はさまざまな選択を迫られる。

 

  1. 10. THE LAST THING HE TOLD ME    Up

Laura Dave ローラ・デイヴ

結婚して1年の夫が失踪し、「娘を頼む」というメモとともに、夫の連れ子である16歳のベイリーと残されたハナ。ベイリーのロッカーから多額の現金が見つかると同時に、夫の会社にFBIの捜査が入ったことがわかる。ハナは夫が本当に会社で不正に手を染めていたのか調べようとするが、その過程で折り合いの悪かったベイリーとの関係も変化してゆく。

 

【まとめ】

10位までに今週初登場の新作はありませんでしたが、本コーナーがお休みだった先週、初登場でランクインした2作が今週もトップテン入りしています。先週1位に輝いたダニエル・シルヴァのガブリエル・アロン・シリーズの新作が今週は2位。シリーズ前作にあたる“THE CELLIST”が『報復のカルテット』として今年4月にハーパーコリンズ・ジャパンより刊行されています。先週3位だったジェイムズ・パタースン&ジェイムズ・O・ボーンの刑事マイケル・ベネット・シリーズの新作は今週5位でした。また今週11位には『ミッシング・ガール』(二見書房)の邦訳があるミーガン・ミランダのサスペンス“THE LAST TO VANISH”が初登場でランクインしています。

 

 

満園真木(みつぞの まき)

東京在住の翻訳者。訳書は『噤(つぐ)みの家』、『完璧な家族』(ともにリサ・ガードナー/小学館文庫)、『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』(ヴィンセント・ディ・マイオ、ロン・フランセル/東京創元社)、『アメリカン・プリズン――潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス』(シェーン・バウアー/東京創元社)、『ハーフムーン街の殺人』(アレックス・リーヴ/小学館文庫)など。