アメリカのベストセラー・ランキング

9月4日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. ALL GOOD PEOPLE HERE    New!

Ashley Flowers with Alex Kiester アシュリー・フラワーズ、アレックス・キースター

ジャーナリストのマーゴットが20年ぶりに故郷のワカルーサにもどると、まもなく隣人で5歳のナタリーが行方不明になる。20年まえにも、マーゴットと同じ6歳だったジャニュアリーが行方不明になり、のちに遺体で発見されていた。犯人は捕まってない。マーゴットはふたつの事件の真相を探ろうとするが、ナタリーの家族も町の人々も、なにかを隠しているような気がしていた。

 

  1. 2. THE CHALLENGE    New!

Danielle Steel ダニエル・スティール

かつて花形フットボール選手だったザックの元妻、レベッカが暴漢に襲われた。重傷を負った彼女が生命維持装置を付けたまま4年がたったところで、犯人のエバンは早期に刑務所を出る。検察官のケイトは、レベッカの生命維持装置を外せばエバンを殺人罪に問えると考えるが、彼女の医療措置を一任されているザックは、その提案を断る。ケイトの思惑に気づいたエバンは、彼女もザックも亡き者にしようと画策する。

 

  1. 3. OVERKILL    New!

Sandra Brown サンドラ・ブラウン

モンタナ州で農場を営むポロック夫妻とブラウン夫妻は幼なじみだ。それぞれの息子のピーターとマットも親友同士で、彼らを含む仲間5人は、なにをするにもいっしょだった。しかし8月のある日、5人はグラニット山で遭難しかける。全員が無事に救出されるが、この出来事のあと、それぞれの家族は自分たちの過去を見つめ直すことになる。

 

  1. 4. THE 6:20 MAN    Down

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

毎朝電車でマンハッタンの投資会社に通勤している“6時20分の男”デイヴァイン。ある朝、匿名のメールが届き、同僚で元恋人のセアラが自社の倉庫で首を吊って死んだことを知らされる。当局は、かつて陸軍の特別部隊にいたデイヴァインに目をつけ、捜査に巻きこんでいく。

 

  1. 5. THE HOTEL NANTUCKET    Stay

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

1922年の火災以来、さびれたままの〈ホテル・ナンタケット〉。総支配人となったリズベットは、新しいオーナーであるロンドンの富豪ゼイヴィアから、覆面ホテル・ブロガー、シェリルの高評価を獲得せよと命じられる。目標達成に向けて工夫を凝らすリズベットだが、ホテルそのものはもちろんのこと、従業員と宿泊客もみなそれぞれに複雑な過去を抱えていた。

 

  1. 6. WRONG PLACE WRONG TIME    Up

Gillian McAllister ジリアン・マカリスター

いつも明るい17歳の息子が、母親の目前で見知らぬ若者を殺害し、勾留される。母親のジェンは絶望し途方に暮れていたが、翌朝目を覚ますと、世界は一日前にさかのぼっていた。それから毎朝目を覚ますたび、事件の日から一日ずつ時がもどっていく。どこかに事件を未然に防ぐチャンスがあるのだろうか。ジェンは決定的な瞬間を見つけ出そうとする。

 

  1. 7. PORTRAIT OF AN UNKNOWN WOMAN    Down

Daniel Silva ダニエル・シルヴァ

美術修復師にしてイスラエル諜報機関のスパイ、ガブリエル・アロン・シリーズの第22作。ヴェネツィアで穏やかな引退生活を送っていたガブリエルだったが、友人の画商の売った古い肖像画が贋作である可能性を知り、調査に乗り出す。そして大金が動く贋作の世界にみずからも足を踏み入れるが……

 

  1. 8. LESSONS IN CHEMISTRY    Up

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

  1. 9. THE IT GIRL    Down

Ruth Ware ルース・ウェア

大学時代にハンナの友人のエイプリルが殺され、その10年後、犯人のネヴィルが獄中で亡くなった。ところが、“犯人は無実だった”、と証拠を示して主張する若いジャーナリストが現われる。結婚して妊娠中のハンナは、過去の事件を調べはじめる。

 

  1. 10. TOMORROW, AND TOMORROW, AND TOMORROW    Down

Gabrielle Zevin ガブリエル・ゼヴィン

サムはハーヴァード大の2年生のとき、幼なじみだったセイディと再会する。ふたりはビデオゲームの開発に取り組んで、渾身の作品を生みだす。それは大ヒットとなり、サムとセイディは学生ながら一夜にして富と名声を手に入れる。30年間にわたるふたりの友情、野心、創造、虚栄、そして愛を描く物語。

 

 

【まとめ】

今週は1位から3位までを新作が占めました。2位のダニエル・スティール、3位のサンドラ・ブラウンという人気作家を抑えて1位になったのは、アシュリー・フラワーズの ”ALL GOOD PEOPLE HERE” です。フラワーズは、犯罪ドキュメンタリーを扱うポッドキャスト〈CRIME JUNCKIE〉のホストとして人気を博しており、本書(”THE TRUTH ABOUT BEN AND JUNE” などの著作があるアレックス・キースターとの共著)で作家としてもデビューしました。8位の ”LESSONS IN CHEMISTRY” は、4週間ぶりに10位圏内に返り咲きました。

 

 

吉野山早苗(よしのやま さなえ)

翻訳者です。訳書に『あなたの知らない心臓の話 動物からヒトまで――新常識に出会う知的冒険』(ビル・シャット/原書房)など。