アメリカのベストセラー・ランキング
9月18日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. CARRIE SOTO IS BACK New!
Taylor Jenkins Reid テイラー・ジェンキンス・リード
テニス界の女王として君臨したキャリー・ソトは、数多の世界記録を打ち破り、グランドスラム優勝を20回も成し遂げて引退した。ところが彼女の記録は6年後に破られる。それを目の当たりにした37歳のキャリーは復帰を決意し、自身で記録を塗り替えてみせようとする。メディアが冷ややかな目を向けるなかで、元女王の一度きりの挑戦が始まる。
- 2. THE INK BLACK HEART New!
Robert Galbraith ロバート・ガルブレイス
J・K・ローリングが別名義で執筆している私立探偵コーモラン・ストライク・シリーズの第6作。人気アニメのクリエイターがネット上で嫌がらせを受けたうえに、殺害される事件が起きた。嫌がらせをしていた謎の人物の身元を突きとめようと、ストライクと相棒のロビンは捜査に乗りだしたが、ビジネス絡みの諍いや家族間の揉め事など、様々な障壁が立ちはだかるのだった。
- 3. OTHER BIRDS New!
Sarah Addison Allen サラ・アディソン・アレン
ゾーイは亡き母の住んでいたアパートメントを訪れるため、サウスカロライナの離島へと赴く。すると、そこの住人たちは奇妙な雰囲気の人々ばかりで、誰もがさまざまなトラウマを抱えているようだった。そしてゾーイが到着した夜、アパートメントの住人のひとりが不審死を遂げてしまう。
- 4. ALL GOOD PEOPLE HERE Down
Ashley Flowers with Alex Kiester アシュリー・フラワーズ、アレックス・キースター
ジャーナリストのマーゴットが20年ぶりに故郷のワカルーサにもどると、まもなく隣人で5歳のナタリーが行方不明になる。20年まえにも、マーゴットと同じ6歳だったジャニュアリーが行方不明になり、のちに遺体で発見されていた。犯人は捕まってない。マーゴットはふたつの事件の真相を探ろうとするが、ナタリーの家族も町の人々も、なにかを隠しているような気がしていた。
- 5. DAISY DARKER New!
Alice Feeney アリス・フィーニー
有名な絵本作家を祖母に持つデイジーは、いわゆる機能不全な家庭で育ち、家族とは疎遠になっていた。ところが祖母の80歳の誕生日に本人から声がかかり、孤島の古い屋敷に親族が集められる。外は嵐となり、やがて祖母が絶命しているのが発見される。そしてひとり、またひとりと殺人者の犠牲になっていく。嵐が去ったとき、暴かれる家族の秘密とは……。
- 6. THE 6:20 MAN Stay
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ
毎朝電車でマンハッタンの投資会社に通勤している“6時20分の男”デイヴァイン。ある朝、匿名のメールが届き、同僚で元恋人のセアラが自社の倉庫で首を吊って死んだことを知らされる。当局は、かつて陸軍の特別部隊にいたデイヴァインに目をつけ、捜査に巻きこんでいく。
- 7. THE HOTEL NANTUCKET Up
Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド
1922年の火災以来、さびれたままの〈ホテル・ナンタケット〉。総支配人となったリズベットは、新しいオーナーであるロンドンの富豪ゼイヴィアから、覆面ホテル・ブロガー、シェリルの高評価を獲得せよと命じられる。目標達成に向けて工夫を凝らすリズベットだが、ホテルそのものはもちろんのこと、従業員と宿泊客もみなそれぞれに複雑な過去を抱えていた。
- 8. LESSONS IN CHEMISTRY Up
Bonnie Garmus ボニー・ガーマス
1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……
9. BABEL Down
R.F. Kuang R.F. クァン
20世紀のはじめ、見知らぬ教授によってイギリスへ連れてこられた広東の孤児ロビンは、多くの言語を学びながらオックスフォードの王立翻訳学院〈バベル〉への入学を夢見ていた。しかし、そこはあらゆる国を植民地化するために魔術が駆使される機関でもあった。銀とアヘンをめぐる戦争がはじまり、ロビンは知の探訪と祖国への愛にはさまれて揺れ動く。
- 10. THE MIDNIGHT LIBRARY Down
Matt Haig マット・ヘイグ
仕事を失い、飼い猫まで亡くして、何もかもうまくいかない、だれからも必要とされないと絶望したノーラは自殺を図る。そして生と死のあいだにある謎めいた図書館にたどり着く。所蔵されている無数の本は、自分が選ばなかった人生の物語であり、オリンピックのメダリストになる人生も母親になる人生も、自由に試すことができるらしい。邦訳『ミッドナイト・ライブラリー』(浅倉卓弥訳)がハーパーコリンズ・ジャパンより刊行されている。
【まとめ】
今週は4作がランクインしました。初登場1位のテイラー・ジェンキンス・リードは、今年1月に『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』(左右社/浅倉卓弥訳)が邦訳刊行されています。2位のガルブレイスはシリーズ第2作『カイコの紡ぐ嘘』(講談社/池田真紀子訳)まで邦訳刊行され、BBCが第4作までドラマ化しています。
3位のアレンは2010年に『林檎の庭の秘密』(早川書房/ 佐田千織訳)が、5位のフィーニーは今年7月に『彼は彼女の顔が見えない』(東京創元社/越智睦訳)が邦訳刊行されています。
なお、本連載がお休みだった先週にはR.F.クァンの“BABEL”が初登場1位、カリン・スローターの“GIRL, FORGOTTEN”(『彼女のかけら』(ハーパーBOOKS/鈴木美明訳)の続編)が初登場2位にランクインしていました。
関 麻衣子(せき まいこ) |
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埼玉在住の翻訳者。主な訳書に『ボーイズクラブの掟』エリカ・カッツ(早川書房)、『殺人ゲーム』レイチェル・アボット(角川文庫)、ヴィクター・メソス『弁護士ダニエル・ローリンズ』(早川書房)など。
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