アメリカのベストセラー・ランキング
10月2日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. FAIRY TALE Stay
Stephen King スティーヴン・キング
高校生のチャーリーは、丘の上の大きな屋敷に住む高齢の隣人バウディッチと親交を持つようになる。やがてバウディッチが亡くなるが、終生守ってきた秘密を吹きこんだカセットテープをチャーリー宛に残していた。裏庭の小屋に異世界への入口があるという。
- 2. THE BUTCHER AND THE WREN New!
Alaina Urquhart アレイナ・アーカート
ルイジアナ州のバイユーで凄惨な犯行を繰り返し、“ブッチャー”の名で呼ばれている連続殺人犯。熟練の法医学者であるレン・ミュラーは知識と経験を活かしてブッチャーに迫るが、これまでのところは相手のほうが一枚上手だった。
- 3. VINCE FLYNN: OATH OF LOYALTY New!
Kyle Mills カイル・ミルズ
原作者ヴィンス・フリンの他界後、カイル・ミルズが第14作から書き継いでいる、ミッチ・ラップを主人公にしたシリーズの第20作。クック大統領から危険視されたラップはやむなくアメリカを離れるが、レギオンと呼ばれる謎の暗殺者に命を狙われることになる。
- 4. NONA THE NINTH New!
Tamsyn Muir タムシン・ミュア
〈不死の王〉たる皇帝が支配する銀河帝国を舞台にしたロックト・トゥーム・シリーズ第3作。皇帝は第一王家であり、第二から第九までの王家はその配下となっている。平凡な生活を望みながらも、その能力ゆえに戦いに駆り出されるノナの物語が描かれる。
- 5. BLOWBACK New!
James Patterson and Brendan DuBois ジェイムズ・パタースン、ブレンダン・デュボイズ
大統領から特別任務を与えられたCIAエージェントのグレイとヒメルは苦悩する。法律や人権を無視して外国のスパイを拘束する内容だったからだ。しかも大統は私怨で動いているらしい。ナルシストのサイコパスがアメリカの大統領に選ばれたときの恐怖を描く。
- 6. ALL GOOD PEOPLE HERE Down
Ashley Flowers with Alex Kiester アシュリー・フラワーズ、アレックス・キースター
ジャーナリストのマーゴットが20年ぶりに故郷のワカルーサにもどると、まもなく隣人で5歳のナタリーが行方不明になる。20年まえにも、マーゴットと同じ6歳だったジャニュアリーが行方不明になり、のちに遺体で発見されていた。犯人は捕まってない。マーゴットはふたつの事件の真相を探ろうとするが、ナタリーの家族も町の人々も、なにかを隠しているような気がしていた。
- 7. CARRIE SOTO IS BACK Down
Taylor Jenkins Reid テイラー・ジェンキンス・リード
テニス界の女王として君臨したキャリー・ソトは、数多の世界記録を打ち破り、グランドスラム優勝を20回も成し遂げて引退した。ところが彼女の記録は6年後に破られる。それを目の当たりにした37歳のキャリーは復帰を決意し、自身で記録を塗り替えてみせようとする。メディアが冷ややかな目を向けるなかで、元女王の一度きりの挑戦が始まる。
- 8. THE 6:20 MAN Down
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ
毎朝電車でマンハッタンの投資会社に通勤している“6時20分の男”デイヴァイン。ある朝、匿名のメールが届き、同僚で元恋人のセアラが自社の倉庫で首を吊って死んだことを知らされる。当局は、かつて陸軍の特別部隊にいたデイヴァインに目をつけ、捜査に巻きこんでいく。
- 9. LESSONS IN CHEMISTRY Up
Bonnie Garmus ボニー・ガーマス
1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……
- 10. THE MARRIAGE PORTRAIT Down
Maggie O’Farrel マギー・オファーレル
1550年代フィレンツェ。トスカーナ大公コジモ1世の三女、ルクレツィア・ディ・コジモ・デ・メディチの生涯について描いた作品。ルクレツィアは実在の人物で、記録によれば、16歳のときに結核で死んだということになっているが、夫に毒殺されたという噂がある。
【まとめ】
新作が4作ランクインしました。2位のアーカートは解剖技師として働きながら、犯罪をテーマにした人気ポッドキャストのホストも務めており、これがデビュー作になります。3位のミッチ・ラップ・シリーズは、オークラ出版より邦訳が刊行された第11作『アメリカン・アサシン』が映画化されています。4位のミュアはシリーズ第1作『ギデオン 第九王家の騎士』が早川書房より刊行ずみ。5位の共著者のデュボイズは扶桑社より刊行されている『合衆国復活の日』などの邦訳があります。トップテン外では、イアン・マキューアンの新作“LESSONS”が14位にはいりました。
青木創(あおき はじめ) |
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翻訳者。J・ハーパー『 』が映画化され、日本でも公開されました。また、L・チャイルドのジャック・リーチャー・シリーズ第10作『奪還』が刊行されています。どうぞよろしくお願いいたします。
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