アメリカのベストセラー・ランキング

12月4日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. THE BOYS FROM BILOXI    Up

John Grisham ジョン・グリシャム

幼なじみのキースとヒューはミシシッピ南部のリゾートとカジノの街ビロクシで成長し、それぞれ父親の跡を継いでキースは法曹界、ヒューはマフィアの世界へとはいるが、やがてふたりは人生を賭けた裁判に巻きこまれ、法廷で対決することになる。

 

  1. 2. THE LOST METAL    New!

Brandon Sanderson ブランドン・サンダースン

ファンタジー小説〈ミストボーン〉シリーズの第7作であり、19世紀後半のアメリカを舞台に第4作から続いてきたシリーズ第2期のフィナーレ。元保安官で議員となった主人公ワックスが相棒ウェインとともに、街に迫る悪の組織の陰謀と闘う。

 

  1. 3. FAIRY TALE    Stay

Stephen King スティーヴン・キング

高校生のチャーリーは、丘の上の大きな屋敷に住む高齢の隣人バウディッチと親交を持つようになる。やがてバウディッチが亡くなるが、終生守ってきた秘密を吹きこんだカセットテープをチャーリー宛に残していた。裏庭の小屋に異世界への入口があるという。

 

  1. 4. DESERT STAR    Down

Michael Connelly マイクル・コナリー

ロサンゼルス市警で未解決事件捜査班を率いるバラードは、大物政治家の妹が殺害された古い事件を捜査することになった。同市警の元刑事ボッシュは、一家4人が惨殺された事件を引退後も調べつづけていた。それぞれの事件の犯人を突き止めるために、ふたりは協力する。

 

  1. 5. DREAMLAND    Up

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

かつて音楽の道を諦め、ノースカロライナ州で家業の農家を継いだコルビーは、旅先のフロリダ州で才能あるミュージシャン志望の女性モーガンと出会い、たちまち恋に落ちる。一方、6歳の息子を連れてDV夫のもとから逃げだしたベヴァリーは、夫の影に怯えながら苦しい生活を強いられている。そんな3人の運命が思いがけない形で交錯し――

 

  1. 6. GOING ROGUE    Down

Janet Evanovich ジャネット・イヴァノヴィッチ

ステファニー・プラム・シリーズ第29作。保釈保証会社の古参であるコニーが誘拐され、ステファニーは誘拐犯からの電話を受ける。保釈金の担保として残されたコインと引き換えに、コニーを釈放するというが、肝腎のそのコインが見つからない。

 

  1. 7. NO PLAN B    Down

Lee Child and Andrew Child リー・チャイルド、アンドリュー・チャイルド

リー・チャイルドと弟アンドリューの共同執筆による、ジャック・リーチャー・シリーズ第27作。コロラドで女性がバスに轢かれ、自殺と断定されたが、実は強盗殺人であることがわかる。同様の事件がまた起き、リーチャーは犯人を追いはじめるが、次々に不可解な事実が判明していく。

 

  1. 8. LESSONS IN CHEMISTRY    Up

Bonnie Garmus ボニー・ガーマス

1960年代のカリフォルニアで、才能豊かながら女というだけで化学者として正当に評価されていないと感じていたエリザベス。よき理解者に出会えたものの、やがてシングルマザーとなり、娘マッドと愛犬シックス・サーティーと暮らすうち、ひょんなことからテレビの料理番組のホストに起用される。いかにも化学者らしいユニークな料理用語や考え方が視聴者に受け、大人気となるが……

 

  1. 9. MAD HONEY    Down

Jodi Picoult and Jennifer Finney Boylan ジョディ・ピコー、ジェニファー・フィニィ・ボイラン

元夫の暴力を逃れて、故郷のニューハンプシャーで父親から養蜂業を引き継いたオリヴィア。大学進学を控えた息子のアッシャーとの関係も良好で、シングルマザーとしての人生は順調だったかに見えた。そんな折、複雑な過去から逃れ、母親とともに町に引っ越してきた転入生のリリーが遺体で見つかり、アッシャーに殺人の容疑がかかる。

 

  1. 10. TRIPLE CROSS    Down

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第30作。ワシントンDCで警備ステムをかいくぐり、家族全員を殺害して、証拠も残さないシリアルキラー〝ファミリーマン〟。アレックスは捜査陣に加わるが、ベストセラー作家が被害者同士の共通点を見つけたと言う。

 

【まとめ】

今週の初登場は2位の1作のみでした。ブランドン・サンダースンの〈ミストボーン〉シリーズは、第1期の3部作がそれぞれ『ミストボーン―霧の落とし子―』(「①灰色の帝国」、「②赤き血の太陽」、「③白き海の踊り手」)、『ミストスピリット―霧のうつし身―』(「①遺されし力」、「②試されし王」、「③秘められし言葉」)、『ミストクローク―霧の羽衣―』(「①新たな救い手」、「②古からの声」、「③永遠の大地」)として、各3分冊で早川書房より刊行されています。またブランドン・サンダースンは今年、2023年に発表される新作小説4作をクラウドファンディング・プロジェクトの形で売り出し、現在までに4,100万ドル(約57億円)超を集めていることでも大きな話題となっています。

 

満園真木(みつぞの まき)

東京在住の翻訳者。訳書は『噤(つぐ)みの家』、『完璧な家族』(ともにリサ・ガードナー/小学館文庫)、『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』(ヴィンセント・ディ・マイオ、ロン・フランセル/東京創元社)、『アメリカン・プリズン――潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス』(シェーン・バウアー/東京創元社)、『ハーフムーン街の殺人』(アレックス・リーヴ/小学館文庫)など。